2001年 今週の意見 9月
今週の意見(233)
政労会談の意味
小泉首相は連合の鷲尾会長と会談、構造改革は断固進めるが同時に雇用対策も最
重点課題だという話をしたのだという。黙って聞いていると当然の話なのだが、ど
うも話がうますぎる。これも就任以来あった小泉氏の人気とり政策の一環であるよ
うな感じがあるからだ。
構造改革を進めれば、失業率が今の5%レベルからもっと悪くなることははっき
りしている。5%というと雇用統計をとりはじめてから、最悪のレベルだが、最近
の富士通、東芝、日立、松下などの大幅なリストラ策の発表からみても、リストラ
はまだまだこれからが本番だという感じである。そうした時代の先端をいくはずの
IT関連企業にしてそうなのだから、他のより古い体質の企業はリストラ自体まだ
まだ緒についたばかりなのだ。
連合にしても、政府の厚生労働省などなにかというと雇用対策だ、雇用創出だ、
セーフテイネットだと国民にとって耳障りのいいことばかりをいう。140万の
雇用を作り出すなどというが、ことはそう簡単ではないはずである。
構造改革で、職を失うのはどちらかというと、それまで特殊法人だの、高額の公
共投資のおかげをこうむってきた分野の労働者である。純粋民間部門はだまってい
ても、これまでもリストラをやってきたし、これからさらに大きなリストラをやら
なければならないのである。彼らはみなその社員達の雇用対策も考えながらリスト
ラをやっていくのである。リストラに当たって政府の雇用対策になど期待していな
い。できない。
あんな政労のトップ会談をやることで、片方はある種の人気維持策、片方はそれ
でなくとも存在意義を失いつつある労働組合なるものの存在感を出そうという意図
は見え見えなのだ。
雇用対策が不必要だと言っているのではない。構造改革を本当に断行するならば
雇用情勢はもっと悪くなるし、その覚悟が必要なことを政労とももっと明確に認め
た上で、全産業にわたる対策を真剣に論議せよということだ。それを140万の雇
用を作るだの、雇用対策が最重点だのという言葉だけを言って一体何になるのか、
と言いたいわけだ。
2001/9/1
Tadashi HAYASE
今週の意見(235):
特殊法人改革
特殊法人の廃止か民営化かという小泉内閣の方針に対し殆どの省庁は大反対。5
つを除いて、160の特殊法人についていずれも廃止も、民営化もできない、現状
維持だという返答だ。
当初から予想されたことである。官僚の特性は現状維持だ。ましてや特殊法人は
自分達の権益の宝庫。それがなくなっては天下り先がなくなる。普通の企業では手
にできないような退職金を一度でなく、二度三度ともらうという特権もなくなる。
反対するのは当たり前だ。
大儀名分はいろいろある。その言い分の全部は否定しない。が、誰も全部廃止す
るとは言っていない。必要性は認めるが民営化だ、と言っているのである。他の民
間からの競争参入を促進して業務効率を改善しようということ。こんな当たり前な
話はないはずだ。その点での小泉首相の言い分は100%正しい。
例えば、国民金融公庫の民営化論がある。所轄官庁側は大反対。それは現在の国
民にとって不可欠な存在であったという。たしかにそうだ。私なども二度ほどその
お世話になった。
しかしである。同時にあの手続きの複雑さ、煩雑さは一体なんだと何度も思った。
金融自由化の時代、民間の金融機関を含めて、自由競争をやったら、もっと安い金
利で融資できるところも出てくるだろうし、手続きを簡素化するところも出てこよ
う。別に金融公庫がすべてではないはずだ。
官庁側の抵抗に対し、小泉首相は断固廃止、民営化を促進すると再度言っている。
ぜひそうすべきだ。またまたこれを先延ばししたり、いいかげんな妥協を絶対すべ
きではない。まさに中央突破しかないのだ。多くの国民もこれを支持している。
2001/9/8
Tadashi HAYASE
今週の意見(236):
テロに対する報復
まさに信じがたい光景であった。火曜日の夜いつもとっくに寝ている時間だが別
の用事で起きていた、就寝前にテレビのチャネルをひねって見たのがあの航空機が
国際貿易センターのビルにぶつかる光景であった。なんだか現実のものでなく、
フィクションの映画か、バーチャルなコンピュータグラフィックでも見ているよう
な感じであったのだ。
しばらくして、ああ、そうだ、自分もあのビルには二度ほど訪れたことがあると
気づいた。訪れたどころでない。どちら側か忘れたが、そのビルの最上階のレス
トランか何かで、20名ほどの代理店の人たちとパーテイを楽しんだことがあっ
たのだ。 そしてその二つのビルがものすごい噴煙をあげて倒壊していくシーン
をみていいしれぬ不安と怒りを覚えたものだった。
ブッシュ大統領が実に静かにテロリスト達に報復するということを演説で言って
いたが、その冷静さに少し不満に感じた位だ。 イギリスのブレア首相が興奮気味
に語っていたが、その方に共感を覚えた。小泉首相もアメリカの報復措置を支持
すると記者会見で語っていたが、もっとその怒りを表していいと思った。政治の
トップリーダが常に冷静でなければならないのはそうだろう。しかし国民大衆はそ
のテロのあまりにもすごい、不謹慎な言い方だが、見事なやり口にみなびっくりし
て、その卑怯な行為に対して、大きな怒りをぶつけること、感じることを忘れてし
まったようなところがあるのかもしれない。自分自身がそうだった。もっ怒りを感
じるべきなのだ。なんの罪もない一般市民をターゲットにするそのテロ行為に対し
てだ。
