2001年 今週の意見 11月

今週の意見(244):

選挙制度の改悪

 小選挙区制が導入されて、まだ何年も経たないのに、一部に2人区を導入しよう
という案が持ち上がっている。公明党が提案し、与党三党の幹事長で提案している
ものだ。

 野党はもちろん筋が通らないと反対、与党でも自民党の大半の議員が反対してい
るという。それはそうだろう。公明党はそれは自民党と連立を組む時の条件だった
とごり押しするつもりだ。誰がどう見ても党利党略のためといわれてもしかたがな
い。

 今の小選挙区制になって、公明党は議席を減らした。自民党、民主党などのメジ
ャーな政党に挟まれて、比例区はともかく地方区で議席を確保することが難しくな
った。かっての中選挙区の時代にはそれぞれの選挙区で二位、三位になれば議席が
確保できたが、今はとにかくトップにならなければダメだ。しかしそれが民意を代
表するベターな方法だと、もうそれこそ何年も議論して小選挙区制が導入されたは
ずである。各政党賛成反対いろいろあったであろう。それを今更また変えようと言
う。

 決まった以上それに従うのがそれこそ民主主義というものだろう。選挙制度の改
革を、そんな与党三党の都合で簡単にすべきものでないことは言うまでもない。小
泉首相もそれに難色を示していたが、もっと明確にそれを言うべきだろう。

 自民党も単独で衆議院の過半数を制した今、あえて制度改革を急ぐつもりはない。
公明党は連立の枠組みにこだわり、なにかと言えば民主党に秋波を送る小泉氏が気
にいらない。しかしそんな政党のエゴでこんな重要なことが左右されるはずがない
のである。与党幹事長会議ではさすがに検討は延期という結論になったようだが、
公明党はあきらめたわけでない。

 小泉首相はそのために連立が壊れてもしかたがないという覚悟も決めるべきだ。
政界再編の新たな一歩を踏み出すためにもぜひその方がいい。

2001/11/3
Tadashi HAYASE
今週の意見(245)

文化勲章の皮肉

 
 今年の文化勲章に「タテ社会の人間関係」で有名な社会学者中根千枝氏が選ばれ
た。ご本人は文化勲章の対象になるとは夢にも思わなかったとコメントされていた
が、それは、ほんとそうではなかったのではと私自身意外に思ったのである。
 
 と、同時にこの受賞自体大いなる皮肉ではないかと感じたわけだ。10月31日
の日経新聞「春秋」にもあったが、小泉首相の構造改革とは別の言い方をすれば
その日本社会の「タテ構造」との闘いそのものであると言えるのだろうか。
 
 「社会が大きく変化するときにこのシステムは弱さを見せる」「地球規模の変
革期にタテ社会の日本がさえないのは宿命かもしれない」と春秋に書いていたが
まさにその通りだろう。
 
 私の著作「パソコン知的生活のすすめ」の第16章「ネットワーク社会に生き
る意味」で書いたことはまさにこのことだったのだ。ちょっと長いが、その部分
を引用する。
 
 「それは世界の情報化であり、グローバル化、組織のピラミッド型、縦割り型
組織からネットワーク型組織への変換であり、その中での人々の政治や経営への
参加の変化ということだった。個の主張、個性重視、価値観の多様化、ライフス
タイルの多様化という現象でもある。
 
 そして2001年の今日まで、情報伝達がデジタル化、ネットワーク化、オー
プン化する中で、そうした構造的変化は徐々に現実のものとなり、加速化してき
た。こうした変化の中で組織の中で働くものはもちろん一般社会に身をおく者も
その変化の意味についてあまり考えていない。しかし政治、経済、あらゆる場で
の個人と社会との関わりが大きく変化していることはまちがいない。」
 
 今日本がさえない、マイナス成長からなかなか脱しえない、また構造改革が遅
々として進まないのは、まさに日本人のその「タテ社会構造意識、人間関係」か
ら一歩も脱しえないところにあるといって過言ではないだろう。経済がさえない
のは公共投資が抑制されたからでも、巷いわれる銀行不良債権問題が深刻だから
でもない。
 
 要するにタテ社会意識から一歩も出ずネットワーク化する社会への対応ができ
ない日本人の意識構造そのものが問題なのである。失業率が深刻なのも、就職と
は名のある会社に勤めることで、仕事そのものの選択だという根本的な職業観の
欠落が無関係とはいえないのである。
 
 中根氏の文化勲章受賞が皮肉だと言ったのはこのことだ。その受賞の趣旨は一
体なんだったのか。国が、小泉首相が「問題は中根氏の指摘のように日本のタテ
社会構造そのものを変えることなのだ」と考えたのか。そういう意味だったのか。
それだったら多いに意味がある。日本のタテ社会が変化の対応に弱いという指摘
をするだけのことなら一体なんの意味があるのか。
 
