2000年 今週の意見 5月

今週の意見(165)

おそるべき数字

 経営再建中のそごうが、2000年2月期のグループ全体の債務超過額が5800
億円に拡大したと発表した。いやはやおそるべき数字である。普通の企業ならとっ
くに倒産しているものをどうしてこんなになるまで、それが放置されていたのか不
思議だ。

 2,3週間前、そごうは取引金融機関に対し2001年末までに総額6390億
円にのぼる過去最大規模の債権放棄を要請している。主なものでは日本興行銀行が
1801億円、日本長期信用銀行が970億円ほど放棄するそうだ。いやはやこれ
も恐るべき数字である。

 そんな多額のカネが一体どこに消えたのか。銀行とてよくもそんな多額の債権を
放棄できるものだ。返せと言っても返ってくるものでもないし、そうせざるをえな
いのだろうが。

 そごうの実質的オーナーである水島会長はさっさと辞任してしまった。が、残っ
た経営陣はこの後始末どうつけるのだろうか。そしてこのような無責任極まりない
企業に多額のカネを融資した銀行経営者の責任はどうなるのか。

 そんなことは部外者には関係ないことなどと言わせない。そんないいかげんな相
手にカネを貸した銀行には公的資金と称して、多額の国民の血税が注入されている
のである。

 国民はあんな安易な解決策に監視の目を光らせ、おおいにクレームをつける権利
があるのだ。

 (この記事を書いたのは4月28日の朝。これをフリーのホームページに掲載し
た。そして朝刊を郵便箱にとりに行った。朝刊を開いてみたら、そごう副社長自殺
のニュースが一面にあった。いやはやなんともお気の毒、無残な話である。

2000/5/6
Tadashi HAYASE
今週の意見(166):

ウイルスメールの恐怖

 5月7日の朝日新聞一面トップはウイルスメール「I LOVE YOU」 が世界中で猛威
をふるっているという話。4500万台が被害、日本でも4万台で被害が確認され
たというニュースだった。

 知らない人から電子メールが届いており、中身が確認できないフアイルが添付さ
れている。で、それを開いた途端、「I LOVE YOU 」のメッセージとともに、画像を
始めとするパソコン内のフアイルが壊されてしまうというもの。しかもパソコン内の
中に登録されている電子メールアドレス先に、自動的に同じものが送られ、ネズミ算
式に被害者が増えるということだ。

 コンピュータマニアのハッカーのせいだが、悪いことをするやつがいるものだ。困
ったことである。もちろんそれが第一のコメントだ。

 しかしもう一方で感じるのはいつもこうしたことに対するマスコミの報道、過剰反
応である。例えば、7日の朝日は社説でこのことを採り上げていわく。「危うきに近
寄らず」

 その被害の状況を詳細に書いたあげく、こう結んでいる。

 「日本でも、警察にサイバーポリスが発足したが、ネット犯罪への態勢づくりはま
だ始まったばかりである。政府、民間企業、一人ひとりの利用者がそれぞれなすべき
安全対策を講じたときに、初めて安心して利用できる。インターネットは、そんな世
界である。」

 社説が本質的に間違ったことを言ってるというのではない。が、要するにこんな言
い方では、一般のユーザをただ脅かしているに過ぎないことになる。企業にも、世間
にもネット社会への移行の絶対条件たる電子メールの利用や、インターネットの利用
に関して否定派、消極派がいるものである。こうした消極派は「だからそんなものま
だ使えない、使わないでおこう。君子危うきに近寄らず」というスタンスなのだ。マ
スコミのこうした感覚的、感情的報道はこうした連中を力づけるだけなのである。

 企業が、そして個人がそれぞれこうしたウイルスに適切な対応を取ること、備える
ことは当然の常識なのである。そして、仮に、仮にである。それをうっかりして、ウ
イルスに進入され、犯されたとしてもしかもコンピュータ内のデータを壊されたとし
ても、死にいたるわけでも不治の病におかされるわけでもなんでもない。コンピュー
ター内のデータを全部消去して、取っておいたバックアップシステムとフアイルを全
部入れ替えれば完全に元に復帰できるのである。

 コンピュータ、パソコンの世界ではそんなことは常識なのだ。その対策をおろそか
にしたり、面倒がっていてはコンピュータなど使う資格はない。ウイルスごときに恐
れをなして、その電子メールの積極利用を躊躇することこそがネット社会を育ててい
く上で一番の問題なのである。
 
2000/5/13
Tadashi HAYASE
今週の意見(167):

政治を変えよう

 小渕さんが亡くなられた。ご遺体を載せた車が病院から国会や、官邸を回って自
宅に帰るシーンをテレビのニュースで見たが、涙がでた。小渕政治にもいろいろ批
判があるが、九州・沖縄サミットは小渕さんの決断で決まったものであり、これだ
けは小渕さんご自身にやらせてあげたかったという政治家が多いし、多くの国民も
そう思ったことであろう。

 小渕さんのご冥福をこころからお祈りする。

 折から、竹下、梶山、原氏などが、政界から引退。そしてまもなく衆議院解散総
選挙となる。日本の政治も大きく変わろうとしている。いや変えなければならない。
いつもおかしい、けしからんと思うのはそうして引退した人々の身内関係者がそれ
らの選挙地盤を引き継ぐことである。現在の国会議員の中にも相当な数そういう議
員がいる。現内閣の中でも文部大臣中曽根氏、自治体大臣保利氏などがそうだ。

 世襲の全部が全部悪いとは言わない。父親や祖父の政治家としての立派な姿を見
て自分も政治家として国家国民のために働こうと一念発起、政治家を目指す人もい
よう。が、多くはせっかく一家で築いた地盤を守ることにその主眼がある。本人の
政治家としての資質、志などは二の次だ。

 かくして次の総選挙でもそうした議員が続々と当選してくる。政権党である自民
党にそういう議員が多いのは当然だが、これで政治が新しく変わりようがないので
ある。

 今回市民団体が当選させてはならない議員10人というのを発表し運動を始めた。
大変いいことだ。どういう基準で選んだのかわからないが、いわゆる族議員、高齢
でろくろく政治家としての活動をしていない議員、世襲だけが念頭にあるような議
員などが含まれているようだ。いかなる党派に所属しようが、まじめに政治活動に
打ちこんだ人は含まれていない。

 日本は今あらゆる意味での構造改革の真っ只中にある。が、まず政治の世界から
大きく変革させていかなければならない。そのためにはなによりも政権交代が必要
だと考える。与党自民党は小渕氏の死を弔い合戦などといい、国民の同情票に訴え
る作戦に違いない。そんなものにだまされてはならない。
 
 小渕さんも真摯に国家国民のために働かれたし、その志半ばにしての挫折は本当
に無念であったろう。が、それとこれからの政治のあるべき姿は別の話である。国
民はもう世襲だの、同情だのという世界からきっぱり離れなければならない。国家
国民のための政治を誰が本当にやってくれるのか、政策を見極めてそれぞれの人物
政党を選択すべきである。

2000/5/20
Tadashi HAYASE
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