2008年 今週の意見 1月
今週の意見(559):
CO2本位制への疑問
1月2日の日経新聞社説ではCO2削減は、日本にとっても重大な課題ではあるが
日本はそれに関する技術に関しては世界をリードできる技術を持っておりその面で
も世界に貢献できるビジネスチャンスであると書いている。
これまでCO2削減は世界の経済発展にとってマイナス要因であると考えられてき
たが、CO2削減という各国の課題、削減に関して余裕のある国とない国が、その
削減枠をトレードする、CO2が株式のようにトレードされる時代になってきてい
て、CO2本位制ということばまで生まれてきたそうだ。その結果CO2はある意
味で世界経済の成長要因とも考えられるという楽観的な経済観である。しかしCO2
増大による地球温暖化という深刻な問題は、果たしてそのような新たなるビジネス
チャンス到来というバラ色の感覚だけで対処して済むものなのか、という率直な疑
問を2日のBLOGで「カネ出して 減らしたことに する不思議」という下手な
川柳に託したのであった。
それは1月3日の朝は同じ日経新聞の記事を読んでさもありなんと確信したわけだ。
世界でも冠たる環境技術国日本が、GDP単位当たりのCO2削減について横ばい
であり、全然進んでいないという内閣府の分析が報道されていた。なんだ話は違う
ではないかということだ。私がちょっとおかしいぞ、と思ったことは、自分が達成
できないので、他の削減枠を買い取って削減したことにするなどということはちよ
っと話の筋がおかしいということだ。自ら削減の技術力を持っているのにどうして
削減が追いつかないのかおかしいではないか。
いや、実はCO2の削減ということは単に生産・流通といった分野での技術だけで
なく、より大きくは国民生活、消費生活における大きな無駄の排除ということが必
要なのではないかと考える。つまりCO2の削減は経済の供給面・サプライサイド
だけでなく消費面・消費サイドの削減両面あいまって初めて実現できることのはず
だ。
そのためにはサプライサイド面での環境技術があるかないかということと同時に、
消費面、消費者の生活意識、環境意識の高揚がなによりも大切なのではないかと思
われる。日本人、日本の消費者の環境意識、省資源、省エネルギー意識が果たして
本物かということがなにより問われなければならない。
正月前、近くの日本でも有数の「ダイヤモンドシテイ」称するショッピングセンタ
ーに買い物に出かけた。店頭には実に豊富な食料品が山ほど、積まれ飛ぶように売
られていた。日本ではそうして買われた食料品の実に大きな部分が消費されないで
廃棄されるそうだ。我が家の例を考えてもわかる。おそらく十分の一くらいのもの
はしばらく冷蔵庫で眠った後、廃棄されることになっているようだ。そうでない家
庭もあろうが、もっとそういうことに鈍感な家庭もあろう。いや、レストランなど
のビジネスで廃棄される食料品の量の大きさは全体供給力の三分の一にもなるとい
う話を聞いたことがある。
そういう無駄はほんの一例である。我々の衣食住の生活自体の中に実は大きな無駄
が沢山存在しているのである。その無駄、浪費を全消費者が仮に十分の一、十分の
二減らせたら日本に課せられたのCO2削減量など容易に達成できるのではないだ
ろうか。いやその数字の正確性は別にして、CO2削減はまずそういうことから始
めなければならない、始めるべきだということを言いたかったわけである。
日本のGDP単位当たりのCO2削減が全然進んでいない背景がそこにあるように
思われる。いやあると思うのだ。政府は国民、日本に課せられたCO2削減目標を
達成するためには何よりもその生活自体を変えるべきことなど全く訴えていないし、
その面での具体的なアクションは何もとっていたい。それについては与党、そして
野党もそうした訴えをやっているのを聞いたことがない。
そんなことでは日本に課せられてCO2削減目標など到底達成できないし、世界に
対しそのイニシアテイブを取るなどという大それた宣言などできそうにない。CO2
が取引の対象になるということ自体おかしい。CO2など取引の対照ということだ
が、それは単なる悪貨であり、絶対削減の対象以外なにものでもない。
CO2が取引の対象になる。結果「悪貨が良貨を駆逐する」ようなことが絶対あっ
てはならない。
2008年1月5日
早勢 直
