2004年 今週の意見 11月

今週の意見(394):

閉鎖社会の象徴

 楽天かライブドアか、と注目のプロ野球への新規参入がライブドア落選、楽天参
入が認められ決着した。MLで隅田繁雄氏は「やはり楽天に決まりました。予想して
いた通りとはいえ、程度の低い出来レースを見ていた感です。このレース、もとも
と「ライブドア外し」それだけのためだったのです」と書かれていましたが、全く同
感です。マスコミでもそうした見方を示したものがいくつかあったけれど、特にそ
れについてつっこんだ報道もなく、これで一見落着である。そんなことでいいのか
というのが私の感想である。


 新規参入が認められた楽天社長の記者会見での言葉が気にくわない。 「日本のプ
ロ野球50年間なかった新規参入という快挙を果たした」。何をおっしゃる。50
年その中身がなんら変わらない組織なんて、その存在自体がおかしいのではないか、
ということだ。その閉鎖性そのものが問題であり、だからその経営が行きづまった
のだ。

 そんな閉鎖社会を作り、守ってきたのは誰だ。そしてその閉鎖社会を守ろうとし
て、閉鎖社会のドンたちが相談して、自分達の閉鎖社会を守るため、より都合の悪
いライブドアをはずし、自分たち、財界の息のかかった楽天を選んだということで
はないのか。

 楽天決定に当たって仙台市民の反応はまともであった。「できればライブドアに
きて欲しかった」と多くの市民たちが語っていた。が、世の中、体制が大勢を支配
してしまうともう何が本当がまともで、何がおかしいか、などという問題はどこか
に行っててしまう。来年4月の開幕になったら、市民達もそんなこと忘れて、宮城
球場は満員になるにちがいない。そして楽天参入は一応の成功を収めたことになる
のだろう。

しかし、それで本当に日本のプロ野球全体の体質がそれで変わり、発展していくの
か、が一番肝心な問題である。第一それぞれの球団経営のトップ達の考え、やり方
はなんら変わっていないからだ。ナベツネなる元巨人オーナーに代表される古い体
質のオーナー経営者に一体なにが、どう変えられるのか。彼ら、楽天決定の会議の
後で何を言ってるか。口をそろえて「球団経営なんてそう簡単じゃない。それにも
う新規参入なんて当面認めない」と言ってるのである。

 新規参入なんてどんどん認めたらいいのだ。場合によってはサッカーのように一
部二部入れ替え性にしたらいい。万年最下位でも絶対淘汰されることがない世界な
んてほかにどこがあるのか。市場を大きく開放し、オープンに競争する組織を作る
ことこそプロ野球が再生し、発展する一番大切なことではないのか。

2004/11/6
Tadashi HAYASE
今週の意見(395):

西武鉄道上場廃止の意味

 先週の意見のタイトルは「閉鎖社会の象徴」であった。プロ野球界の閉鎖性こそ日
本社会の閉鎖性の象徴そのものであるという趣旨のことを書いたつもりである。そ
して、それをまたそれを裏づけする事件が起こった。今年のプロ野球で日本シリー
ズを制し、日本一となった西武ライオンズ親会社、実際のオーナーは国土計画なの
だが、西武鉄道が上場廃止という事態に追い込まれた。

 日本一となった西武ライオンズに監督、選手達はリーグ戦、パリーグでのプレー
オフー戦、そして日本シリーズを必死で戦い、その栄誉を勝ち取った、その健闘ぶ
りは立派であり、褒め称えられこそすれ、彼らになんの罪もない。が、その陰で親
会社西武鉄道さらにその持ち株主、国土計画の経営陣は一体なんという恥ずべきこ
とをやってきたのか、ということである。

 今年の4月頃からだったか、西武鉄道が虚偽の有価証券報告行為を行っているこ
とが少しづつマスコミで報じられるようになってきた。そしてそれは経営陣による
西武鉄道株の不法な売り逃げ行為まで発覚するところとなって、ついに上場廃止に
までつながった。いわば当然ともいうべき結果になったのだ。

 私が知る限り、西武鉄道、その持ち株会社である国土が長年にわたって、不正な
経理処理を繰り返してきたことはある意味で周知のことであった。何度かその経理
処理の不透明性、違法性を指摘する記事が一部マスコミに報じられたことがある。
そうした事情に詳しい専門家たちは「なんだ今更、そんなことは以前からわかって
いたことではないか」という感想を持っているに違いない。その有価証券報告の内容
について税務当局を含めて、関係当局がもっと踏み込んだ調査なり措置をすれば問
題はもっと早く明らかになったはずである。

 そうした不正行為はそれをやってきた経営陣に最大の責任があることはいうまで
もないが、そうした違法行為をある意味でかなりわかっていたはずの監査法人は一
体なにをやってきたのか、そしてまたそれを監査してきたはずの監査役は一体なに
をしてきたのかということだ。明らかに彼らは違法行為を見て見ぬふりをしてきた
のである。

 そしてひどいのは経営陣が西武鉄道株が下落する前に株を売り逃げしょうとした
行為である。オーナーの堤義明氏自らがあちこちに株を売りつけようと取引先に電
話したというからひどい話である。いわゆるインサイダー取引を白昼堂々とやった
わけで恐れ入る。一般の民間企業の企業経営者には考えられない行為であろう。

