2001年 今週の意見 10月

今週の意見(239):

衰退の象徴

 テロ事件など暗い話ばかり続く中で、9月30日は明るいスポーツ関係のニュー
スが多かった。ベルリンでの高橋尚子選手の女子マラソン、世界最高記録。シアト
ルマリナーズイチロウ選手の新人最多安打。そしてちょっとニューアンスはちがう
が長島監督のドーム最終ゲーム。あれも明るいとは言わぬがさわやかな話の部類だ
ろう。

 ところがである。あんまり目立たないし、報道も殆どなかったが、近鉄ーダイエ
ー戦でダイエー側が近鉄一番のローズにボール球ばかり投げて、 日本最多本塁打
56号を打たせなかったというニュースだ。ダイエーの若菜バッテリーコーチは
「55号は日本のプロ野球の象徴としておいておくべきだから」とその理由を語っ
ている。その55本の記録を持っているのは言うまでもなく、彼の上司王監督であ
る。

 一体なんということだ。王監督自体はそんな指示は一切出していないと試合後語
ったそうだ。しかし、そんなことはやめろという指示は出せたはず。いいわけにす
ぎない。

 まあ細かいいきさつはいい。イチロウがあんな大記録を出せたのは、アメリカの
球団の投手が全部正々堂々真っ向から勝負してくれたからだ。当たり前といえば当
たりまえだが、日本の野球はそれをしないのである。そしてイチロウが記録を達成
すると観客はスタンデイングオベーション(立ち上がって拍手)でそれを称えてい
る。なんという日米の野球のレベル違いか。それは野球だけの世界の話ではないの
だ。

 ニュースをちらっと見ただけでそんなことは知らなかったのだが、高橋尚子選手
が大記録を出したのにも実は大きな主催者側の配慮がある。市民マラソンで3万人
という数の参加では競技自体混乱する可能性が高い。プロの選手が通常のマラソン
のように自分のペースで走ることすら難しい。そのため地元の六人の男子選手が高
橋選手の前後左右を守って混乱する集団を抜け出すまでサポートしていたのだ。び
っくりした。それはもちろん高橋選手だけでなく、他の優勝候補にも同じことをや
ったのだろうと思う。そうしてベルリンマラソンで世界記録が生まれたのだ。それ
を市民も主催者も喜んでいるに違いないのである。

 スポーツのあらゆる記録なんて破られるためにある。記録に国境なんてない。そ
れを「55本は日本のプロ野球の象徴」とは一体なんたるセリフかと思ったわけだ。
そんな考えこそまさに日本のプロ野球が衰退していく理由、象徴ではないのか。

2001/10/6
Tadashi HAYASE
今週の意見(241):

はしごをはずされた

『「外務大臣」「委員長ーっ」
デビュー当時の華々しさが、少し影が薄くなったようですね。
内憂外患、多事多難、まあ、実力発揮の聖心は、何時までも続
けて欲しいものです。「二階へ揚げて、ハシゴをはずすような
真似はしないでください」小泉殿。』
 ー掲示板 #45 三橋英明氏メッセージより。』
 
 http://mav.nifty.com/ahp/mav.cgi?place=tadml&no=6415

 彼女は外務副大臣くらいから始めればよかったのです。そして三橋氏ご指摘の
ように、その初心を発揮してを発揮して、あの腐った外務省改革のことだけに専
念すればよかったのです。とりあえず外交は専門家の大臣に任せてです。

 外交に全く素人の田中氏を外務大臣にしたのは小泉首相の責任です。人気の高
い田中氏を今やめさせられないと、ばかり二階にあげて完全にはしごをはずして
いる状況なのです。外務省幹部からも、官邸からもさまざまなことでつんぼ桟敷
におかれています。

 それはない。この難局にそんないい加減な対応はないはずです。小泉首相は外
務大臣を更迭すべきです。

 そうでないなら、こうなった以上彼女は外務大臣を自ら辞めるべきです。そう
でない限り田中氏の政治生命自体終わるのでないでしょうか。

2001/10/13
Tadashi HAYASE
今週の意見:(242)

 事実は小説を超えた

 先週も数多くのMLのメッセージが寄せられたが、その中に高松のメル友である
西さんから、アメリカのSF作家トム・クランシー作「合衆国崩壊」という小説の
話があった。西さんはその話の中身と、本の表紙の写真まで載せてくれた。

 そしてその表紙のイラストを見て、ぞっとしたのである。それはハイジャックで
なく、太平洋戦争で肉親を奪われた、JALの日本人ジャンボ機機長が、ワシント
ンの国会議事堂に体当たりする場面である。そして大統領はじめ最高裁長官などが
犠牲になる。そしてアメリカ国家は混乱に陥る。

 それに乗じて、イスラムの過激分子がエボラ出血熱の病原菌をアメリカ主要都市
の見本市会場などでばらまき、多数の死者をだす。

 なんとまあ、どこかによく似た話があったものだと、思ったわけだ。「事実は小
説より奇なり」どころでない。今回のニューヨークテロ事件はフィクションがまさ
に事実となったケースである。

 ひょっとすると今回の事件のテロリストはこの小説を反抗のヒントにしたかもし
れない。いやそうにちがいないと言いたい位だ。あまりにもその内容が一致してい
るからだ。

 だからこんな小説を書いた小説家がけしからんなどと言うつもりはさらさらない。
サイエンス・フィクションといい、推理小説といい、人間の想像力を楽しむ遊びの
世界の話である。そうした仮想の世界を楽しむこと、まあそれからヒントを得てさ
まざまな創造力を発揮し、何か新しいものを生み出していくことこそが求められて
いるであって、それがああした悪事のヒントに仮になったのだとしたら、まさにと
んでもないことだ。

2001/10/20
Tadashi HAYASE
今週の意見(243):

バークレー市議会の反戦決議

 小さい新聞記事で目立たなかったが、バークレー市の市議会がアメリカのアフガ
ンでの戦争の自重を求める決議をしたそうだ。市長は反対であったが、リベラル派
議員の多い市議会がそういう決議をしてしまった。

 普通に聞いていると、いや、アメリカでもほんの一部、というか全米で唯一の動
きだが、そういう考えもあるのだとわかるわけだ。議論の是非は別にして、それで
いいではないか。

 が、その決議を聞いて、その市にある企業の一部などから、けしからん、そんな
決議をするならこの町から出ていくぞ、とか、バークレー市で不買運動を起こすぞ
と脅しがかかったそうだ。そして実際にそういう動きも一部始まり市長は困って頭
を抱えている。

 へえ、アメリカって国でもそんなことがあるのかって思った。テロ事件に関する
アメリカ全体の感情はわからぬではない。戦争を始めた今、一致団結しているとこ
ろを世界中に示さなければならない。

 が、市議会だって誰もテロ行為を容認しているわけではないはず。問題はその解
決策としての今やっているタリバン攻撃が最善策なのか、どうかという議論であっ
たはず。

 それはアメリカという国の一つの良心でありこそすれ、なんら恥ずべきことでは
ないと私は思うのだが。アメリカはもっとさまざまな考え方について寛容な国だと
信じていたのだけど。

2001/10/27
Tadashi HAYASE
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