2008年 今週の意見 5月
今週の意見(576):
解散総選挙を主張しないマスコミ
4月30日、政府与党はガソリン値上げにつながる税制改正関連法案を衆議院で再
可決成立させた。これに関して日経新聞、朝日新聞は緊急世論調査を実施、結果両
紙とも福田内閣の支持率が内閣発足以来最低を記録し、最低20%ぎりぎりまで落
ち込んだ。政党党支持率も自民党33%、民主党36%と逆転した。(日経 )
当然の結果であろうと思われる。ところが同じマスコミで、「あらたにす」の共同
ネットサイトに参加している読売新聞はいまだそうした世論調査を一切行っていな
いのは一体どういうことだろうか。なにか政治的意図を感じられてならない。
読売といえば、日本テレビの報道バラエティ番組に「大田総理」なるものがある。
タレントの大田が、「総理」に扮して時折のさまざまな政治事件について、出席の
与野党議員、評論家、芸能タレントなどとともに、時々の政治課題について討論し
大田首相が提案する法案について賛否を決するというものだ。もちろんまじめな議
論もないことはないが、バカタレントのバカ発言などもわざと織り込むのであろう
ばかばかしくて見ておれないものがたくさんある。この番組に出席する与野党議員
も大抵決まっていて、これも一種の芸能タレント並みに扱われているのが実態だろ
う。まあ一種のバラエティショーとしてみていればいいもので、そんなものの内容
にいちいち目くじらをたてることもない。
が、昨夜のそれは特にひどかった。新聞の番組紹介欄に「大田首相驚きのマル秘提
案」とあった。そのマル秘提案とは一体なんなのかと考え、見たわけだ。なんとそ
れは大田総理が番組冒頭で「今政治は与野党対決で大混乱しているから、衆議院を
解散し、民意を問うことを提案し、その番組の「議会」で議決しようというものだ
った。そんなことは驚きの提案でもなんでもない。上記朝日、日経の世論調査でも
今や衆院解散をもとめる声が非常に大きくなっているとことは明らかなで、何が驚
きなものか、とその推移を見ていたのだった。
番組の中で司会者は与野党の議員や評論家、タレントにそれについて意見を言わせ
る。野党議員が解散総選挙の必要性をまともな論理で主張するのにたいし、出席の
自民党議員達、ばかばかしくてその名前をいうのもおこがましいのだが、それぞれ
今解散など出来る状況でない、すべきでないことをぬけぬけちと言うわけだ。「解
散、解散というが、それは福田総理の専権事項だ」、「いま解散すると政治的空白
が生じるて、重要課題がこなせない」、「選挙には800億円もの国費が掛かる」
など全く筋にあわぬことをいうのだ。
あげくの果てに採決の結果、結構大差でその提案を否決してしまうという筋書きで
番組が終了する。それに付け加えて、番組の最後に一般視聴者からの声として、賛
成の声も紹介するが、解散など全く必要ない、そもそもこんな混乱を招いた責任は
主に民主党の無責任な国会行動にあるいうような声を紹介するという筋書きになっ
ているのである。
いや、こんなバカ番組など最初から見なければいいのだが、誰がこんな筋書きのバ
ラエティ番組を作るのか、その裏というか、政治的意図が感じてならないのは私だ
けだろうか。
いや、どうもおかしいのは、解散を求めないのはこうした系列の新聞、マスコミに
かぎらない。日本のマスコミは総じて、今の政治状況の中で、解散総選挙を求める
声、それを明確に主張する声を案外あげないのはなぜだろうか私は理解に苦しむ。
どう考えても現在の日本の政治の大混乱を収束する唯一の手段は解散総選挙しかな
い。自民公明の政権与党がただただその延命のため、なんとかそれを避けようとし
ているのは許せないが、マスコミがどうしてそういう政権与党のスタンスを厳しく
追及しないのか、それをしないマスコミに不信の念を深める毎日なのである。
2008/5/3
早勢 直
今週の意見(577)
自民党政権ではなしえない地方分権
「地方分権―官僚になめられるな」というのが5月9日の朝日新聞の社説にあった。
た。地方分権改革についての早期実現の必要性を述べている。福田内閣のもとそれ
が遅々として進まないこと、中央官僚たちの抵抗に強さについて書いている。その
