2009年 今週の意見 3月
今週の意見(620)
定額給付金の愚策
小沢氏の秘書が西松建設関連政治団体からの不正献金容疑で逮捕された事件に国民
の耳目が奪われる中、水曜日問題の定額給付金法案が衆議院で三分の二で再議決さ
れた。ついにやりぬいた暴挙である。
定額給付金については国民の70%近い人が反対を唱えていた。その経済効果に疑
問の声をあげ、2兆円も使うのならもっとほかに国民生活に直結する、医療、雇用
といった分野で使うべきだという意見が数多く出されておりそれが正論だと思われ
た。これには野党も一致して反対、修正提案をしていたのだが、自公連立政権はこ
れを無視し、強引にことを進めた。
これに反対をしていたのは野党だけでない。元総理の小泉氏も、反対の意を唱え、
国会を欠席までした。驚くべきことに多くの自民党議員がTVなどで、自分も実は
反対だが、ここまできた以上賛成せざるをえない、内閣、党の方針には従わざるを
えないということだったのだ。要するに多くの自民党議員は、反対することで選挙
の近い現在党の公認が得られないと困るということで造反するわけにいかなかった
のだ。なんともまあ情けない状況である。
定額給付金に関しては麻生総理のその趣旨説明がぶれまくったことも衆知の通り。
最初それは生活困窮者向けのものに配るもので、カネ持ちが受け取るのはさもしい
とまで言っていたのに、最後は一転、自分も受け取って、消費拡大の一翼を担うと
言ったものだ。最近流行の言葉だが、まさに「聞いていて怒るより、笑ってしまう」
しろものである。
とにもかくにもこうして政府与党が強引に進めてきた定額給付金だが、法案が成立
した直後一部の地方の村で給付が始まった。年寄りたちが村の役場の窓口に並び、
うれしそうにそれを受け取る様子がTVニュースで報じられた。それをみた政府や、
自公の幹部たち、とりわけこれを提案した公明党の幹部たちは「ほらみたか、みなこ
んなに喜んでいるではないか、大成功だ」などとコメントしたに違いない。
とんでもない話である。人口千人の村だからそんなことで済んだ。これが中都市、
大都市になってくると、その配布の事務の仕事自体が大変な作業になるし、時期に
ついても4月、5月になってくる。多くのトラブルの発生も予想されているのだ。
国民の7割が反対しているという声にたいし、自公の幹部はこう答えていた。「8割
9割の国民は受け取ると答えている。」 何を言ってるかである。実際に給付となれ
ば、それがたかが一万、二万のカネだって、もらえるものはもらうに決まっている。
だってそれはもともと自分たちが払った税金そのものだからだ。私自身ももちろん
もらう。ただなんとか村のご老人みたいに「ありがたい」などというセリフはもちろ
ん言わないし、しらけた気持ちで受け取るだけだ。いや、これに反対を表明した7
割の国民の気持ちも同じであろう。
それを有難がるだろうと想定してこれを提案した公明党は国民を馬鹿にしている。
そもそも給付金という名前がおかしい。給付してやるからありがたく頂戴せよ、と
いう発想だ。誰がこんなもの有難がるものか。
今年も面倒な確定申告が終わったところだ。社保庁の年金源泉徴収票の中に入って
いない国民健康保険料、生命保険料などを入れるとそれでも毎年いくばくかの還付
があるのが普通だ。この定額給付金も単なる税の還付金のようなものだ。大きな費
用をかけて銀行に振り込まれてくるところは同じだが、給付金の方は多額の費用が
掛かっていて、それがまた税金の無駄使いもいいとこなのである。
名目はどうであれ、自公与党はこれが来るべき選挙対策のためのばら撒き作戦であ
ることは明瞭である。さてこれからも選挙戦の中で、定額給付金の効果をめぐって
の論戦がくり広げられるはず。
この天下の愚策に有権者国民の声が自公に対する鉄槌として下される日が一日も早
いことを待っているところである。
2009/3/7
早勢 直
今週の意見(621):
