2008年 今週の意見 2月

今週の意見(563):

混乱のキーワード

今の政権与党が行っている政治がなぜ大混乱しているか。それは安倍政権の崩壊、
福田政権の今の政治混乱の中で出てくるさまざまな特殊な言葉がそれを象徴してい
る。いわく特措法、特定財源、暫定税率、つなぎ法案、特殊法人、特別会計、埋蔵
金・・・。最後の埋蔵金なる言葉一体いつの時代の話かということだ。江戸時代じ
ゃあるまいし。いや現にそうしたこの国にはそうした国民の目にふれない、隠し財
産が存在するらしい。とんでも話だ。それもこれもこの国には一般会計のほかに特
別会計なるものがあって、これが長い間の政治家や官僚の悪の温床ともなってきた
いきさつが存在する。                           

与党が出そうとしていた暫定税率つなぎ法案が、議長裁定でやっと与野党の合意が
でき、与党はつなぎ法案提案を取りやめた。。もしそれが提出されていたら、民主
党は審議拒否をやっただろう。国会の混乱は必至、場合によっては解散総選挙とい
う図式である。そうなると予想していたし、むしろそうなった方がよかったかもし
れない。仮に民主党が審議拒否、また参議院で問責決議案を出したとしても、福田
総理はこれを無視し、そのまま政権を維持し続けるかもしれない。そうなる確率も
高いので民主党もとりあえず議長裁定をのんだのであろう。          

これで暫定税率は事実上延長されたという新聞報道もあったが、どういう形で決着
するのか、これから国会では予算審議が本格化する。大体予算案とか暫定税率延長
法が3月末までの会期中に間に会うかどうか、間に合わなければ大変だという与党
の危機意識があるが与党の出した予算案がすべてそのままで通ることが当然と言う
考え、その中味に野党が反対ということがありうるのは当たり前のことではないか。
もう何十年も続いてきたガソリン暫定税率に野党がこぞって反対するのはむしろ当
然のことで、とりあえず決めたはずの暫定税率がさらにまた十年も続けるというこ
と自体がおかしいのである。                        

しかもその暫定税率で取られた税金は道路特定財源として使われるということだ。
与党は安倍内閣時代に道路財源の一般化をいいながら、結局はその特定財源を続け
ることになった。この国にはまだまだ道路が必要だという。暫定税率をやめると地
方への財源が大幅に減り、地方が困るという。なにがなんでもこれまでのままの形
を続けるという主張なのだ。                        

ところがその道路建設のための特定財源が実は道路建設以外のところで使われてい
たり、国土交通省の職員の宿舎建設費用に当てられていたりしている事実も発覚し
た。特定という名目でその財源をもっていることでそれに関わる官僚や政治家の利
権につながっているという野党の主張は根拠のないことでない。        

この特定、暫定、特別という言葉の裏に、今の日本の政治のあり方の根本問題があ
るようだ。問題になったのはすべてこうした言葉に関わるものであって。前国会で
与党は無理やり通したのが、テロ特措法の延長版、新給油法であった。特措法、す
なわち永久的でなくとりあえずの臨時的措置、一時的措置のはずが延長延長できた
わけだ。それがいったん切れるとその延長のためやはり短期的措置としての新給油
法を作った。                               

今度国会での最大の焦点ガソリン暫定税率延長。やはりここでも暫定的に決められ
た特別な税金をなんども延長し、今度はそれを10年間延長するということである。
それが使われるの道路特定財源である。特定といいながら実は特定でなくそれが一
種の隠れ財源みたいな形で使われているのはすでに述べたとおりだ。      

特定というと一番そのいい加減さを象徴しているのが特別会計の存在である。そし
てそこに埋蔵金なるわけのわからない隠し資産が存在する。それがあるとかないと
かの議論だが、この国には一般会計のほかに、特別会計なるものがずっと存在して
きた。埋蔵金とはその特別会計の中に隠れている余剰金なのである。その存在はオ
ープンにされておらずまさに隠し資産なのだ。国家の会計にこんなものがあってい
いわけがない。もしこれが一般の民間会社であれば、たちまち税務当局から追及を
受けて追徴課税されるのがおちなのだ。                   

いま野党民主党が主張しているのはただガソリンを上げる下げるかだけの問題でな
く、こうした長い間政権与党がおこなってきたなにかというと特別的な措置、臨時
的措置、特殊な処理、特定的な処理結果生まれるさまざま利権、それにまつわる官
僚や政治家の汚職をなくすこと、埋蔵金称する隠し財産の存在といったものをやめ
ることだ。暫定税率廃止に伴う道路財源の一般化、特別会計の廃止一般化などをす
ることで国家財政のオープン化、健全化を進めることだということだ。     

当然の主張であり、こうした論議こそまさに本来の構造改革そのものであるはずだ。
今回の国会論議を通じてそうして不明瞭な政治のしくみ、国家の構造改革論議が深
まることを期待するものである。あのようなつなぎ法案などはまやかしそのものだ。
それが消えてこうした問題の本質迫る議論が国民の前に明らかにされることこそが
一番大切なことである。                          