実現のため福田首相のより強いリーダーシップや担当の増田総務大臣へ期待を述べ
ている。
その限りにおいてはその通りなのだが、しかしそれを福田内閣に期待することはも
」ともと無理な話なのではないか。社説自体で書いているように、福田政権がいつ
までもつかわからないような現状で、担当の増田総務大臣に期待を示してもしかた
のないことだ。それ自体無駄な話ではないのか。
この中央官僚支配政治は長年の自民党支配の政治そのものであった。その政官癒着
ぶりは、自民党政権内閣そのものでは、それを打破したり改革したりすること自体
が無理な話なのだ。
あらゆる意味で地方分権改革は今日本政治を大きく変える一番の難事業であろう。
今日政治をめぐっての最大の問題の一つはは道路特定財源の一般化のことであるが
そのこととこの地方分権改革をどう進めるか進めないのかという議論と極めて関連
の深いことである。
道路特定財源を2008年度以降も10年間維持する道路整備費財源特例法改正案を政
府は衆議院で再可決する方針であるが、それは言ってみれば中央官僚支配体制の維
持そのものをめざしたものであると言って過言ではない。これに対し民主党をはじ
め野党は地方分権を確立するためにこそ、道路特定財源の一般化を即始めるよう主
張しているのであり、地方分権化を進めるためには野党の主張こそが、正しいもの
だと信じるものである。
そうした観点からいうと、真の意味の地方分権改革は政権交代、民主党の政権奪取
ということを通じてしかありえないというのが本当のところであろう。そういう意
味で朝日の社説は少々おかしいといわざるをえない。
2008/5/11
早勢 直
今週の意見(578):
メタボリックシンドローム:85センチルールは妥当か
たまたま昨夜のNHKクローズドアップ現代でこの問題をやっていた。今話題のこ
とだからある程度のことは知っていたが、国がメタボリック・シンドロームの予防
と改善を目的として、新しい検診制度を導入し、その対策を怠った自治体や企業の
健康保険組合には事実上罰金を課すという制度まであることはよく知らなかった。
そしてこの番組を見ているうちに自身のことが俄然気になりだしたのだった。
自分自身のことである。メタボの判定基準の一つとして腹回りが85センチ以上と
いうものがあるが、NHKの番組ではその判定基準をめぐって妥当かどうかそれを
決定する上で重要な役割を果たした厚生労働省審議委員会の委員の医師と、その8
5センチというものにはなんら科学的根拠がないという大学病院医師二人の意見を
対決させていたのだった。
いや、私自身腹回りは85センチぎりぎりだが、体重は今年の初めくらいまでは6
8キロくらいであった。だから、たいしたことはなかろうとたかをくくっていたの
だ。が、つい二日ほど前、久しぶりに体重を量ってみたらなんと70キロを少し超
えているではないか。びっくりしたわけだ。メタボの基準で体重というのは特にな
いようだが、体重がこんなにあっては腹回りは間違いなく85センチを超えている。
要するに国の定めた基準に関する限り自分も「メタボ」ということになる。
番組を見ているうちに、そうだそうだと思ったことがある。それはこの85センチ
という基準設定に異論を唱える医師の言い分である。この医師はこの基準には科学
的根拠が全くないと主張していた。肥満が各種の老人病、糖尿、心臓病、脳梗塞な
どの原因になっていると見方がある一方で、肥満かやせすぎかどちらがいいかとい
うと長寿という観点から見るとどちらかともいえない。むしろ老人病の人はやせて
いることが多いという事実から見ても、やせていることがいいことだなどと軽がる
しくいうべきでないという極めてわかりやすいことをおっしゃった。その通りでは
ないかと思ったわけである。
いや、私自身はこの年になるまで長年どちらかというとずっとやせ型であった。身
長170センチ、体重67キロという状態をずっと続けてきたし、毎年受ける健康
診断でも血圧、血糖値など問題になったことはない。ここにきて上記のように急に
体重が増えたのは、おそらくずっと週二日程度続けてきたテニスを右手首の腱鞘炎
