2009年 今週の意見 9月


今週の意見(645):

政権交代の夜

新聞各紙の予想はすでにが民主党の圧勝を予想していたが、実際にふたを開けてみ
ないことにはどうなるかわからないと、民主党幹部達が警戒の念を緩めようとしな
かったのは当然だろう。私自身を含めて民主党を支持し、なんとか政権交代を実現
したいものと念じていた多くの有権者も同じ気持ちであったに違いない。        

しかし選挙結果は、マスコミ各紙の予測が、民主党は300議席を超え、320超
もありうるという予想が大半であったが、まさにぴったりの結果であったことは驚
くべきことであった。                                                      

日曜日の夜はいつもNHKの大河ドラマを見る。いつもの8時でなく7時から「天 
地人」を見て、7時50分から選挙報道があることはわかっていた。前回の参議院選
挙でもその時間帯NHKを見ていた。、投票終了の8時になったとたん、NHKは
出口調査の結果民主党勝利間違いなしを報じたのが驚きであり、印象的だった。そ
の後開票作業が進むとともに、それがどんどん事実となっていくのに驚いたものだ
った。それで、今回も同じことが起こるのではないかと8時の瞬間のアナウンサー
の言葉に注目していたのだった。                                            

8時になった瞬間、アナウンサーは「民主党300議席以上獲得し圧勝」と報じたの
だった。ひそかにそれを期待していた私は、思わず拍手をし、そのとたん全身の力
が抜けた思いだったのだ。一緒にTVを見ていた、妻がびっくりした。「どうして
開票がゼロ」でそんなことが分かるのかと聞いたが、私はそれにろくに応えず、さ
あこれから夜半過ぎまで続く、TV各局の報道を見るため、まずは一杯目の水割り
作りのため、台所に立ったのだった。もう夕食後だったから、何のつまみもなかっ
たが、何杯飲んだかいつもにましておいしい酒であった。                      

民主党の議席はともかく自民党の議席が100前後という予測であったが結果的に
は119とその後案外伸びたことを、やはり自民党の底力などという評論家がいた
が、何を馬鹿なことを言うかである。いや、当の自民党ご本人たちは最後までその
底力を信じていたふしがある。彼らが共通していうのは「わけの分からない風」「政権
交代という妖怪」にやられたという言い分である。有権者国民のここまで強い反自民
の空気を全く正しく捉えていないのだ。それでも119まで届いたのは、はっきり
ノーを突きつけられながら、比例で復活してきた古株の存在に過ぎない。そうした
連中が再び、新総裁選びであれこれやり始めたのを国民がどう見ているか、未だわ
かっていない。本当に情けない話である。                                    

いずれにせよ、こうしたマスコミの調査能力のすばらしさ、正確さには、「いい仕
事をやった」と大いなる敬意を表しておこう。しかし、その正確な予測を可能にした
のは有権者国民の「チェンジ」への強烈な意思表示であったことを忘れてはならない。
そのことを、                                                              
「民主党は勝ちすぎだ。日本の国民は単なる風とかムードに流されるところが怖い」
などという評論家が結構いるのが驚きである。                                

それは単なる風でもムードでもましてや妖怪などではない。それは明白な「チェン
ジ」への期待であり、その「チェンジ」は今確実に始まろうとしているのである。

2009/9/5
早勢 直

今週の意見(646):

民主党の我慢を評価する

民社国三党の連立が成立した。これについてはこれまで疑念の旨、特に民主党と社
民党との外交政策の違いの大きさを心配されてきたが、もともと沖縄基地移転問題
日米地位協定の見直しなど基本的な方向では一致しているのだから、後は交渉相手
アメリカと交渉をどう展開するかという問題で社民党がどれだけその現実をわきま
えるかということだけだと考えていた。                   

社民党も連立に加わり政権の一翼を担うということになれば、アメリカとの友好関
係を損なうことなく、さまざまな現実を踏まえて交渉すると言う当たり前のことを
理解すると思うのだ。そうなる、彼らもより柔軟にことに対処する、できるように
なることを期待するほかない。11日の朝日新聞の社説も同じ趣旨を書いていた。

民主党が社民党、国民新党との圧倒的な議席数の差にも関わらず、最後まで我慢強
く連立成立に向けて交渉をしたということは評価される。あそこまで圧倒的勝利を
収めながら連立にこだわった民主党を非難する向きも結構あった。そこまで社民党
に譲歩する必要はないということであった。しかし鳩山氏は我慢強く、連立を働き
かけたのだ。有権者の目を意識したのだろうが、それが本来政権党のあるべきスタ
ンスであろう。そういうスタンスである限り、社民、国民新党以外の党からもそれ
ぞれの法案案件ごとにその成立に向けての協力がえられるはずだ。そのことが大切
なのである。例えば共産党はこの連立成立を評価し、賛同できる法案成立に協力す
る旨を述べているが、このことも特記に値する。自民党と連立していた公明党新幹
部もすでにもそのような趣旨の発言をしている。               