2008/2/2
早勢 直


今週の意見(564):

「あらたにす」の意味

朝日、読売、日経三社の共通ネットサイトあらたにすが1月31日スタートした。
三社のニュースが並べて見れる。トップニュース他政治・社会・経済ニュース、社
説、コラムなど最新の三社の記事が一つのサイトで読めるのは大変ありがたい。一
社づつ見てもいいのだが、主要三社のものを比較しながら読めるところがおもしろ
いのだ。                                 

かってそれぞれの新聞記事をネットで見ること自体かなり限定されていた。ネット
に掲載される時間も遅かった。時間的には新聞が配達された後に、ネットで読める
ようになるのが一般的であったが、最近はまだ新聞が配達される時間の相当前に主
要記事などが読めるようになってきたのだ。                 

しかも主要三紙のものが一度に見れるというのは便利である。私は朝日を購読して
いるから、朝日の記事を事前に読むこともできる。それに加えて購読していない読
売、日経、他毎日、産経など主要記事も見て、BLOGの記事を書いたりしている
が、まことに便利な時代になったものだ。                  

今は朝日新聞だけ購読しているが、本当はその必要も全くない。社説コラムを含め
て朝日の主要記事は殆ど読めるし、その他主要新聞、それに外国の有名新聞だって
読めるのだからすごい。毎日外国の英字新聞まで読むことはないが、たまに日本の
新聞では読めないことも読むことはある。                  

それにしてもこの「あらたにす」なるサイトは一体どういう意図で始まったのかで
ある。7日にパソコンクラブでそのことが話題になったが、会員からそういう質問
が出たので私はコメントした。「あらたにす」自体にもその意味や使い方や、今後
どのように発展していったらいいかなど有名人、評論家が投稿しているが、その真
の意図、目的など誰も解説していない。                   

これまでの大新聞はこんなことはすることはなかったし、その必要もなかった。が
なぜこの主要三紙がなぜこんなサービスに踏み切ったかである。        

いうまでもなくそれは、このネット時代、新聞というマスメデイアの危機を象徴し
ているちいうことである。すでにアメリカではネットメデイアに押されて、名門新
聞が廃刊に追い込まれているケースが数多くでている。読者が新聞を購読しなくな
った上に、企業広告収入も、ネット企業つまり、すなわちGoogleとか、
Yahooに大量に奪われてしまったからだ。日本はまだアメリカの比ではないが
いずれ同じことが起こる可能性はもう目の前まで来ている。          

三社の連合はその危機の表れなのだ。三社で共通のポータルサイトを出し、そこで
マスメデイアとしての注目度をあげるとともに広告収入もねらっているということ
に違いない。いや、将来新聞を印刷して販売するということ自体をやめてしまう、
やめてしまわざるをえない事態すらありうる。                

私自身最初なぜこんなことをするのかその意味がよくわからなかったが、パソコン
クラブでそのような話をして自身もあらためて納得できたのであった。     

2月2日早朝いつものようにBLOGを書くために、ネットニュースをチェックし
ていたらマイクロソフトがYahoo買収に動き始めたというニュースがあった。
そのことを早速BLOGでコメントした。そしてその日の午後であったか「あらた
にす」をチェックしてみて気がついたわけだ。なんと朝日と日経がこのニュースを
当日のトップニュースとして報じていたのだった。経済ニュース中心の日経はとも
かく朝日がトップニュースとはちょっと意外であったが、この「あらたにす」の創
設と合せて考えてみればなるほどと思ったわけだ。              

そうなのだ。実はこのMSの動き、それはすなわちネット会の巨人Googleに
対抗して、もう一つのネットの雄Yahooを買収することで世界のネット社会、
新しいマスメデイアの世界を支配しようというMSの動きがこの日本の主要紙にと
っても、死活問題につながる大事件であったのだ。              

さてこうした動きがどう展開していくか、一パソコンユーザ、ネットをさまざまな
形で楽しんでいるユーザとして非常に興味深いことであることはいうまでもない。

2008/2/9
早勢 直
今週の意見:(565)

鳩山法務大臣は辞任すべきだ

鳩山氏は安倍改造内閣で法相に就任した後、これまでも「(死刑)判決確定から半
年以内に執行することが自動的に進む方法がないだろうか」「私の友人の友人にア
ルカイダがいる」などと発言し、波紋を広げていた。                          

死刑判決が確定しているのに、就任する法相の判断だけで執行するかどうかが決ま
るのはおかしいという趣旨だと理解していたからもっともだと思うところはあった。
が、コンピュータに乱数を発生させてそれで決めるというような発言を聞いて、な
んだそれはとびっくりしたものだ。しかしその件は問題が問題だけに、誰もそれに
ついてつっこんだ議論をしたくなかったのだろう。そのまま立ち消えになったよう
だ。                                                                      

その次の問題発言は、アルカイダの友人がいるというものだった。政界はもちろん
その発言にはみなびっくりした。一体全体どういう目的でそんな発言をしたのかも
よくわからないまま、これもあまりにも唐突であり、馬鹿らしいこともあって、そ
のことも世間から忘れられてしまった。                                      