でここ数ケ月やらなかったこと、その一方で食べる方は食欲十分で、毎食なんでも
おいしく食べてきたというせいである。健康診断は今年になってからまだやってい
ないが、特に持病はないし、問題はなかろうと自分自身では判断してきたのだった。
いや、この番組をみてある種のショックを受けたことはよかった。早速今朝から飲
むコーヒには砂糖の量を半分にするし、結構食べる朝食も量的には半分くらいに減
らそうと決意したわけだ。テニスはともかく、朝のラジオ体操だけでは不十分でも
っと運動量も増やすということだ。
それはいいが、そこで改めて気がついたというか考えたことがある。今後期高齢者
医療制度が大問題になっているが、それについで、いずれこのメタボリック・シン
ドロームのことも大きな国民的論議の対象になってくるだろうという予感である。
どうやらこの制度も後期高齢者医療制度と同様、国が医療費アップという事態を抑
えようという意図から一つ発しているのだ。企業や自治体に罰金を課してまでそれ
をやることが果たして妥当なのかどうかである。私自身はそれについては決して否
定的でない。
しかしそのためにはまずまずはメタボの判定基準の科学的根拠をもっと明確にする
ことが必要ではないか。まず腹回り85センチを超えたらメタボリックだと判定し
てしまう、それにはなんの医学的根拠もないというような議論が出てくること自体
がおかしいわけで、この問題をめぐって今後どのような国民的論議が出てくるのか
興味を持って見ているところである。
2008/5/17
早勢 直
今週の意見(579):
5番目に平和な国日本の役割
世界の中で、日本は5番目に平和な国。英国の調査会社がまとめた世界平和指数
(GPI)で、日本は140カ国・地域の中でかなり高い評価を得て、G8の中で
唯一ベスト10入りした。ランキング高位には北欧諸国が目立つ。 1位はアイスラ
ンド、中国67位、米国97位で、最下位はイラクだった。G8の中ではロシアが
最下位とされた。
軍事費や近隣国との関係、人権状況など、単に戦争をしているかどうかだけではな
く、平和な社会の実現に必要な24分野の指標を設定して割り出したという。昨年
121カ国を対象にしたのが最初で今年は2回目。 日本は犯罪やテロの懸念、人権
尊重など多くの分野で最高の評価だったが、近隣国との関係や軍備能力の高さなど
が平和度にはマイナスと見られたようだ。
このような指標があるとは知らなかったし、存在することの意味は大きいと思う。
平和であるかどうかいいことかどうかといえば、安心して社会生活をおくれるとい
う意味の大切さはもちろん、ビジネスの観点からの意味がある。世界の企業がどこ
の投資するかといえば、その地が平和で安定した社会であるかどうかが一つ大きな
指標となることはいうまでもないことである。それ自体が一つの重要な経済指標で
あるといってもよい。
G8すなわち経済大国の中で、日本が一番平和な国だと認定されたことの意味は非
常に大きいのではないか。これには日本の平和憲法の存在の意味をはずしては考え
られないことだ。日本国内の最近の世論調査では、憲法改正の論議の中で、日本の
平和憲法、9条の戦争放棄の条項を基本的に守ろうという考えが増えているという
事実がある。が、このことはこの国際調査の報告が日本人の平和に関する意識の方
向が正しいことを裏付けたものと解していいのだろう。
G8といえば、経済大国の代名詞であるが、その中で日本がもっとも平和な国であ
るという事実を日本は誇りとし、その立場から世界の平和に貢献すべきことがたく
さんあるということを改めて認識すべきだと考える。その具体的なことの一つは国
連安全保障理事国の常任理事国がそのG8各国ほか、中国などで独占されているこ
とだ。国連が第二次世界大戦の後の戦後処理のためにできた機関であるといういき
さつが未だ引き継がれたままである事情はいうまでもないが、それはおかしなこと
である。
国連が世界の平和や人権を守るための国際機関ということなら、この調査でいう平
和な国がもっと中心になって世界の平和をリードする役割を演じるべきであろう。
その中でも経済大国日本の役割が大きいはずだ。 そういう意味で日本が安全保障