一番情けないのは自民党だ。自分たちの党の総裁候補も決められない中、連立政権
での外交政策の違いがいつ露呈するか、期待をもってみているかのごとき発言があ
るのはまことに残念だ。最大野党の自分たちこそが、賛成できることには賛成、修
正要求をした上で賛成できることは賛成するくらいの発言がどうしてできないのか
である。                                 

いつも選挙後そのような見方がよく出てくるが、今回の選挙結果も民主党が大勝し
たものの参議院では単独で過半数に達していない現状だ。すなわち参議院の議決い
かんに関わらず三分の二条項を使って衆議院で可決できる数にたっしていないこと
そうした状況の中での連立であったことの意味が大きいのである。まさに微妙なバ
ランスなのだ。                              

民主党は今後社民党、国民新党のみならず、公明、共産、みんなの党などと政策的
な面で協力する場面が数多く出てくる。またそれぞれの党はそのつもりなのである。
それはそうなのだ。それが本来の議会政治なのだ。それに反する行動をしてきた自
民党横暴政治に国民はノーをつきつけたのだった。              

問題はそうして敗れたはずの自民党のその後である。あの大敗にも関わらず、その
マインドはまだ過去の栄光にしがみついているようなところが多々みられる。一時
が万事、国民はそうした過程をしっかり見ているのである。彼らにはまだそのこと
の恐ろしさがわかっていないらしい。                    

民主党は今のところ驕り高ぶっている気配はない。この連立に向けた我慢強い交渉
のスタンスこそが政権担当能力の一面を示したものだと評価しておきたい。   

2009/9/12
早勢 直

今週の意見(647):

変化への確実なスタートライン

鳩山新政権が誕生して早速内閣支持率がの世論調査が出てきた。時事通信が74.
3%、朝日新聞が71.0%で、4年前の小泉内閣の78%にはかなわないが歴代
2位という高さだ。歴史的な政権交代を成し遂げたことこともあり、いわゆるお祝
儀相場としてはこれ位高いのはなんの不思議もない。             

こんなに高い支持率もいずれ50%場合によっては40%台に下がっていくかもし
れないが、それがどの程度続くかに、衆議院議員任期の4年間に果たしてどれくら
い選挙の時に国民に約束したマニフェストを実現できるか、次期選挙で再び政権を
維持できるかどうかが掛かっているのだ。                  

政党支持率は民主党26.3%で自民党の16.6%をリードして(時事通信)いる
が、野党時代の支持率の意味とは全然違う。たとえ内閣の支持率がどうあろうと、
マニフェストを一つ一つ実現していくには最低2年や3年掛かることは国民もわか
っているから、内閣支持率、政党支持率とも今後低下していくことを覚悟し、必ず
しもそれにこだわらずマニフェスト実現に向かって政権を運営していけばいいので
ある。                                  

それにこれは楽観的な見方かもしれないが、今後半年、一年は新政権がこれまでの
長い自公政権の膿を出していく期間であり、またマニフェスト実現のためにもそれ
が必要なのだ。それをやることで、なるほど、そんな悪政があり、こんどはそれが
よりよい方向に向かうという説明ができるのである。そのことは非常に大きいしそ
れがまさに政権交代の最大の意味なのだ。                  

新政権発足後、外交・安全保障、年金・医療と言った社会保障、公共事業、郵政民
営化、地方分権などの分野で、それぞれの担当大臣が、これまでの自公政権の政治
を大きく変更する方針を打ち出している。八ツ場ダム建設中止、後期高齢者医療制
度の廃止、母子加算手当て復活などがほんの一例である。その政策実現のためには
新しく法律を作らなければできないことなどは後回しになるが、それぞれの省庁大
臣の判断、内閣の判断でできることは数多くなりそれからやっていこうということ
だ。                                   

なるほど政権交代でこんなこともできるのかということの中には、麻生内閣が作っ
た補正予算の見直し、執行中止ということがある。14兆円ばかりの予算のうち不
要不急のものがかなりあり、それを見直して、新政権のマニフェスト実現のための
財源に充てようというのである。                      

予算といえば補正予算より、来年度の予算作成がこれまでと全く違った方式で行わ
れることの意味が大きい。予算作成はこれまでは、各省庁から上がったものの積み
上げで行われてきた。その積み上げでできたものを事務次官会議で決定され、内閣
がそれを追認するというのがこれまでのやり方であった。100年も続いた事務次
官会議そのものが廃止されることになった。それがまさに脱官僚の一環なのだ。 

予算は、マニフェスト実現のための政策に政治主導によって重点的に割り当てられ
ることになる。その割り当ての調整は新設の「国家戦略局」を中心に内閣自体が行う
ことになるそうだ。これまでのように省庁の利害を代表する官僚たちが調整したり
、それを取り仕切ることによって決まるのではない。             

