2006年 今週の意見 7月

今週の意見(480):

金 英男

 予想されたこととは言え、金 英男氏の記者会見は茶番劇もいいとこだった。母
親、姉などが涙を流して再会に臨んでいるのに、涙どころか何か淡々として会見に
臨んでいた。いや、北朝鮮のやり方に精通している学者や評論家によれば、それも
これも、北朝鮮当局者の指導のもと、いつも行われる演出であるという。

 一番驚いたことは、自らのことについては北朝鮮に拉致されたのでないというく
だりだった。海水浴中、誤って船で流され、北朝鮮の船で助けられ、そのまま北朝
鮮にとどまったのだという。そして高待遇を受けたので、そのまま長居してしまっ
たという、まことにうそも方便どころか、普通では説明にもならぬことをぬけぬけ
というのだからあきれてものが言えない。

 韓国には金 英男氏と同じように拉致されたと思われる者が500人近くいるそ
うだが、北朝鮮はこと韓国人については拉致ということなど一切認めていない。だ
からそういう説明になる。韓国政府自体、今後の統一問題やり離散家族再会のこと
もあって、そうしたことですませてきているのだから、それでいいらしいが、それ
もおかしい話である。

 横田夫妻や拉致被害家族、日本政府に関してはそんな説明ですまないことは当然
だ。今回のことで横田夫妻がめぐみさんの夫である金 英男氏に怒りを隠さないの
も無理はない。めぐみさんが病死したという説明を語ったことについても、それが
予想されていたことではあったが、もう少し何か新しい事実関係が一つや二つ出て
くることを期待されていたに違いない。

 しかしそんなものが今更出てくるわけがない。拉致などというとんでもない国家
犯罪を行っておいて、しゃあしゃあとあんな茶番劇を演ずる神経の国なのである。

 どうしようもない怒りの気持ちでこうした新聞報道記事を読む中で一つだけ、あ
あこれはなにか解決のきっかけになるかもしれないということがあった。V8外相
会議で、この拉致問題をサミットの議題にするという記事であった。

 以前にもたとえ日本一国でもこの問題解決のためには経済制裁など断固とした態
度をとるべきだということを述べたことがあったが、もし今回のサミットでそうし
た圧力が加わるならば懸案の問題が一気に解決することになるかもしれないという
期待はある。

 本当の問題解決はこの国の体制そのものの崩壊以外にないことは事実だろう。今
は今年のサミット会議の圧力がきっかけとなってそれが早まることを期待するしか
ない。

2006/7/1
早勢 直
今週の意見(481):

日本の外交戦略見直し

 北朝鮮が7発のミサイルを発射したことで世界中は大騒ぎになった。その発射は
あくまで軍事訓練のためだという北朝鮮の発表がすんなり受け入れられるわけがな
く、世界、とりわけ極東地域での安全、安定に大きな脅威であることはいうまでも
ない。

 だから国連、安全保障理事会が緊急招集されてこの問題を採り上げることになっ
たのは当然であり、日本がその非難決議を提案することになったのはいいとして、
問題は経済制裁などをめぐってもその対応ぶりが安全保障常任理事国の間でも相当
温度差があるということだ。中国ロシアは非難決議そのものもせいぜい議長声明く
らいにとどめておこう、経済制裁などについてははっきりいってやめておこうとい
うことである。

 日本としては実にしゃくな話だが、しかし安全保障理事会の拒否権を持つロシア
中国が反対する決議案がそれでは採決にいたらないことになるだろうことは現実な
のである。

 軍事訓練だと称しているが、そもそもその北朝鮮のミサイルの矛先がどこに向い
ているかははっきりしている。それは日本とアメリカである。どう間違っても、そ
れ以外の国、ましてや、ロシア、中国そして、日本と同じアメリカとの同盟国であ
る韓国であるわけがないのだ。

 いや、そのアメリカだって今回の発射実験でテポドン2がどうやら失敗したこと
もあって、ミサイルが本土に向かって飛んでくることはまずないと踏んでいるに違
いない。だから確かに脅威ではあるが、さしたる脅威とも感じていないふしがある。
となると、要するに今回の発射で一番脅威に感じている、感じなければならないの
は日本であり、日本だけということになる。

 というわけで日本が国連安全保障理事会に経済制裁を含めた非難決議案を出すこ
とはいいとして、常任理事国はもちろん一体他の理事国のどことどこから支持を得
られるのか得られないの、結局はそのことが極めて大切な問題になる。すなわち常
日頃の外交政策、戦略が問題になってくる。その点は、その決議案事態が通るかど
うかということでなく、現在の日本の外交政策がほんとうにこのままでいいのかと
いうこと自体がまず問われなおされなければならないのであり、問題のすべてはそ
の点に集約されるということだ。

