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今週の意見(690) 死刑執行の波紋 自民党前政権時、鳩山法相が数多くの死刑執行に署名したことが問題になった。朝 日新聞などコラムでそれを揶揄し物議をかもした。まるで鳩山氏が恣意的な判断で それを行ったがごとき言い方だった。それはさすがにないはず。私にはそんなこと がいちいち問題になること自体全く理解できなかった。法務大臣が法律に従って、 それをやっただけのこと。それがなぜどういう理由で問題になるのかよく分からな かったのだ。 そして今回、千葉法相が7月28日死刑執行に署名、しかもそれに立ち会ったこと が、あちこちで問題になっている。その言い分はこうだ。 ・そもそも死刑制度反対の人がどうして死刑執行を行ったのか。 ・千葉法相は先の選挙で落選した。民意に反する法務大臣がそんな判断をしていい のか。 いやはや、この国にはこんなことを言う国会議員とか、評論家がいるのである。そ の論理は全くなっていない。 死刑制度に賛成派反対派が存在することはわかる。私自身どうかといわれると、大 いに迷うところだが、現実の立場からいうと賛成、しかし長期的には死刑制度の廃 止には賛成である。いずれにせよ、その是非、制度への反対賛成を論じることと、 現在の法体系にもとづいて、それを執行することは全く別のことだ。鳩山邦夫氏は どちらかという賛成派だったのであろう。だからと言って、なにもじゃんじゃん執 行の署名をやったわけでないはず。ただ法律に従って、その時期、条件を満たすも のについて署名しただけのことだと思う。 一方千葉法相の方は弁護士としてもともと死刑制度には反対の立場だそうだ。しか し自ら法務大臣になった以上現法に従うのは至極当然のこと。かってその立場だか らという理由で一切執行署名に応じなかった法相がいたことがあるが、それは一種 の違法行為ではないのか。それこそ法的政治的に糾弾されてしかるべきことだ。千 葉氏は悩みに悩んだのだろうが、しかし国家の法律を統括する身で、自らの所見だ からと言って法律に反することはできないからとその時期、内容を見極めた上で署 名をした。そのことに一体どんな法的問題、政治的問題があるというのだろうか。 さらに今回の騒ぎのおかしさはその法相が民間人出身であるという論理だ。落選議 員だから民間人であることはそうだが、民間人が法務大臣になってはいけないなど という理由がどこにあるのか。野党の幹事長などがそれを言ってるようだが、まさ に法を曲げて、ただそれを政争に使おうとするとんでもない邪論である。 千葉氏の法相としての適格性を批判するのは自由だ。しかし少なくとも内閣総理大 臣が適格だと判断して任命した人なのだ。多分死刑制度についての賛否、それに千 葉氏が夫婦別姓制度の推進者であることなどに反発する政治家どもが、そのことに からめて、反発しているのだとしたらこれもおかしな話である。まさに坊主憎けり ゃ袈裟まで憎いではないか。 さらに今回のことについて、与野党からそのいきさつを説明せよ、説明責任がある などという声があがっているが、これまたおかしな話である。一体何をどう説明せ よというのか。法的に適格な法務大臣が、百%法律に従ってやったことを一体どう 説明せよというのか。そんな必要性は全くない。 2010/7/31 早勢 直 |
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