2002年 今週の意見 7月
今週の意見(278):
円売り介入
相次ぐ米大企業の不祥事でこのところドル安が続いている。結果ずっと続いてき
た円安基調が一転円高に転じ、125円前後の相場が一気に119円台になってき
ている。
日銀は急速な円高は、せっかく回復基調にある企業の収益に影響が出て、景気全
体の足をひっぱりかねないという理由で盛んに、円売り介入を行っている。そして
すでに3兆円近いカネを使ったそうだ。日銀はもちろん、財務省など関連当局もそ
れを支持している。
このことに対して、マスコミではその事実を伝えているが、経済評論家を含めて
あまり批判の声は聞こえてこない。どうやら経済の専門家たちは総じてそうした為
替相場への介入は妥当だと認めているらしい。
私などそうした為替のメカニズムはよくわからない。いや、むしろそれについて
はまったくの素人だと言っていいだろう。しかし、そうした日銀の介入自体果たし
てどれほど効果があるものか、いや、仮にあったとして、そうしたことが本当に短
期的な効果はともかく、長期的な視点にたっての日本経済構造の改革に役立つもの
か、どうか率直な疑問を抱くものである。
まず第一にはすでに何度も介入が行われたが、果たしてその効果があったのか、
ということである。欧米に協調介入を呼びかけているが、欧米政策当局はそれに応
えてくれたのか、その成果はあったのかいずれも疑問である。ヨーロッパの方は総
じてドル安は物価安につながるとして歓迎している。そうだと思う。
問題の根本はその介入政策自体が正しいことかどうかである。なぜ円売り介入を
するのか。理由はただ一つ、最近の日銀短観にもあるようにせっかく回復基調にあ
る輸出をベースとした企業の業績改善、それによる景気回復の足をひっぱりたくな
いということなのである。日本経済をひっぱる中心は相変わらず、輸出なのか、と
いう疑問である。
いや、そうなのだろう。そういう根本的構造を改め内需中心の構造にしていこう
というのが、そもそも構造改革に一環ではなかったのか。
円安といい円高といい、それぞれ経済にはそれぞれプラス面、マイナス面がある
はずである。果たして円高は今の景気回復基調に水を差すことばかりなのか。いや
むしろ大きなプラス面もあるのではないだろうか。
要するに今日銀が盛んに行っている円売り介入政策にどうしてもっと疑問の声が
上がってこないのか不思議なのだ。円高肯定論ももっとあっていいはずだ。
2002/7/6
Tadashi HAYASE
今週の意見(279):
田中知事不信任
田中知事の不信任案が7日議会で可決された。今後10日以内に議会を解散する
か、自ら失職して、再選挙に臨むかの選択を迫られる。いずれにせよ、知事選、
議会選挙のダブル選挙になる可能性が高そうだ。
汚職をやったとか、なにか大きな不始末をやったとかでなく、脱ダム宣言という
政策をめぐっての争いで知事不信任とは異例の事態である。賛成に回った県議会議
員側は、そうしたことを強引に進めた田中知事の政治姿勢、手法に対する不信任だ
という。
ダム建設推進、反対それぞれの根拠、理由があるのだろう。しかし総合的な環境
維持の立場から従来のダム建設などを含む国土開発、改良に異を唱える知事の方針
自体それを支持する住民が過半数を占めていることも事実なのである。仮にそれが
半々であったとしても、最後の決着は場合によっては住民投票で決めてもいいわけ
だ。議会側がそうした決議案を提出したのなら意味はわかる。知事もそれを受けて
住民投票を実施することになったかもしれない。
が、そうではなく、知事の政治手法がに対する不信任というからそれには疑問を
投げざるをえない。知事就任以来、従来の伝統的やり方、慣習を破ったやり方が
気にくわないのであろう。知事室をガラス張りにし、住民と車座で直接対話を進め
るめる政治手法の一体どこが悪いのか。
そうした政治姿勢こそ、住民の幅広い支持を得た最大の理由であることを、古株
の議員たちはわかっているのか。
田中氏の言動について細かい注文をつけることはいろいろあろう。が、地方とい
わず、中央といわず日本の政治が大きく変わるためには、まさに田中氏のような政
治姿勢が今求められているのだと思う。
田中氏が圧倒的支持を得て知事に再選されることを期待したい。それは日本の民主
主義発展の一里塚であると信じる。
2002/7/13
Tadashi HAYASE
今週の意見(280):
何が5増5減だ