補正予算といい、本予算といい、そうした予算作成の過程、プロセスの違いを国民
はまだよく理解していない。官僚主導、政治主導の違いがどこにあるのかというこ
とである。                                

あの選挙が8月30日に行われたことについては与野党からも大きな批判があった。
もう一か月くらい早い方がよかったのだが、それでも補正予算の修正、変更に着手
できるぎりぎりのタイミングであったのだ。新政権による本予算の作成には十分間
に合うのではなかろうか。                         

脱官僚支配をスローガンに政権交代を訴えた民主党に国民は圧倒的な支持を与えた。
しかし実はその官僚支配の意味内容について、国民は十分な理解をしていたわけで
ない。鳩山内閣ができたその瞬間から、私自身を含めて国民はこれまでと全く違っ
た情景を見ることができるようになったのだ。                

昨夜のTVニュースは内閣が、補正予算執行の一部停止、見直しの決定をしたこと
を伝えていた。それを見た国民は「なるほど、そんなこともできるのか」と実感した
に相違ないのだ。                             

それらはすべてほんの一部のことなのだ。これから国民は毎日のように政治の世界
の「チェンジ」を実感する場面を見れる日が続くだろう。それはすべての国民にとっ
て新しい学習の機会であり、それはまた鳩山新政権がそれによって「チェンジ」を実
現できるスタートラインになっているということである。           

2009/9/19
早勢 直
今週の意見(648):

評価された25%削減宣言

鳩山首相の英語演説を初めて聞いた。たいしたものだ。鳩山氏はスタンフォード大
の工学博士だから、あれくらいできて当り前なのだろう。いやなにより、日本が世
界の先頭に立って温室ガス削減にとりくむ姿勢が各方面より高く評価されたようだ。
国連には数多くの首脳が出席していたが、あんな高い目標を設定して、宣言し公約
するとは、一体何を考えてるのだろう、などとやっかむ首脳、まさかいないでしょ
うね。演説に対する拍手は率直な評価の現われと捉えていいだろう。            

オバマ大統領が先頭を切って演説していたが、アメリカもやっとその気になって、
温室ガス削減に積極的に取り組むことになったという話。しかし12月のデンマー
クでのCOP15への向けて、努力するも多くの困難が伴う、という内容だった。
いくらオバマが演説が上手くても、そんな程度のことをわざわざ国連に言いにきた
のか、と言いたい感じだ。元々この問題に熱心なEUと日本は足並みをそろえてア
メリカを引っ張っていかなければならないのである。オバマがそのつもりでも、議
会、一般国民の熱意が今一つということのようで、こんなアメリカも困ったもので
ある。ゴア元副大統領が鳩山演説を賞賛していたが、アメリカ議会、それにアメリ
カ国民のこの問題への取り組みの姿勢にはまだまだ問題が多いようだ。          

アメリカと並んでもう一つのCO2大排出国の中国も問題である。経済的にはもは
や先進国と言っていいはずだが、この問題にあたっては、相変わらず、「先進国がそ
のまずその手本を示せと」など言っている。「もっと積極的になれ」とEU諸国と足並
みそろえて、中国、インドなど発展国にも相当の削減努力をするよう促していかな
ければならない。                                                          

私は以前から発展途上国はともかく、中国やインドが、今の温暖化は先進国がもた
らしたもので、まず先進国が大幅削減をせよという主張は極めておかしいと言って
きた。いや、それはまぎれもない事実だが、現在の自分たちの成長も、先進国が築
いてきたインフラの上に成り立っているのだ。その恩恵だけを受けて、そのマイナ
ス面について責任がないような言い方はないと考えるのである。                

国際的な評価はいいとして、この「鳩山イニシアティブ」を日本の世論はどう迎える
だろうか。日本の一般諸民やマスコミは建前上概して賛同の意を表するだろう。問
題は産業界である。すでに見るように彼らは反対の大合唱である。これで経済成長
が阻害されるとか、これでは海外に出て行かざるをえないという脅しにも似た発言
をしているのだ。「情けないこと言うな」と言いたい。                          

鳩山演説にもあったように、CO2削減の展開は企業にとっても国民にとってもた
だそのコストの負担というマイナス面ばかりではない。それは新しいビジネスチャ
ンスの創造の意味もある。グリーンディールという発想をアメリカに教えてもらう
ようでは話にならない。それはまさにニューディール、新しい需要と雇用の創造と
いう側面があることを忘れてはならないのだ。                                

それにはエコカー、太陽電池、省エネ住宅の建設などなどちょっと考えただけでも
膨大なニューマーケットの創出が期待されているのである。鳩山演説はただ国際的
な受けをねらって大ぼらを吹いたわけでもなんでもない。それは同時に低迷する世
界経済の成長戦略を示唆したものなのだ。                                    

とにもかくにもCO2削減はもう待ったなしの状況の中で、消極論を繰り返す産業
界、政治家の連中には「国際的世論」の大合唱を聞かせるしかないようだ。        

2009/9/26
早勢 直
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