2002年 今週の意見 10月
今週の意見(289):
研究界の構造改革
今週は日本人二人のノーベル賞受賞に日本中がわいた。私もうれしくテレビニュ
ースを見た。特に田中さんご本人の驚き会社や周辺での大騒ぎぶりがおもしろかっ
た。おもしろかったというと語弊があるが、これが日本社会の一つの問題点なのだ
と思ったわけだ。そんな大きな賞を一民間企業の研究者がもらえるわけがないと
思っている。
小泉首相のコメントがまたおもしろい。「いや、日本も捨てたもんじゃない、い
やたいしたものだ。」なんというコメントかと思った。喜ぶのはいい。もっと冷静
かつ、国のトップとして、問題意識に目覚めた客観的なコメントをできないものか。
景気低迷、株価大暴落の中、失政うんぬんされる中そうしたムードを吹き飛ばした
い気持ちだろうが、そんなムードだけの発言は困る。
マスコミは3年連続だとか、民間企業人の受賞は初めてだとか騒いでいるが、
これまでの世界各国の受賞者の数を比較した東北大学のサイトがあったのでそれを
MLで紹介した。そして日本がアメリカなどにはるかに及ばない理由は、日本の大
学・研究機関の閉鎖性が問題ではないか、と指摘したのである。
堀内さんと久保さんからコメントいただいた。それがまさに日本の大学や研究機
関の構造問題であり、創造性を育てる風土作りこそ、大切なのだということだった。
少し前のことだが、日本が今後ノーベル賞受賞の獲得目標を掲げたら、世界から
批判された。いや目標を掲げること自体はいいと思う。問題はそのために何をする
のかだ。それこそ小泉首相は「日本の研究機関、教育機関の改革も構造改革の重要
な一環である」と受賞の喜びとともに発言すべきだと思ったわけだ。
2002/10/12
Tadashi HAYASE
今週の意見(290):
生涯教育のかけ声と現実
今年の6月であったか、私たちの住む地域でパソコンクラブを作ろうということ
になり、20人ばかりでスタートした。月二回の開催だが、場所は近辺の自治会館
とか、新築の市の総合市民センターなるものがあって、場所そのものの選定には、
苦労はない。いつも市に申し込んで使わせてもらう新築の施設は部屋も大きく机も
新しい。前面には白板もある。ビデオデッキつきテレビもある。これが学校の教室
とか、一般の研修室なら文句はない。第一使用料無料だからこんなありがたい話は
ないのだ。
が、一番の問題は肝心のパソコンなど一切ないことである。講師がパソコンを使
って説明するのだが、それを大きく写してみせる投影機なども一切ない。しかたな
く会員の中で、ノートを持っている人に持ってきてもらって、持ってない人にはそ
れを見てもらいながらやっているのだが、どうして市でパソコンなどを備えた施設
がないものかと改めて感じたわけだ。よく調べてみると、他の場所にパソコンを設
置したところはあるが、それは市民が自由に使えない、あくまで市の設備そのもの
ようである。年に数回市が主催するパソコン教室用だそうだ。
その市民総合センターなるものは、市民の生涯教育のためという名目で多額のカ
ネを投じて建設したものである。市には生涯教育部なるものがあって、その立派な
建物を管理している。館内には他に音楽室とか、陶芸の部屋があってこちらはグラ
ンドピアノなどとか、陶芸の道具など設置してあってなかなかのものだ。が、どう
して今ニーズの高いパソコン設置の研修場などないのか、と不思議に思ったわけだ。
生涯教育などその中身の議論はさておいて、今の時代、あらゆる意味でそのニーズ
が高いことははっきりしている。立派な建物建設費に比べてパソコン設置の費用な
どたかがしれているはずである。
パソコンクラブのことを市の広報でPRしたら、応募者が30名ほどあったが。
なにしろパソコンがないので、運営が難しいことを説明して大半の人は入会をお断
りしたのだった。
人口5万人ほどの小さい市ながら、あちこちに図書館、自治会館など点在してい
て、それらは建前上その生涯教育のための施設となっている。が、見ているとその
利用率は、その新築の施設を含めて極めて悪いようだ。建物ばかり立派でもそれを
どう利用するかについて、必要なインフラや方法論が整備されていない。また行政
側からはその具体的プログラムの提案など殆どない状況である。
先週末テニスクラブの合宿で、埼玉県の嵐山にある国立の女性教育会館なるもの
に出かけてきた。テニスが目的で行ったのだが、そこにすばらしいパソコンマルチ
メデイアの研修所があり、インターネットにも接続したパソコンが30台ばかり設
置してあることを発見した。使用料はなんとたったの1000円。我々の市から往
復2時間はかかるが、一度実験的に使ってみようと早速申し込んだのだった。が、
そんな遠方地で毎回やるわけにはいかない。
IT時代、国民のパソコン教育がなによりも大切なはずである。生涯教育という
観点からもそうだ。現実市民のそれについての関心も極めて高い。それは基本的に
は個人個人で取り組んだらいいことはそうだろう。が、地元行政の取り組みがそん
なものでは情けない。財政難はどこも同じで、こちらもその例外ではない。しかし
あらゆる意味で、行政の無駄があり、一番肝心なところに必要なおカネが使われて
いないことも事実だ。行政担当者の勉強不足、縦割り行政、単年度予算制度などな
どの問題がここにもある。
まあ行政などあてにせずいろいろやっていくつもりだし、それよりしかたがない
のだが。その点でのボランテイア活動の充実からはじめるほかない。
2002/10/19
Tadashi HAYASE
今週の意見(291):
総選挙に聞けという無責任
国会の審議で自由党の達増氏が、あれほどやると言っていたペイオフ解禁を延期
したことを、とらえて公約違反ではないか、それが国家、国際社会に混乱を与えた
ことについてどう責任を取るのか、と質問した。
首相答えて曰く。「経済社会の動向をふまえて、柔軟に対処したまでであって、
責任うんぬんは総選挙で問えばいい。」 いつもの調子である。
やるやる、と言ってやらない。今まで数多くそういうことがあった。小泉さん
は原理原則にこだわる人だという評判だが、今回のことを含めてどうも話は逆らし
い。都合によっては、大切な原理原則を簡単に曲げてしまうところがある。総選挙
なんて、話は早すぎるが、選挙になれば、民意は俺の味方だ、と言いたいのだろう。
現国会は経済再生国会の様を呈しているが、野党はもちろん与党がさまざまな
根本的なデフレ対策の必要性を訴えているのに、首相は相変わらず「構造改革なく
して成長なし」の一点ばりである。与野党の要求する対策の中身、良し悪しについ
てはいろいろあるだろう。が、いずれにせよ大胆かつ抜本的な対策が今必要なこと
については誰も異論がないはずである。世論調査でも構造改革とデフレ対策を平
行して行うべきだという意見が60%近く圧倒的に高い。
にも関わらず小泉内閣の支持率は相変わらず高い。首相の自信のベースはそこに
ある。私にはその民意が理解できない。不思議である。要するに事の重大さをあ
まり考えていないのではないかと、民意のいい加減さに不満である。
国会は緊張しているようだが、相変わらずの与野党間の駆け引きばかりである。
竹中不良債権改革案は与野党から袋叩きにあっている。混乱はますます増すばか
りなのだ。
ここで民意がもっと敏感に反応しないとダメである。我がデフレ城は陥落の危機
に瀕しているのだ。
2002/10/26
Tadashi HAYASE
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