衆議院の新しい選挙区割りはようやく5増5減で決着して国会を通った。自民党
橋本派は3増3減にしたかったらしいが、公明党などの賛成でそれで決まったと報
道されている。
要するに地域の一票の格差を是正する措置なのだが、それぞれの関連選挙区の議
員の損得勘定があってなかなか決まらなかったということだ。一票格差是正という
ことはもちろん必要だが、なぜこんなことに延々時間を掛けなければならないのか
よくわからない。格差是正ということなら、かなり機械的な作業で済みそうなもの
だが、それぞれの選挙区の議員の思惑があってなかなか決まらないのである。
第一そんなことは国民にとってたいして関心がない。関心があるとすれば、地域
の一票の格差の是正ということもあるが、もっと大きな関心は国会、立法府の根本
的改革である。この会期中にも宮路副大臣の辞任問題があったが、よくもまあこれ
だけあったものかとあきれるくらい国会議員の不祥事が次から次へと起こった。彼
らが国家国民のために本当に何をやっているのかという思いが強いのである。
是正すべきは一票の格差なんて問題ではない。もっと根本的に国民の基本的権利
一票そのものの価値を高めることだ。そのために必要なことは何か。思いきって衆
参両院の議員の数を減らすことが必要ではないかと思う。国民の厳しい目に応えて
いくつか国会歳費削減の案が出ているが、そんなものは焼け石に水である。
根本的な解決は議員の絶対数の削減でありそれが今こそ必要ではないか。このこ
とを公約に掲げる政党は今のところないようだ。しいて言えば、以前閣僚の数を減
らすことを掲げた自由党位に期待するしかないのか。
この情報化時代、政治の情勢が極めてスピーデイに詳しく報道される時代、両院
合わせて、700人近い議員が本当に必要なのか、彼らは一体それぞれ何をやって
いるのか、よくよくその仕事の中身を検証してみる必要がある。政治改革が叫ばれ
て久しいがまず第一に必要なのはそのことではないだろうか。両院合わせて最低
1/3くらい減らすべきだ。果たして政治に混乱が生じるか。むしろ質が高まりこ
そすれ落ちることは絶対にないと考える。
国会議員数の削減、それが大きな国民的議論となってこないのが不思議でならな
い。マスコミ、有識者は何をやっているのか。
2002/7/20
Tadashi HAYASE
今週の意見(281):
住民基本台帳
国民一人一人に背番号をつけ、住民基本台帳をコンピュータ化し、ネットワーク
化していこうという法律が通ろうとしている。それは実は相当以前から決まってい
たことだが、さあ導入しようという段階になって、与野党を含め、賛否両論もめに
もめている。
反対派の言い分はそれによって国民のプライバシーが損なわれる危険が大である
ということ。個人情報をを悪用するものも出てくるということだ。その危険性はた
しかにある。ほかのことと違って、一旦漏洩してしまえば、その人にとって取り返
しのつかない情報も中にはあるだろうということである。
だからと言って、それだけの理由でそれをやめる、やめるべきだということにな
るのか、ということだ。住民基本台帳のネットワーク化は森内閣の時であったか、
できた「IT基本法」、国家のIT戦略の重要なステップの一つであるということで
ある。いわゆる中央政府、地方自治体のさまざまな事務、業務のデジタル化、ネッ
トワーク化なのである。行政改革実現の具体的な施策なのだ。
その国家戦略自体、今後の国民生活をより豊かにするために必要なことなのであ
る。というより、グローバル化する世界の中で日本が生き残れるかどうかという
問題なのだ。
推進する側も、反対する側もそうした総合的、長期的な議論をしないで、ただ
個人のプライバシーがどうなる、それは守る、守れない、そんな議論ばかりしてい
るのである。
一番の問題はそれについて一般の国民の関心が極めて薄いことである。そんなこ
とはたいした問題でない、と思っている国民が多いようだ。そうではない。それは
日本国家の遅れたITインフラ整備の第一ステップであること、しかし、それには
たしかに個人のプライバシー保護と言う基本的な問題がからんだ、重要なテーマで
あることをもっと理解すべきであろう。そしてそれぞれ自分はこう思う、という
意見をしっかり持って欲しいのである。
20002/7/27
Tadashi HAYASE
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