理事会の常任理事国となってその役割を果たす部分の大きいことを、日本自体もっ
と自信をもって主張し、そしてそれが世界各国から支持されるように働きかけてい
っていい立場であることをもっと認識すべきではないのか。
2008/5/24
早勢 直
今週の異見(580):
アフリカ開発会議の成果
アフリカへの包括的な支援策を協議してきたアフリカ開発会議(TICAD)は5
月30日、世界的な食料価格の高騰問題への懸念などを盛り込んだ共同文書「横浜
宣言」を採択し、閉幕した。首相は会見で「サミット議長国としてアフリカの期待
に応えるため全力を尽くす」と表明。TICADの成果を7月の主要国首脳会議(洞
爺湖サミット)に反映させていく考えを示した。
この会議では、アフリカ諸国から日本の協力を求める声が続出した。福田康夫首相
は6月初めの「食料サミット」で積極支援を表明する意向でありまた7月の、サミ
ットでは議長国として指導力が問われる。
中国での大地震のニュースの影に隠れて、横浜で行われたアフリカ開発会議が今一
つマスコミの話題になることが少なかったのは事実だ。またなぜこんな日本からは
るか遠いアフリカの開発会議が、日本の横浜で行われたかの意味を理解している人
は少ないようだ。そのニュースを見ても今一つぴんとこないのは事実であったろう。
しかし、今アフリカで起こっていることは、今日国際社会が対面している数々の深
刻な問題そのものなのである、いや、日本が抱えている問題そのものでもある。日
本は国際社会の一員として、このアフリカの開発問題をアフリカ諸国とともにとり
くんでいくこと自体日本の国際社会における貢献、日本の継続的な経済発展のため
にも必要なこと、大きな役割であり、果たすべき責任の一つだということだ。
アフリカの問題の第一はいうまでもなく食料問題である。世界の穀物価格高騰で多
くのアフリカ貧困国が飢餓の危機に直面している。短期的には国連や日本の資金援
助が必要であり、それが提供されることがまず必要である。しかし、長期的にもっ
と大切なことはいかにアフリカ諸国が食糧自給体制を作っていくかである。欧米か
らの小麦の輸入ということに大きく頼っていて片付く問題ではない。
このためにはアフリカの土地に適したコメ生産増強のプロジェクトを進めることで
ある。その推進のためには、日本のコメ作りの技術や、農地開発、道路交通などイ
ンフラ整備の技術が役立つことはいうまでもない。
さらにもっと重要なのは地球温暖化対策である。アフリカの地は低CO2排出であ
るからこの問題と無関係なのでなく、農業振興、食糧増産のため、地球温暖化によ
る異常気象の深刻な影響を受ける点は世界中と同じこといや、それ以上だといわれ
ているのだ。アフリカの砂漠の地をグリーン化するための日本の技術が役立つこと
そのための資金援助が必要なこともいうまでもないことである。
このアフリカ開発会議で日本はアフリカ諸国に対しODA開発援助を増やすことを
表明した。日本自体が財政再建のさなか、日本のアフリカ向けODAが世界で5位
になったことはいたしかたないとしてもあらためて、その開発援助を積極的に展開
していくことを表明したことは正しいことではないか。財政赤字に悩む日本がそれ
どころでないとか、日本自体の食糧事情悪化に直面する今日、アフリカのことなど
心配するどころでないなどという考えは決して正しくない。
アフリカが今日直面する問題はかって日本が高度経済成長をなしえた過程で直面し
た問題そのものであり、また今改めて直面する食糧問題、農業問題、環境問題、イ
ンフラ整備問題、資源開発問題など、自らの問題を解決しながら今は特にそうした
問題が集中しているアフリカに着目し、アフリカ諸国に必要な援助を与えながらそ
うした問題を共有し、その解決のために手を携えていくことは大切なことである。
そうした形でのアフリカ諸国との交流が経済、文化あらゆる面で日本国自体にプラ
スとなって跳ね返ってくることはいうまでもないことだろう。
2008/5/31
早勢 直
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