 どうもそのこと自体がどうもまだあいまいというか、その外交スタンスが固まっ
ていないのではないかと思われる。その重要な問題とは以下の二つの問題に集約さ
れよう。

 まず第一に小泉訪米でも話題になったが、アメリカとの同盟関係をさらに維持発
展させるのか、そのアメリカべったりの同盟関係が果たしてそのままでいいのかど
うかということである。

 おりしも民主党の小澤代表が中国を訪問し、日本とアメリカと中国の関係の見直
しを主張している。アメリカとの同盟関係維持は当然としても中国との関係を同じ
ように強固なものにしなければならないという主張である。それについてとりあえ
ず話題にはなったものの、国内での本格的議論もこれからということなのだ。まず
その議論を徹底してやるべきである。

 次に日本は安保理の常任理事国になろうといろいろ働きかけているが、その問題
もどうも国内ではまだ十分の議論が行われておらず、意見の一致がみられていない。
今回のようなことが起こるとたしかに日本が常任理事国であるのとないのでは決議
案一つを出すにしてもその重さが全然ちがってくる。日本の国家安全保障政策のた
めにはこれはやはりさけて通れない問題なのだ。

2006/7/8
早勢 直
今週の意見(482):

拒否権の横暴

 日本が国連安全保障理事会に提出した北朝鮮制裁決議案は当初中ロを除く理事国
の圧倒的多数が得られるはずであったがだんだん雲行きが怪しくなってきた。中ロ
の猛烈な巻き返しで、制裁条項を取り除いて、非難決議となりそうだ。なるのだろ
う。当初共同提案国であった英仏も、中ロの国連内での分裂を避けるべきだという
主張に同意し、安保理が一致できる案でまとめようという意向なのだからしかたな
い。

 日本頼みの米国としても、ここで中国、ロシアとの関係を悪くすることはないと
いう魂胆であり、あくまで中国の北朝鮮説得の結果を待とうというスタンスだから
これまた日本一国ではどうしようもない。

 いずれにせよ、日本としても制裁自体が目的でなく、今回の北朝鮮の行動を非難
し、今後の北朝鮮の再度の暴発を国際社会全体で監視するよという決議になるなら
それはそれで当初の目的を大半達したものといえるからそれでいいということだろ
う。

 英仏にしてもなぜ態度が変わったかというと、中ロがなにかといえば拒否権発動
をちらつかせたことが大きいことはいうまでもない。専門家の解説でも、そういう
意味では現安全保障理事会常任理事国間には共通の仲間意識というか、連帯意識と
いうか、ある意味での特権意識があるというのだ。

 拒否権とはまさに大特権というか既得権である。ロシアなどもかっての冷戦時代
とちがって最近は拒否権を行使するケースはあまりないようだが、それでもいざと
いう場合、仮に常任理事国一国がノーと言えば、あらゆる決議案はその時点で葬り
さられるわけだ。これほどの特権が他にあろうか。

 そうした拒否権の存在がおかしいと国連改革論議の中でその改廃が議論になった
としても、常任理事国が結束してノーと言えば、まさにどうしようもないことなの
だ。

 日本の今回の決議案提出は他理事国の大半の支持を得られながら、結局は中ロの
拒否権をちらつかせた反対で基本的な変更を余儀なくされたことなど、実にしゃく
な話である。現在日本も常任理事国になりたいと運動してみても同じように既得権
者が一致してそれを邪魔すればこれもどうしようもないのである。

 ご承知のように日本は国連の資金のうちアメリカについで第二位、19%を負担
している。拒否権を持つ米以外の常任理事国と比べても圧倒的な高さである。にも
関わらずその国連内における発言力が極めて弱いのは一体どういうことなのか。そ
のことについて、もっと日本国内から不満が表明されてもいいと思うのだ。

 北朝鮮の決議案についての今回の妥協はそれでいいとは思う。しかし、いずれに
せよ、日本という国の国連への出資金の大きさと比べてなんと発言力の小さいこと
か。どうも一国民として納得できない。

 これは単なる感情論ではないと思うがいかがだろうか。

2006/7/15
早勢 直
今週の意見(483):

天皇の不快感と政治問題

 小泉首相の任期まであと一ケ月、8月15日の終戦記念日やその前後に首相の靖
国神社訪問があるかどうかが、注目されている。そんな中、靖国神社へA級戦犯が
合祀されたことについて、昭和天皇が不快感を示されていたという侍従のメモがあ
ったというニュースが流れた。

 このニュースがまた、靖国神社問題で国論を真っ二つに割るとともに、中国、韓
国の小泉首相靖国神社訪問反対論に力を与える結果になってしまう。小泉首相は記
者会見でそのことを聞かれて、天皇は天皇の感想、感情を述べられたまで、それは
自身が靖国神社参拝するかしないかという問題とはは無関係、個人のこころの問題
であって、神社に訪問するかしないかとは無関係だと述べた。私の恒例の今週の川
柳は、「切り札の 天の声にも 知らぬ顔 」というものだった。いいにつけ悪い
につけこの辺が小泉さんらしいな、という私自身の感想でもある。