 文化勲章とならんで日本には数多くの叙勲制度がある。その制度のあまりも差
別的な等級という問題点が指摘され、制度改革案ができたそうだ。いくつもあっ
た等級制度をあらため六つのクラスにまとめるのだそうだ。ははあ、そうか、改
革してそ、れでもまだ等級が六段階もあるということなのだ。要するにそのタテ
発想から一歩も出ていないのである。
 
 問題は官僚や政治家の意識なのではない。そんなものには期待しない方がいい。
そうしたことに多くの国民はなんの問題意識もないのである。そのこと自体が問
題だと言いたいわけだ。
 
2001/11/10
Tadashi HAYASE
今週の意見(246):

パソコン絵画

 最近パソコンで描く絵に凝っている。絵というほどおおげさなものではないが、
簡単な挿絵的なもの、イラスト的なもの、ちょっとした簡単な風景画などもある。
自分の著作、「パソコン知的生活のすすめ」で、パソコンの使い方、特にデジタル
カメラの使い方の応用編として、パソコンで絵を描くことも紹介したのだが、これ
だけは自分でもあまり実践していないことであった。

 本が発刊されてから、MLにお二人の方が入会された。堀内さんと三橋さんであ
る。お二人ともパソコン絵画について大変熟達された腕をお持ちであり、描かれた
絵がMLで紹介されいくつか拝見してのだが、それはすばらしいものだった。どう
したらあんな絵が描けるのか、と思っていたわけだ。

 その後、三橋さんから、絵や写真などを中心に作品を発表する掲示板を作らない
かとの提案があり、@niftyのAV掲示板なるものを開いたのだが、2ケ月
ほどの間に、お二人を中心にすでに130件もの絵やイラストが発表されている。
最初私はそれにもっぱら音楽をつけることをやっていたのだが。それはそれで楽し
かった。

 が、そのうち私も刺激されて、簡単なものからと始めてみたのだが、いや、おも
しろいこと。まだ絵などになっていないが、簡単な挿絵程度みたいなものでも、そ
れをどう表現するか。姿、形、色、そしてその配置などなど考えることが山ほどあ
るわけだ。三橋さんはうまく描くコツの一つとしてものをよく観察することだ、と
言われた。

 絵を描くようになって、これまで何気なく見てきた世の中の風景、自然、生活の
身の回りあらゆることについてより注意して観察するようになったし、写真、絵画
あらゆる画像を見てもそれがどうなっているか、いいもの、人をひきつけるものは
なぜそうなのか、をより注意して見るようになったことが、なによりの収穫であっ
たと思う。

 そしてイラスト程度のものを描く場合でも、何をどう表現したら、それらしくな
るか、視覚と言う観点から考えることが大変楽しくなった。新しい知的生活の分野
が開拓できたと喜ぶとともにパソコン愛好者のみなさんにも是非おすすめしたい
のである。

2001/11/17
Tadashi HAYASE

AV掲示板:
http://mav.nifty.com/ahp/mav.cgi?place=tadml&no=6415
今週の意見(247):

  第一次補正予算が成立した途端もう第二次補正予算だという。改革は必要だが、
景気浮揚なくしてそれはできない、と与党政策担当者はいい、多くのマスコミもそ
れを支持する。公共事業関連族議員の言い分の丸飲みである。景気がよかろうと悪
かろうと改革すべきことは山ほどある。景気対策を名目でそれを先送りしてしまう。

 政府がやる経済対策、景気浮揚対策というと財政出動、政府がカネを使うことし
か考えないのである。第一次補正予算の成果も確かめないうちに次のカネを出せと
言ってるわけだ。そのために国債30兆円枠の突破もやむをえないという。

 この点でも小泉首相はすでに以前の公約をほごにしてしまっている。さすがに第
二次補正予算の必要性については、当初保留の考えを言っていたが、それもあっと
いう間に第二次補正予算を編成する方針になってしまった。最初2兆円規模だとい
うことだったがその後与党三党との協議で4兆円に膨れ上がった。

 「首相第二次補正予算を決意」のトップニュースの明くる11月26日の日経新
聞にOECDの「日本経済重大な減退」という報告のニュースがあり、コメントと
して「これら困難な状況の中でも財政再建の取り組みが求められる。日本の新規国
債発行高を30兆円に抑える計画を支持する。従来型の公共事業要求の第二次補正
などの圧力には断固抵抗すべきだ」とあった。

 当然の話だ。外部から見てもそれがまともな考え方である。だのに、日本では政
治家もマスコミも改革を唱えるご本人も、どうもその核心をごまかしてしまう。

 小泉首相は最初の頃は、「改革なくして経済成長なし」と言っていた。その通り
だと思った。が、結局継ぎ足し、継ぎ足しの妥協政策の連続だ。これもいわゆるツ
ースロ、ツーリトルの典型だ。竹中さん、「骨太」の経済改革を何時になったら始
めるのですか。

2001/11/24
Tadashi HAYASE

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