2008年 今週の意見 6月

今週の意見(581):

当然解散すべきだ

来週初め民主党は参院に福田首相の問責決議案を提出する運びとなり、野党賛成の
もとそれが成立することになりそうだ。                   

金曜日参院で「後期高齢者医療制度」廃止法案が野党四党の賛成で可決された。法
案は衆院に送られるが、与党が多数を占める衆院ではこれを否決することになる。
それを受けて、国民の反発の高いこの医療制度継続をはかる福田首相に対する問責
決議案提出となる。                            
                                       
この制度については今沖縄の地方選挙でも与野党の重要な争点となっており、4月
の山口二区での衆院補欠選挙に続いて野党が勝利することが予想される。与党はな
んとかさまざまな修正を施すものの、基本的には新制度の維持をはかるつもりだ。
しかしそれには国民、高齢者の反発は避けられそうにない。その内容、それができ
たいきさつから見ても、とにかく一度廃止して、これを全面的に見直そうという野
党の主張が国民多数に受け入れられることは間違いない。           

ただ問責決議に関しては、民主党内にも異論が多いようだ。それを出したところで
何の法的拘束力もなく、福田首相がそれを無視し、握りつぶしてしまうことは目に
見えているからだ。振り上げたこぶしが空振りに終わったらなんにもならないとい
うのが反対派の言い分であろう。                      

しかし、小沢民主党代表は問責決議提出を決意したようだ。福田首相がそれを無視
するといっても、衆院とともに国民の総意を代表するもう一方の参院での決議を無
視することが果たして国民が許すだろうか、という読みであろう。一旦それが通れ
ば、今後参院では福田首相を一切無視するということだ。今後臨時国会など開かれ
ても、福田首相が本会議で所信を述べたり委員会での討論などに参加しても出席自
体を拒否される可能性だってある。そんな事態で本当に政権が維持できるのかであ
る。

そうした事態を受け、内閣支持率はさらに下がることはあっても上昇に転じること
など絶対ありえない。結果遅かれ早かれ福田首相は衆院解散、総選挙の道を選択せ
ざるをえまい、というのが小沢代表の読みであろう。

それはその通りである。読みもなにも、それが憲政の正道ではないか。国民の総意
を代表する両院制度の下、その一方の参院の意志が無視され続けていいわけがない。
福田首相も与党幹部もその辺事態を非常に甘く見ているのではないか。     

このような国民の声を無視した福田首相や与党のスタンスに国民のさらなるブーイ
ングの声が高まり、福田首相は遅かれ早かれ結局解散総選挙の道を選ばざるをえな
いだろうと予想、いや確信するものである。                 

2008/6/7
早勢 直
今週の意見(582):

問責決議は単なる儀式か

今週水曜日、民主党は参議院で福田首相に対する問責決議案を提出し、共同提案に
は加わらなかったが、共産党の賛成も得て、これを可決成立させた。衆議院での内
閣不信任案と違い、参議院での問責決議は憲法上なんの拘束力もない。民主党はそ
れを承知の上で提出可決したのであったが、これを受けた福田首相は、「これはこ
れとして(とりあえず重く)受け止めるが、解散総選挙など全く念頭にない」と淡
々と述べたに過ぎない。いやそれに付け加えて「民主党が「なぜこんなものをだし
てくるのかわからない。迷惑しているのはこっちだ」などというお得意の嘆き節風
コメントをしたのだった。いや、いつものことながらまるで人事である。        

それは法的に拘束力があるないの問題ではない。それは国権の最高機関たる国会を
代表する二院の一方である参議院での議決である。しかも民主党はじめ野党が過半
数を制することになったのは昨年7月の選挙の結果であったのだ。これに比べて今
の衆議院での与党の圧倒的多数は3年前の9月の小泉前首相の下での総選挙の結果
であった。野党がそろって参議院の選挙が、直近の国民の民意で、それが重要だと
いうのはあながち根拠のないことでない。                                    

ところが福田首相はもちろんのこと、与党幹部は問責決議など民主党がしかけた単
なる政治的セレモニー、小沢代表が民主党の秋の代表者選挙に備えた体制引き締め
のための党利党略のためのものという言い方で、歯牙にもかけない風情なのだ。そ
して木曜日には衆議院で逆に福田内閣信任決議をしてみせた。これこそまさに政治
的セレモニーに過ぎないのではないのか。                                    