今週の意見(560):
衆院再可決の横暴
給油新法がついに衆院の「3分の2」の賛成で決着した。衆議院で可決、参議院で
否決したものを、衆議院で再可決した。それは憲法59条の規定でできることにな
っているから法的にはたしかに問題がない。ただしそうした手段はある意味で非常
手段として使っていいという性質のものであるはずで、本来めったに使ってはいけ
ない手段であることはいうまでもない。
今回政権与党はその非常手段を使った。果たしてことはそんなに非常事態であった
のか、どうかである。
そうした非常手段を使うためにはいくつかの条件があるはずだ。一つにはその法案
が国家社会にとって重要かつ緊急の案件であることだ。どうみても給油法案がそれ
に類するものとは思えない。最近世論調査でもそれがそんなに重要な法案と考えて
いないような結果が出ている。
次に仮にそれが極めて重要な法案であり、しかも少なくとも民意が明らかにそれに
ついて賛意を表しているかどうかと見極めがあることが必要だ。
そしてその賛否ということになると、その賛否が全く二つに割れているというより
最近の世論調査ではむしろ反対が賛成を上回るケースが多いように見受けられる。
それをそれを衆院の3分の2の賛成で採決してしまうというのは横暴に過ぎるとい
われてもしかたがない。
再可決を受けて、鳩山邦夫民主党幹事長は直近の民意は参議院である、というコメ
ントを発表していた。それは正しいと思う。参議院選挙は昨年7月に行われた。参
議院が野党が過半数を占めたのはその直近の民意を反映したものだ。
一方伊吹文明自民党幹事長はこちらも衆議院という民意を反映したものだ、とコメ
ントしていたがこちら一昨年9月の選挙の民意である。その選挙後、政権は二度も
交代していてその政権に対する国民の審判を受けたものでない。しかも最近の内閣
支持率も30%程度と低迷しているである。それを民意の反映だというのか。
今回の衆院再可決決はそううした政治状況の中で行われた。直近の民意を全く無視
したものであることは間違いない。こうした暴挙に対し、野党が非難の声を上げる
のは当然だが、一番怒りを発しなければならないのは国民世論であろう。こうした
暴挙をみて国民の怒りがさらに内閣支持率の下落という形で現れることを切に望む
ものである。
こうなった以上一刻も早く福田内閣を解散総選挙に追い込む以外にない。
2008/1/12
早勢 直
今週の意見(561):
民主党は政府予算案に対案をだすべきだ
いよいよ通常国会が始まる。新年度予算案やその関連法案の審議がある。野党民主
党はガソリン国会といわれるようにガソリンの暫定税率をやめることでガソリン代
を下げることを国民に訴える作戦を中心にこの国会を進めるらしい。政府与党が3
月末に、この暫定税率継続の措置を取るために再び三分の二の再議決を衆議院で強
行しそうだ。その場合今度こそ問責決議案を提出するつもりである。それで福田総
理は解散に踏み切らざるをえないという読みだ。今のところ多分そうなる確率は高
い。
そうなるかどうか世論の動向がすべてだが、民主党はガソリンの値下げこそ決め手
だと考えているようだ。高騰を続けるガソリンが暫定をやめることで25円も下れ
ば国民生活にとって大きなプラスであることは言うまでもない。が、果たしてそれ
だけか。
1月17日の朝日新聞社説は「ガソリンだけではない」と題して、この民主党のこ
の戦術を批判している。いやそのことは私自身1月16日にBLOGで書いたこと
だ。ガソリンが下がるなどということはほんの一時的なことだ。今ガソリンが上が
るのはむしろ当然のことである。ガソリンが下げるなどというのは単なる目先のメ
リットに過ぎない。
むしろこの暫定税率を廃止することでトータルの経済、税制にどのようなメリット
があるか、ないかを論じるべきなのだ。ガソリンが下がることはいい。がそれより
暫定税率を廃止うすることにどういうメリットがあるのかないのを論じるとととも
に今国会提出の政府予算案をどのように修正し、これからの日本経済、国民の生活
をどのように導いていくかについてのグランドデザインを示してもらいたいものだ。
「ガソリン値下げ隊」などちゃちなスローガンだ。むしろこれからの国民生活をど
う守っていくか、「生活守備隊」いやもっというなら、今やOECD加盟国GDP
18位になってしまった日本経済をいかに再活性化するかという命題がある。国民