 これに対し、与党自民党、公明党はもちろん、野党からも一斉に、天皇すら訪問
をやめたA級戦犯合祀の靖国神社にどうして首相が訪問するのか、という議論や非
難の声が一斉に上がったのは予想通りである。いやもともとA級戦犯が合祀されて
いることがおかしいと、首相の靖国神社訪問に反対していた与野党の人たちがそれ
をいうのはある程度わかる。おかしいのはそもそも天皇制など基本的に認めていな
いのに、昭和天皇すらそう言ったではないかと小泉首相を非難している某党のコメ
ントを読んで、なんだ、これは、と思ったものだ。

 過去何度もそのことは言ってきたが、私はもともと小泉首相支持派ではない。し
かしこと靖国神社参拝の問題については小泉首相の言い分についてむしろそれを認
めてきたのであった。それはたしかに個人の宗教的信条にかかわる問題であって、
そのことに政治問題をからませること自体が間違いだという考えだからである。

 天皇がなぜ靖国神社参拝をやめられたかということが今回のことで明らかになっ
たことはそうかもしれない。しかしその発言自体が重大な政治問題となって、それ
が根拠でそれが一つの政治的判断がなされるというようなことがあってはいけない
のではないかと思うのだ。

 本来天皇の発言、意向が政治の動向を決めるようなことがあってはいけないとい
うのが憲法の根本原理のはずである。その原理原則に全くふれないで、朝日をはじ
めとするマスコミの多くが今回天皇の意向がそうなのに、それでも小泉首相は靖国
神社を訪問するのか、といった論調があるのがおかしいのだ。天皇の意中や発言を
根拠に政治問題、ましてや国家の外交問題にまで重大な影響を及ぼす結果になって
はたしていいものかと考える。

 仮にそんなメモがあったとしても、それを仮に今の時期それを公表して、政治的
に影響を及ぼそうなどという意図があったとずれば、それはとんでもないことだと
考えるのが妥当である。それは一体誰の意図なのか。

 マスコミ、政治家たちはまず今回のような議論のなりゆき、正当性について根本
的な疑問を持つべきではないのか。

2006/7/22
早勢 直
今週の意見(484):

睡眠パターン

 そもそもその時間テレビを見ることはめったにないのですが、今週水曜日たまた
ま旅行先でNHKの「試して合点」なる番組をみていたら、基本的な睡眠パターン
とはどういうものかという解説をやっていました。ある一人の老人の異常な一日の
生活リズム、睡眠状況を紹介していて、それをどう矯正するか、という話をしてい
たわけです。

 その人は毎日4時半に起きて、7時朝食、昼間はあまり外に出かけることなく、
テレビなど見て過ごす。夜は5時には夕食、7時には寝てしまうとのこと。奥さん
の生活のリズムとも合わないで、食事も別々のことが多いということだった。

 なーんだ、それは私の毎日の睡眠、生活パターンに比べたら、理想的な早寝、早
起きのケースではないではないかと思って見ていたら、専門の医師が出てきて、や
はりそれをより正常なものに直さなければいけないと、いろいろ指導し、より平均
的な睡眠パターンに矯正した様子を紹介していました。

 出演のパネリスト達はなるほどなるほど合点、というわけだったのですが、見て
いた私は全く合点がいかなかったのは当然です。私個人の睡眠パターンが全く標準
的なものでない。どころかかなりかなり異常であることは認めるとしても、だから
その結果健康状態がおかしくなり、各種の成人病になってしまう可能性が高いなど
という専門医のご宣託には全く同意できないということです。

 私は毎日夜8時には就寝、ほとんどの場合、夜中の2時には起きだして、朝6時
頃までパソコンやらインターネットで、ホームページや、BLOGのことをやる。
それからラジオ体操に出かけて、7時半朝食、それから多くの場合、その日の午前
午後の日程をこなす。午後何もない時は、多くの場合、一時間弱の昼寝をする。日
にもよるがそれで一日理想の8時間とは行かないが、7時間から7時間半程度の睡
眠は取っているはずで、それで今のところ特に健康に異常を来していることはない。
食欲も普通、テニスほか敵度な運動もこなしている。まずは精神的にも肉体的にも
健康状態だと自分では思っているし、そのはずである。

 どちらかというと睡眠時間はまとめて8時間とれないで、ぶつ切りにはなるが、
その代わり、一日24時間よりフルに活用しているのだと思っている。まあそうし
た生活リズムで、もしNHK番組の専門医のいうように、なにか健康上の問題が生
じるならそれはそれで仕方がないかと思っている。今更、楽しんでやっていること
をやめるわけにいかないからです。

2006/7/29
早勢 直
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