いや、問責決議に対して与党がそのような反応をするのが予想されたこと。一旦廃
止になった「ガソリン暫定税率」の復活、問題山積の「後期高齢者医療制度」など
で逆風が吹く中、今解散総選挙など出来るわけがないのだ。いかなる強弁、抗弁を
しようと今はそれを避け、先送りする以外にないことはわかりきったこと。      

問題は問責決議に対するマスコミの反応である。殆どのマスコミ各紙やTVはこう
した与党の言い分をまるでそのまま鵜呑みにしたような報道ぶりなのだ。これには
大きな落胆を感じる。問責決議は与党福田内閣の失政に対するものであるというこ
とより、それが民主党の党内事情によるものだというような解説をしてものが多い
のだ。                                                                    

もちろん民主党にもそうした党内事情のことはあるだろう。しかし、もっと大切な
ことはマスコミが、与党が、昨年7月参院選挙での大敗して以来、経験してきたい
わゆる衆参のねじれ現象、それに伴う政治の大混乱を一度清算するための解散総選
挙が、今一番求められているという極めて明快な論理をどうしてもっと強調しない
のかである。                                                              

こんな論調を展開する日本のマスコミは堕落しているとしかいいようがない。こん
な空気の中で、堕落した自公政権は、福田首相にはできるだけ長く解散総選挙を先
送りさせるだけなのだ。そのうちこの逆風が止まるに違いないと考えているのであ
る。                                                                      

それを許さない唯一の方法、解散総選挙を早めるためには、20%近くになった福
田内閣の支持率のさらなる低下以外にはない。福田首相はもちろん与党幹部たちも
それだけは無視することのない現実であろうと思われるからだ。                

内閣の支持率の推移に注目しているところである。                            

2008/6/14
早勢 直
今週の意見(583):

日本はテロ国家指定解除にもっと真剣に反対せよ

アメリカのライス国務長官は、北朝鮮が核申告をきちんとやればテロ指定国家リス
トからはずすことを明言した。6か国協議アメリカ代表のヒル国務次官補が、木曜
日日本にやってきたのもその説明のためのようだ。これにたいする日本政府の反応
は、とりあえずそれには反対の意向を表明しているものの極めて鈍い。          

日本の立場からいうと北朝鮮の核申告など当然のこと、日本はそれに加えて拉致問
題解決をずっと求めてきたはずだ。が、アメリカブッシュ政権はここで一つでも外
交実績を示したい一心で北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除に踏み切るつもりな
のだ。日本の拉致問題に配慮しないわけでないが、なにしろここはブッシュ政権の
外交実績が大切だ。                                                        

日本は黙ってそれに従わざるをえないのか。日本がこれだけアメリカとの友好に尽
くしてきたのだ。日本はアメリカにとって最重要な同盟国ではなかったのか。それ
がこんな仕打をしていいのか。もしテロ国家指定解除がなされると、拉致問題解決
以外に日朝関係の進展はないとしてきた外交方針がおおきく見直されることになる。
拉致問題解決のために日本は6か国協議からも離脱し孤立の道を歩むのか。      

福田首相の決断やいかに。あのお方のこと、もしそうなると例のとぼけたお顔で、
「残念至極だが、同盟国アメリカの意向を尊重せざるをえない、日本は日本として
拉致問題の追及は続ける」みたいなことを言うのであろう。金曜日福田首相は急遽
アメリカのシーフア大使を呼んで、テロ国家指定解除をやめるよう申し入れしたよ
うだが、会談後のシーフア大使の表情もさえなかった。いや、日本政府の要請を受
けてそれは断固やめるとはいわなかったのだ。もうこのアメリカの方針は変ること
はないような気がする。いや今週の初め、北朝鮮が拉致家族の再調査について言及
したことで、政府が従来の経済制裁の一部をさっさと解除してしまったことなどが
その弱腰を象徴するものだ。                        

国民の声を代弁するマスコミはこの件に関してどうしてもっと大きな声を上げない
のか。このアメリカの動きに関して、朝日、読売、日経ほか主要マスコミが抗議や
懸念の声を社説などであげないのは一体どういうわけなのか。                