 どうしてこんなことになるか。いうまでもなく国土計画が堤義明と言う絶対のワ
ンマンオーナーの経営であるからだ。そこにはワンマンオーナー経営には避けられ
ない経営の不透明さがある。心ある取締役や、監査役がいて、その間違いを指摘し
てもワンマン経営者はいうことを聞かない。ワンマン経営者はそうした取締役や監
査役を排除し、自分の意のままになるものしか役員にしないのである。

 あらゆる意味で西武鉄道の不祥事はまだまだ残る閉鎖的な日本社会の中で起こる
べくして起こった事件である。堤氏をはじめとする経営陣はいずれさまざまな罪に
問われることになるのだろうが、日本企業統治の仕組みを守るために関係当局の徹
底したオープンな調査と処罰が望まれる。

2004/11/13
Tadashi HAYASE
今週の意見(396):

西武鉄道ジャスダックへ上場

 先週は西武鉄道の不祥事のことを書いた。その会計報告で虚偽不正があったとし
て東京証券市場上場廃止の決定がなされ、それは当然のこと、経営責任者の処分
もきちんと行われるべし、と書いたわけだ。

 が、その後のニュースを見てびっくりした。東京証券市場の上場は廃止されたが
今度はジャスダックに上場申請をし、それも早急に認可される見通しだという。
日本証券業協会が開設する店頭市場「ジャスダック」は、中堅企業や新興企業が中
心である。12月13日に取引所に移行する予定だが、東証1部に比べると上場の
ハードルは低く西武鉄道が審査を通過できる可能性は高いとみられている。北側国
土相も西武鉄道の体質改善の必要性を求める一方で、西武鉄道がジャスダック市場
への上場を表明したことについては「市場を通じた取引ができるようにしたいとの
意向を持っていることは理解できる」と述べた。

 私はびっくりした。なんということか。西武鉄道は虚偽の会計報告をするという
不正を行った企業なのである。まずはその事実を徹底的に解明し、罰すべきは法律
に従って罰し、ジャスダックへの上場などそれからの話ではないのか。

 ジャスダックの上場基準は東証に比べるとそのハードルは低い?そんなはずがな
い。ジャスダックの上場基準をみると、細かい点を除いて重要ポイントは:

・会社の発行する株式をJASDAQ市場に上場するには、日本証券業協会が定める登録
 基準を充足する必要があること
・その会計報告に関しては直前2事業年度の監査意見を必要とし、かつ直前期は無
 限定適正であること 

をうたっている。当たり前のことである。今の西武鉄道はどうみてもこの二つの条
件を満たしていると思えない。

 が、国も証券市場も西武鉄道という公共性の極めて高い企業のこと、これ以上の
証券市場での混乱を避けたいのであろう。東京証券市場の上場廃止でまあまあ一応
の格好はついたとばかり、後はこうした形でお茶を濁すつもりなのだ。これがまさ
に不正に甘い日本の社会の実態なのだ。

2004/11/20
早勢 直
今週の意見(397):

なぜBLOGやMLがおすすめか

 「日本語力低下、4年制私大、国立大学生さえ留学生以下のお寒い大学生」の記
事が11月25日の産経新聞に載っていた。大学生の「日本語力」が低下し、中学
生レベルの国語力しかない学生が国立大で6%、四年制私立大で20%、短大では
35%にのぼることが独立行政法人「メディア教育開発センター」(千葉市)の小
野博教授(コミュニケーション科学)らの調査で分かった。

 例えば「憂える」の意味を「喜ぶ」と思いこんでいたり、」「懐柔する」は「て
なづける」という意味なのに、その正解率がなんとゼロであったり、まさに憂える
べき状況であるという報告だった。その結果を受けて埼玉県の大学が三ケ月ほど、
国語の基本教育をやり直した結果、大きな成果があったこともあわせて報告されて
いたが、それはそうだろう。全部の日本の大学でとりくむべき課題なのだろう。

 そうした中学レベルとも言える基礎教育に加えて効果がある国語教育法として私
なら大学生に今その必要性が叫ばれているパソコン、インターネットの教育もかね
て、大学でメールや、ネット上での日記、BLOGなどを教え、実践することをす
すめたい。メールといえば、今の学生なら、携帯電話のメールなど殆どの学生がや
っているにちがいない。それならすんなりやれるだろう。もっとも携帯電話のメー
ルは極めて短い情報の交換にすぎないから、それをベースにして、それぞれの教養
過程のクラスでパソコン、インターネットを使ったメールでの報告、日記、BLOG
などでの意見発表、報告などを義務づけたらいい。指導する教官のフォローは大変
だが、それだと学生同士が教えたり教えあったりしながら、やっていくだろう。そ
の中で、正しい語彙、表現力など自然に身につけていくだろうと思う。

 問題は国語能力だけの問題でない。自分の意見をしっかり持ち、それを表現し、
それを他の人たちと意見交換したり、討論したりする訓練が必要なのだ。

 そのためにも、インターネット上でのBLOG、クラスの先生が主催するMLな
どを実践させることは、ここで問題になっている国語能力アップとともに、思考力
判断力など社会人としての基本能力をつけるために一石二鳥どころが、極めて多く
の成果の期待でくる方法だろうと考えるのである。

2004/11/27
早勢 直
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