防衛問題への関心がなぜ低いか
北朝鮮による拉致被害者、田口八重子さんの家族と大韓航空爆破事件の実行犯、金
賢姫元死刑囚(47)の面会があり、田口さん家族にとっては八重子さん生存の希
望がもてたことは明るいニュースであった。北朝鮮に関しては今北朝鮮がミサイル
とみられる「人工衛星」を打ち上げ動きが、大問題となっている。
国家防衛の問題では 政府は13日午前の閣議で、東アフリカ・ソマリア沖の海賊
対策として自衛隊法82条に基づく海上警備行動の発令を決定した。実はこれも日
本の防衛問題上大きなというか、ある意味で画期的な行動であったのだ。
こうした防衛問題について日本国内のマスコミの反応はもちろん一般国民の関心は
極めて低い。ミサイル問題についてはとにかくミサイルが日本海を経て、日本上空
を飛来してくるということだから少しは気にかかることだが、北朝鮮といえどもま
さか日本を直接攻撃するとは夢に思っていないふしがある。だからこれについて政
府が韓国やアメリカと共同歩調をとってこれをやめさせようとしていることについ
てもたいした関心がないのだ。
今国民の政治問題への関心はもっぱら小沢代表の政治献金の問題に集中している。
が、不思議なはなし肝心の自民、民主両党の間では、この問題に関しては非難合戦
はほとんどない。双方とも同じ問題を抱えているからだ。うっかり相手を誹謗する
と、それがそのまま自分のところに返ってくる可能性があるからだ。
この国民の命が直接掛かっている防衛問題は我々国民がもっと関心を持つべき大切
なテーマなのだ。金曜日、自民党の中谷元防衛庁長官が、民主党の小沢代表の「日本
の防衛のためには米軍の第七艦隊のプレゼンスで十分」という発言を問題視し、小沢
氏を国会に呼んで真意を聞こうと主張し民主党の反発を買ってとりやめになるよう
だ。いや、これはまさに重大問題なのである。
たしかに小沢発言をただそれだけ聞くと、この北朝鮮からの脅威がある時に何を暢
気なことを言ってるかということになる。が、小沢氏の真意、話はむしろ逆ではな
いか。小沢氏の真意は、日本の防衛は日米安保を軸したものであることには変りが
ないが、日本自身がもっとより大きな責任と自覚を持ってことに当たる体制作りが
必要だと訴えのだろう。
現在の日本の防衛はアメリカ軍におんぶに抱っこの状況だ。こうした結果が国家の
防衛についての国民の関心の薄さの結果となっいるということだ。日本はもっと日
本独自の手で国家防衛体制を築いていく必要があるということではないか。それは
必ずしも今の日本駐留の米軍に匹敵する自衛隊を配備するということではない。こ
れからの北朝鮮の問題を含めたアジア、世界の軍事戦略の中で考えていくべきこと
だということだろう。
小沢民主党の防衛政策がどのようなものかその全容はあきらかでない。民主党は来
るべき選挙に備えてそれを国民の前に明らかにする必要がある。一方政権与党の防
衛政策もそれがすべて正しいとは限らないし、すべて間違いということでもない。
それぞれがその政策論議を深める中で、来るべき選挙で自民党が政権を維持しよう
が、民主党が取って替わろうが、外交防衛問題だけは、より大きな意味でより一致
したものでなければ困ることは言うまでもない。
マスコミもただ政治家の言葉尻だけを捉まえるのでなく、防衛問題についてはもっ
と大きな意味での国民の啓蒙理解を深めるような報道や論評をお願いしたいものだ。
それが防衛問題についての国民のより正しい理解と意識の向上につながるものと考
える。今それがもっとも重要なことと考えられる。
2009/3/14
早勢 直
今週の意見(622):
憲法を知らない麻生首相
日本の総理大臣が、憲法が唱える三権分立の原則の意味をを知らないとはおそれい
った。
参議院予算審議の中でたしか社民党の福島党首の質問への答えであったが、麻生首
相は小沢氏秘書の逮捕について聞かれ、「明らかに違法であったがゆえに逮捕にな
