今週の意見:(715)
まずは増税発想をやめよう
日曜日かってはTV各局の政治討論の番組がいろいろあって面白かった。それが4
月の番組改訂、出演者の交代などもあって各局の番組内容、総じて面白みがなくな
った。それに加えて、震災発生後、政治問題、とりわけ政局的な話題が少なくなっ
た。いかに菅政権が失政を繰り返そうと、内閣支持率が低下しようと、今はとにか
く震災復興が第一、菅首相退陣をめぐって与野党論客を真っ向から対決させるとい
うような政治番組自体がなくなってしまったからだ。
それを言いたい与野党幹部も下手に政権を批判したりすると、復興が一番大切な時
に一体なにを言ってるかという反発を国民から買うことがわかっている。だからあ
えて発言を控えるし、またそもそもそんな番組にでようともしないのだ。
今福島原発事故処理が大切であることなどいうまでもない。しかしその経過、いき
さつなどいくら聞いても、我々視聴者にはどうしようもないこと、そんなものに細
野首相補佐官などが出てきて、あれこれいきさつを聞いたり、今後の技術的対策を
聞いたりしても面白くもへたくれもない。そんな問題に彼みたいな政治家が出てき
てあれこれ言って一体何になると言いたい位だ。そうした高度の技術問題は高度の
技術問題の専門家の決定にまかせるしかない。その決定に政治の最高責任者が関わ
るべきことは否定しない。が、そうした技術問題に直接政治家が関わることの危険
性がまさに今回海水注入を菅首相がストップさせたとか、どうだとかいう問題に発
展していることに象徴されている。
そもそもそんな純粋な技術的問題に、下手に専門を自負する菅首相が頭からあれこ
れ口を出しすぎたこと自体が問題、混乱を大きくしてきたことだけは間違いのこと
である。こうした意思決定の危うさを私は事件発生当時のBLOGで指摘したので
あった。
菅首相ほか閣僚が直接決定したり、決断を下すべき重要事項はそんな原発事故の技
術的問題よりも他にもいろいろある。菅首相が復興構想会議なるものを即立ち上げ
たことはよかったとして、問題はその内容と復興構想会議打ち出した財源をどうす
るかという問題だった。構想会議の冒頭五百旗頭議長が財源確保のため復興税創設
に言及したことにこの構想会議の本質、菅首相のねらいが集約されているように見
える。この復興税発言には党内外から反発がでてそれ自体後退したようだが、その
構想会議の主体がそうした発想をひっこめたわけでない。
復興税創設、それと関連して出てきた消費税増税反対をいう学者、政治家にしても
なにも頭から増税反対を言うのでなく、まずは復興対策をすすめる中で、同時に景
気回復、経済成長政策を進める中で、税収を上げ、それによって必要な税源もまか
っていくという極めて基本的経済成長路線をどうして進めないのかと主張している
のだ。
昨日の昼TV朝日の番組に石原都知事が出ていて、菅政権の復興対策をけちょんけ
ちょんにけなすとともに、復興のためにはやはり大幅の増税が必要だと広言してい
た。返す刀で名古屋の河村市長の減税案をけなし、そんなことで一体なにがどうな
るのかというような発言をしていた。相変わらずの全て上から目線の政治家である。
今さすがに減税を主張する政治家や学者は少ないが、こと財源問題がでてくるとま
ず増税しかないという発想そのものがおかしく、貧しいのだ。そうではなく、減税
と言わなくても、一番大切なのは消費が増え、投資が増えるようにすることだ。そ
のことによって企業業績があがり、雇用が安定する。世帯の収入が増え、それがさ
らに消費のアップにつながる。結果それがまた企業業績アップに反映するという好
循環につながると言うことだ。それが絶体的に正しい、まともな経済成長論なのだ。
それが証拠にもしあの大災害が発生しなかったら、今年度の3月決算では多くの自
動車産業、電機産業、住宅産業など主要産業の業績は軒並み前年より大幅に改善し
たはずだ。それもこれも自民党政権末期から実施、民主党政権によっても受け継が
れたエコポイント制など消費促進策が大きく貢献したことは間違いの事実である。
エコポイント制は言うまでもなく一種の減税策なのだ。自動車、TV、家庭電化製
品の需要がこれによって大きく増えた。どういうわけか、このエコポイント制を民
主党政府は取りやめてしまったのだが、どうして継続しないのか、疑問をBLOG
で指摘したことがある。
今回の大震災でそうした省電、省エネ需要が改めて大きく増えるだろうことも目に
見えている。住宅関連、電化製品関連など、太陽光パネル関係、そしてそれとも関
連するEV車、ハイブリッドカーへの乗り換え需要のための本格的エコポイント制
をどうして新設、継続しないのか不思議でならないのである。
災害地復興のためのそうしたものへの新規需要は旺盛だし、災害地以外のマーケッ
トでもそうしものへの消費がエコポイント制の導入で飛躍的に増大することも明白
なのだ。そうした政策実施の発想が現政権で出てこないのはしかたないとしてどう
して野党からその提案が出てこないのかである。
問題は増税か減税かということでなく、如何に消費、投資を増大させるかなのだ。
まず災害復興対策だけで、それが膨大に増えることは目に見えている。それだけで
ない。災害地以外全国でこれから省電、省エネ、環境、福祉、教育とテーマに関連
して住宅、電機、自動車など主要産業に膨大な消費需要、投資の機会が増えること
は明白なのだ。
そのためにもまずは増税論を口にする復興構想会議などただちにやめさせる政権が
必要なのである。
2011/5/23
Tadashi HAYASE
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