もし懸念したように事態が進めば、それは福田内閣の最後の命取りになるような気
がする。いやそうなるべきだ。日本国民はそれだけの見識を持っていると私は信じ
たい。もしそうなってそれをやったブッシュがサミットにやってきたら日本国民は
ブーイングを持って迎える勇気があるかどうかである。            
                                     
いや北朝鮮の拉致問題は大切だが、このことは今後の日米関係を占う最重要事項で
あることを忘れてはならないということだ。                                

2008/6/21
早勢 直

今週の意見(584):

タクシー接待は単なる悪しき慣習か

水曜日町村官房長官が記者会見で1、401人の各省庁官僚職員がタクシー接待を
受けていることが判明、それぞれの省庁でこれを処分したと発表した。民主党の長
妻議員の調査でこの事件が発覚した時、タクシー接待とは一体なんのことか意味が
分からなかったものだ。                          

問題は国土交通省で遠方通勤の職員がタクシーを使って帰宅する。そのタクシー代
が年間200万円にも達するケースがあって、それはいくらなんでも行き過ぎでは
ないかということになったことがこの事件のきっかけだった。国土交通省に限らず
各省庁で安易なタクシー利用をやめるべきだということになったわけだ。    

そのうち問題は、そのタクシーを利用する職員たちがただタクシーを利用するだけ
でなく利用の度にタクシー運転手から、その見返りにビール券だとか、場合によっ
ては現金を謝礼として受け取るという行為が行われていることが、長妻氏の調査で
明らかになった。タクシー運転手にとっては、長距離のタクシー利用はメリットが
大きい。で、その場合仮にその稼ぎの中からビール券などを使用者に謝礼として提
供しても十分メリットがあるということなのだ。               

ビール券や現金を受け取るという行為が公務員に許されるわけがない。仮にその謝
礼がほんのわずかなものであったとしてもである。長妻氏の調査でその事実が明る
みに出て、それで政府はこれはまずいと思ったのだろう。自主的に各省庁で総合的
な調査を行い、上記の官房長官の発表となったわけだ。驚くべきことに一部の省庁
を除いて殆どの省庁で「タクシー接待」なるものが慣習化していたということだっ
た。この調査だってまだまだ氷山の一角でもっと大掛かりにそうした行為が行われ
ていたにちがいない。                           

この問題が発覚して記者会見に現れた福田首相の言い分はいつものことながら、い
かにも人事みたいな感じであった。「タクシー接待など悪しき慣習であり、あまり
格好のいいものでない。こんなことは早急にやめるようにして欲しい」というよう
な言い草であった。私は聞いていてあきれた。                

たしかに政府は自主調査でこうした行為を行った職員をそれぞれ罰した。減給、停
職などの処分も行った。が、問題はそれですむのかということだ。福田首相は「悪
しき慣習」の一言ですませたが果たしてそれですむ問題かということだ。    

この問題で、今週水曜日であったか、朝のみのもんた氏司会TBSのTVショーに
民主党長妻氏と自民党の山本一太参議院議員が出演していた。みのもんた氏が『「
福田さん、格好が悪い、悪しき慣習だ」などと人事みたいな発言をしているがもっ
と重大かつ深刻な問題ではないのか』と言ったのを受けて長妻氏は「これは長年の
自民党一党支配が生んだ政官癒着を象徴する事件でありこうしたことは政権交代に
よって正されなければならないことだ」と発言した。私はその通りだと思った。が
山本一太氏は「それは論理の飛躍、そんなおおげさなことでない。現に福田総理も
与党もこの問題に真剣に取り組んでいるではないか」と言ったのである。    

この山本発言こそが今の福田首相与党の政治スタンスのすべてを物語っている。そ
れはそんな小さい問題であるはずがない。こんな公務員による犯罪行為を単なる悪
しき慣習と片付けてしまう福田首相や与党の感覚に、おおなたを振るわなければな
らないのだ。                               

こうした中にあってこれまで急落してきた福田内閣支持率がいま一時持ち直してい
るような報道がある中、私は怒りと共にある種の絶望感を感じている今日この頃な
のである。                                

2008/6/29
早勢 直
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