った」と発言した。福島氏は「検察に逮捕されたとて、裁判はこれから始まるのであ
って、それを行政府の最高責任者が「明らかに違反であったゆえの逮捕になったとい
う発言はおかしい」と指摘したのだった。が、首相はその後の記者会見でも「違法性が
あったから逮捕したのだろ、そのどこが悪いのか」という趣旨の説明を繰り返した。
検察当局がが違法性があり、その証拠もあると判断した上で逮捕したことはそれで
いい。が、それが法的に有罪であったかどうか決めるのは裁判所なのだ。それを行
政の長である総理が、有罪、無罪の判定をして一体どうなるのか。
そんなことは司法・行政・立法の三権分立の憲法の大原則なのだ。常識中の常識で
はないのか。民主党の鳩山幹事長が「首相はいつから裁判長になったのか」と批判し
ていたのは当然だ。いや、それが裁判長であったとしても、まだこれから検察の最
後の方針すら決まっていない段階で、だれが「逮捕されたから有罪だ」などと発言す
るものか。
同じく民主党の菅氏が、この一言で麻生氏は首相の資質がないと批判したのもその
通りである。こうした重大失言について、マスコミがこれを捉え、さしたる批判を
しない、問題にしないところがまた情けない。これはこれまでのさまざまなぶれ発
言の類ではない、絶対に許されるべき発言ではないのだ。
憲法の大原則というと、もう一つ麻生首相が理解していないものがあるようだ。そ
れは、二院制を取る日本の立法府国会の成り立ちのことだ。国会がなぜ衆議院、参
議院の二院制を取り、そしてその二つの院での議決が違った場合、衆院優位の議決
があるかということだ。これまで政府与党は衆院三分の二の勢力を使って度々参議
院で否決されたものを衆議院で再議決を繰り返してきた。憲法の規定からいうとそ
れはなんら憲法の原則に違反するものでないと与党はいうが、その規定の存在意味
からいうとあくまで緊急避難的に使うべきものであって、恒常的に使うべきもので
ないことは明白である。
が、麻生総理はそんなことは全く意に介する様子はない。3年前に得た衆議院での
圧倒的多数の議席を元に強引な政権運営を続けている。いや、どうやら後半年9月
の任期まで目一杯政権の座に居直るつもりらしい。
憲法の原則、精神もなにもあったものでない。こんな愚かな首相をもった日本とい
う国家は不運であったとしかいいようがないのか。
2009/3/21
早勢 直
今週の意見(623)
侍ジャパンWBC連覇の意味
原監督が率いる侍ジャパンがWBCで連覇、日本中が歓喜に包まれた。私自身も歓
喜した一人であり、うれしいニュースであったことにはちがいない。最後の一瞬を
TVで見ていたが、はらはらの連続であった。9回ぎりぎりのところで同点に追い
つかれた時など、流れから言って、「もうこれで負けた」とあきらめ、TVのスイッ
チを一度切ったくらいだった。が数分後もしやとTVのスイッチを再び入れてみた
ら、あのイチロウ決定打のお膳立てができていたのだった。
私はもともとプロ野球の大フアン、それも地元大阪の生まれということもあってか
って南海フアン、その南海が何度巨人に挑戦しても日本シリーズに勝てず切歯扼腕
していた時代があったのだ。それがあの杉浦投手が4−0で巨人を下した時のうれ
しさは今でも覚えている。たしか大学生のころのことだ。
大学を卒業し、東京の企業に就職のため東京に住まいを移したのが今の武蔵村山市
その頃誕生したのが西武ライオンズ、所沢球場がすぐ近くということもあって西武
フアンになった。西武はかっての南海とは逆に日本シリーズで何度も巨人をやっつ
けてくれた。が、私がプロ野球を見ていたのはそこまでで、転職で地方の企業に勤
務することになり、地方に住居を移したこともあって、それから定年退職から今日
に至る20年間近く、プロ野球にはまったく関心もなく、ゲームを見ることもなく
なっていた。
ただ日本のイチロウをはじめ日本の選手がアメリカ大リーグで活躍するのに関心が