犠牲が数千人に達するというその後のニュース報道を見て、その感をさらに深く
した。いち早く犯人を見つけ出して、徹底的な報復措置がとられることを切望する
ものである。将来それがまたテロリスト達のさらなる報復を生むという結果になる
のかもしれない。「目には目を。歯には歯を」ということばは神の教えなのか、そ
れともそれをしてはいけないという教えなのか。
今はその悪を徹底的にこらしめるほかない。それがまさに正義であることは間違
いないと思うのだ。
2001/9/15
Tadashi HAYASE
今週の意見(237):
今ごろ議論を始める愚か
アメリカの報復的措置について小泉内閣はアメリカに全面的な支持を与えると言
明した。それは当然の話だ。が、それが具体的にどういうものであるのかというこ
とが一向に明確になっていない。また湾岸戦争の二の舞になるのかということであ
ったが、小泉首相は月曜日、外相、防衛庁長官に、日本として、アメリカが海外に
軍隊を派遣した場合、その後方活動を積極的に参加できるよう自衛隊の改正を含め
て検討するよう指示したそうだ。
日米安保の同盟国のアメリカが戦争を始める以上、それをなんらかの形で支援す
るというのは当然のことだから、その指示が間違っているというのではない。今の
憲法解釈が、同盟国の戦争に軍隊として参加することを認めていない、という解釈
である以上そうした後方支援に徹するということは現在ではぎりぎりの選択である
ことはそうだろう。物資補給や、医療、情報通信関連などで具体的な援助ができれ
ば、それは大きな貢献になる。それができれば湾岸戦争の時のように日本はカネだ
けの国際貢献しかしないのかという非難もまぬがれることができるだろう。
問題は憲法の存在そのものだが、この時に当たって、今更その是非を論じてもし
かたがない。が、なぜそうした自衛隊法の改正位どうしてもっと早くできないのか
ということだ。なんでも大事になってから、さあ検討だ、改正だ、では遅すぎるの
である。
これがこの国の危機管理意識欠如の最たるものなのだ。今度こそそうした場合に
どうするかについての法改正くらいはきちんとやっておくべきだ。それに関連して
憲法改正が必要なら当然同時に検討すべきなのだ。戦争はアメリカだけがやるので
はない。日本は傍観できないのである。今は緊急事態なのだ。憲法の改正が必要な
ら直ちにその検討も含めてすべきである。したらいい。
2001/9/22
Tadashi HAYASE
今週の意見(239):
アメリカは自制せよ
京都議定書の調印問題や、ミサイル防衛構想に関して外交上孤立感を深めつつあ
ったアメリカにとって今回の事件はある意味でもっけの幸い、と言うと誤解を生じ
るから、「災い転じて福となす」というきっかけになったのではないか。
自由世界はもちろん、サウジアラビアなどアラブ諸国もパキスタンを除いてタリ
バン政権を認める国がなくなったというのも大きな外交成果となった。自由諸国は
もちろん、ロシア、中国もテロ反対と言わざるをえないし、国連もその点で一致す
るからアメリカにとってはいいことばかりである。
経済にとっても短期的にはともかく、これが大きな刺激となって景気回復のきっ
かけになることはまちがいない。これは日本にとっても外交関係では中国・韓国と
の関係改善のベースにできるし、なによりもアメリカ経済の回復は日本にとって最
重要のことだ。
だからアメリカは調子に乗って、報復を増幅しないことだ。その点アメリカが外
交を圧倒的に有利にしたことで、かえってその自制力が働くのではないかと思うの
である。おそらくそうだろう。
アフガニスタンがどこまで抵抗するかということだが、空爆や地上作戦も少しは
やるだろうが、少々やったら後は国境を封じこめて、物資特に食料供給源を断てば
自ずから崩壊することは明白である。ニュースではその食料備蓄は後二週間ほどと
いうことだ。住民の飢餓問題が深刻になる。国連は軍事援助などより、そちらの救
済問題に力を注ぐことになるだろう。なんの罪もない住民のためにぜひそうしてや
って欲しい。アメリカ自身がそれをやればもっと理想的である。日本も後方支援な
どというよりそちらに力をそそぐことこそ真の国際貢献になるのではないか。
アメリカ対タリバン政権の戦いなどもう勝負あったのだ。後はタリバンがビンラ
デインを引き渡せば問題解決だが、さあそれはどうなるか。アメリカはテロと軍事
の報復合戦を将来繰り返さないためにも、もう大掛かりな軍事行動を起こすべきで
はない。それよりも経済封鎖、資産封鎖などの措置が有効であることは明らかであ
る。
ブッシュ大統領はテロを行っているのは一部のイスラム原理主義者であって、イ
スラム教徒全体はなんら関係ないと、している。当然の配慮だ。イスラム教の教え
がテロを容認しているわけがない。大統領はいつもその演説の最後で「神の祝福を」
と言ってそれを締めくくる。その神とは当然キリスト教のそれのことだ。
そのキリストの神は「目には目を」という、報復には報復をもって報いることを
教えているのかである。いや、むしろその逆だろう。あんな無差別大量殺戮行為な
ど容認できるものでないことは言うまでもない。しかしそれにまた大量殺戮でもっ
て応えたら、そのまた繰り返しになることは明らかなのである。
今はその神の教えの次元で、正義を実現することの意味を、アメリカのみならず、
世界の諸国民が考えてみなければならない時なのだろう。
2001/9/29
Tadashi HAYASE
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