生活を維持向上させ、しかも全体の経済をいかに成長させるかという難しい命題に
答えるグランドデザインを示すべきなのだ。
新給油法の問題では与党から対案を出せと散々言われて終盤近くになってやっと対
案をだした。こんどは国民の生活に直接密着する予算案である。これに対する対案
はより大切であり、国民にとっても理解しやすいテーマである。是非練りに練った
対案を出すべきだろう。朝日の社説はこのことを説いているが、私は16日の
BLOG記事で全く同じことを提案している。
もう政府与党の経済政策が破綻していることは明白である。与党政府を解散に追い
込めるか、そして総選挙で勝利し、政権を奪取できるか、どうか、すべての焦点は
、民主党の予算対案に掛かっているといって過言ではないだろう。
2008/1/19
早勢 直
今週の意見(562):
道路特定財源の流用はおかしい
国会では道路特定税率継続か廃止かをめぐって与野党が激突している。最初民主党
がこの暫定税率を廃止することでガソリン代を25円下げられるとぶちあげ世論は
おおいにこれを支持した。が、それに対し、地方自治体が一斉にそれでは地方の道
路建設がストップするほか、税収が減り県の財政に深刻な影響があると一斉に反発
をはじめた。民主党の参議院議員大江氏など公然と党の方針に反旗を翻し、自民党
が主催する道路建設決起大会にでる始末。民主党にとっては当初の予想以上の反発
に戦術を練り直しているところのようである。
もともと民主党は道路特定財源を政府、国土交通省が抑え、その予算を地方に配分
をするという構図をやめないといけない。そういう中央主導の行政が数々の利権構
造を生んでおり、道路を作るにせよなんにせよ、もっと地方自治体に、権限を大幅
に与え、その自治体の政治を任せるべきだと主張しているわけだ。特定財源を一般
化し道路を含めてさまざまな予算執行を地方に任せるべきということで、ただそれ
がガソリンが値下げになるかどうかだけの問題でなく、国の構造改革の必要性を訴
えているわけだ。
国が大きな予算を抱え、地方にその配分を行うという構図は必ず利権が伴ってくる。
現実鉄道族、道路族なる国会議員がいて、地方にどれだけそうした計画や予算を分
捕ってくるかで地方とのつながりをもっている議員が沢山いるわけだ。国が行う工
事は予算が大きいし場合によっては必要以上の大がかりのものを建設してしまうこ
とになる。これまでも必要もない道路や橋脚が建設されるといケースはあちこちに
見られた。そうした公共事業そのもの大きな利権がからみ、それがまた公務員汚職
の源泉であることも過去さんざん見てきたところである。
今世論は暫定税率廃止には圧倒的に賛成が多いが、地方自治体のそれをした場合の
地方財政への影響を懸念を見て、世論がどのように変わっていくかわからないとこ
ろなのだ。
ところが、また降って沸いてきたのが、国土交通省の内部で、その特定財源の一部
をを国土交通省職員の宿舎建設に当てたり、職員の福利厚生のための野球の道具を
買ったりしていたことが発覚した。民主党はこれはあの社保庁内で保険料がさまざ
まな保険庁のための内部施設建設に使われたのと同じ構図だと批判している。まさ
にそうなのだろう。冬芝大臣はそれは法律が定めるところにしたがってやっている
ことで違法性はないなどと説明しているが、説明になっていない。特定財源とはあ
くまで道路建設のためにのみ使われてしかるべきもの。それが金額の額の大きい小
さいに関わらず違う目的に使われているところがおかしいのである。
そうしたカネの使い方はまだまだ氷山の一角なのだろう。要するにそういう多額の
特定財源を抑えて中央官僚が抑えて配分するという構図事態がそういう利権構造に
つながっていくということなのだ。そういう構図を断ち切ることこそがまさに構造
改革のはずである。こうした問題について政府は相変わらず別に違法性はないとか
ほんの一部のことでたいした問題でないと逃げ切るつもりだろうが、そういう言い
分を国民は絶対に許してはならない。
暫定税率はこの際廃止してそういう省庁の利権構造をなくする、国と地方のあり方
の根本的な改革につなげるという民主党の主張は私はただしいと思う。
2008/1/26
早勢 直
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