あってイチロウや松坂が登場する大リーグの中継は時々見ていた。イチロウなど今
でこそ有名だが、何度パリーグで首位打者になっても、日本のフアンは見向きもし
なかった。そしてそのイチロウがアメリカに渡っ頃だって、日本の多くの野球フア
ンはあんなに活躍するなど思っていなかった。それが今になってみると、イチロウ
をまるで神様みたいに扱う。それには反感を覚えるくらいのものなのだ。
イチロウ、松坂ほかアメリカ大リーグで活躍する状況を苦々しくいう野球評論家も
いたし、日本フアンの中にもいたことは間違いない。それが第一回のWBCで日本
が優勝したり、北京オリンピックで敗退したりした結果、このWBC世界戦に大い
なる関心が集まったこと自体別に悪いとは言わない。が、そもそもオリンピックは
もちろん、このWBCがあたかも野球の世界最強を選ぶ大会でないことなど明白な
ことである。
WBCを主催する以上アメリカだって優勝したいのだろうが、別に負けてもさほど
悔しがっている気配はない。オリンピックになどは最初からメジャーリーグ戦の最
中ということもあり、メジャーの選手など最初から参加などしてない。そのオリン
ピックはもちろんWBCが世界一を決める大会であるかのようにいうこと自体がお
かしいのだ。極端にいうと北京オリンピックで優勝したから韓国が野球が世界で
No1などということはもちろん、WBCで連覇したから日本が世界を制したなど
という言い方自体がおかしいのである。いや、なにもそうした世界大会で勝ったこ
と自体にケチをつけるつもりなどさらならないが、オリンピックだ、WBCで勝っ
た、負けたでそんなに一喜一憂する必要はないといいたいのだ。
こと野球に関しては今や日本がアメリカに肩を並べる野球大国になったことは間違
いのない事実である。その日本がWBCで優勝してもおかしくない。日本は今や野
球をやる選手層という意味ではアメリカ以上の野球大国である。時あたかも現在春
の選抜野球大会が甲子園で開かれているが、WBCの影に隠れて、殆ど注目されて
いない。が、全国からのその参加校のかずなど、その層の厚さはアメリカはもちろ
ん、韓国など比べるべくものないのだ。
そうした意味でも侍ジャパンなるチームの選手の誰をとっても、高校、大学、そし
て都市対抗のいずれかで大活躍し、厳しい競争を勝ち抜いて選ばれてきた選手であ
り、優秀でないわけがないのだ。そういう野球選手層の厚さという点からいうと、
日本のそれはアメリカはもちろん、韓国など及びもつかないのである。日本のプロ
野球の優秀さはそうした層の厚さの象徴であって、その中からさらに厳選された選
手、メジャーの選手たちがあれくらいの活躍をするのは当然のことなのだ。それを
あたかも奇跡みたいにいうことがそもそもおかしいのである。
第一短期決戦では何が起こっても不思議でない。例えばこのWBCが一年間にわた
るリーグ戦であったらどうなるかである。その場合は最後の決め手になるのは、結
局は選手層の厚さが勝負になることは間違いないことだ。
なにもWBCで日本が勝ったことにケチをつけているのでない。すべての情勢、状
況を冷静に見てみれば日本がWBCで勝ってなんの不思議はない状況、背景がある
という見方ができる。このことは何も野球に限らない。これが日本の国家力を示し
たなどと麻生首相がコメントしていたが、馬鹿なことをいうな、といいたい。が、
たしかに問題はその国家力とはなにかということだ。
この経済大不況の中にあって、日本が厳しい経済競争に勝ち残っていくための状況
環境つくり、そして優秀なチーム、選手をどう長期的に育成していくかを考えるべ
きなのである。
WBCでの日本チーム優勝の意味をそうした観点から一つ見てみるべきだというこ
とだ。
2009/3/28
早勢 直
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