そして決定的な問題発言はこの鹿児島県議員選買収事件に関するものだった。12
名の村民が選挙での買収の罪をでっち上げられ逮捕、取調べを受け、立検され裁判
にかけられたのだった。裁判の結果被告はそういう事実は全くなく無罪になった。
それは当然冤罪であったわけで、マスコミもあらゆる場でそれを冤罪事件として報
道した。                                                                  

冤罪とは罪がないのに、疑われたり罰を受けたりすること。無実の罪、ぬれぎぬ、
と大辞泉に書いてある。それが一般的解釈であってそれ以上でもなければ以下でも
ない。鳩山法相は、あの事件の被告たちはたしかに裁判にかけられたが、無罪にな
った。刑にも服さなかった。冤罪は刑に服した場合のことを言うのあってそういう
意味で鹿児島の事件は無罪判決でで刑に服さなかったのだから冤罪とは言わない、
とある法務省の公式の会議の席で発言したそうだ。これに対し、元被告から抗議の
声が上がり、国会でも問題になった。                                        

当たり前だ。この12人は公正な裁判の結果無罪になったのだが、その取調べ中、
大変な苦痛をなめさせられたのだ。問題はそんな法的な解釈がどうこうでない。そ
の事実が大きいわけだ。それは冤罪に当たらないなどということで一体なにを言い
たかったのか。無罪にはなったが国家の機関が罪をきせようとした。それを冤罪と
呼ばず一体なんと呼ぶのか。                                                

裁判所がちゃんと無罪判決を出したのだから、何を冤罪、冤罪と大騒ぎするのか、
とでも言いたいのか。とんでもないことである。どうやらこの人、先のコンピュー
タ乱数発生で死刑執行を決定するという提案といい、今回の発言といい、人の苦し
み、人の感情などなんら理解しない人のようだ。こんな人に国家の法、法秩序を守
る法務大臣など務まりはしないことははっきりしたのではないか。法は国家の安全
を守るためにあるが、その安全という中には人の人権を守るということが一番にあ
るはずだ。                                                                

まやかしの法解釈を振り回して、一番大切な人々の人権を侵すことをやっておいて
それを冤罪ではないなどという神経の持ち主、そんな法務大臣など即刻自ら辞める
か、辞めていただきたいものである。福田総理には当然その任命責任がある。    

2008/2/16
早勢 直
今週の意見(566):

イージス艦事故の政局がらみは当たり前

イージス艦の衝突事件をめぐって、石破防衛大臣の辞任、罷免を求める声が上がっ
ている。防衛省をめぐってはこれまでも給油量の間違い報告とか、守屋事務次官の
汚職事件など不祥事が続いた。そしてこの決定的不祥事事件が続いたわけだ。事故
自体のこともさることながら、あれだけ省内の報告システムをきちんとやるとか省
内の規律粛清を宣言しながら、事故発生後大臣への報告までに90分、総理への報
告に2時間を要したというのは一体どういうことか。防衛省の危機管理体制、シス
テムがなっていないという証拠で、責任者の石破大臣は一体なにをやっていたのか
という責任問題に発展してもなんらおかしくない。野党がこぞって辞任を求めてい
るのはむしろ当然のことではないか。

本来の責任追及は福田総理に及んでもおかしくない。が、この人相変わらず、事件
に関する対応については防衛省を批判し、そして事件が起こったことについては遺
憾だというばかりだ。ご自分が自衛隊組織の最高指令官であることをお忘れのよう
である。防衛大臣を任命した責任者でもあるのだ。

福田総理自身を含めて、与党幹部は、野党が防衛大臣の辞任を求めることを政局に
からめることで、それが国家国民のためにならないようなことを言うのを聞いてい
ると実におかしなことを言ってると思うのだ。もちろんこれもいつものパターンで
ある。今懸案の予算審議なでもそうだ。野党が反対することを捉えて、この問題を
政局にからめるなどけしからん、という言い方をするのだ。この事故に関しては、
防衛大臣の職責はまずはその事件の背景、原因の追究であり、再発防止策をとるこ
とだというのである。

もうそのセリフは聞き飽きた。その問題解決能力、対処能力がないから今回もこん
な事件が起こった。事件はともかく、報告の遅延、うその報告という組織の基本か
らはずれた行為が繰り返されるのだ。


防衛省に限らない、厚生労働省、国土交通省など最近の不祥事を見ていると現省庁
現大臣たちのの当事者能力はもうその限界を超えているのではないか。 そんな大
臣たちがいくら原因追求をし、対策をとったところで、またトータルの管理能力、
統治能力が欠如した総理がその中枢部分にいるかぎり、根本的な問題解決はできな
いと断言せざるを得ない。

防衛省にせよ、今問題の国土省にせよ、大臣は官僚たちになめられきっているよう
だ。一番なっていないのはその職務に関する規律ではないだろうか。

このだれきった官僚機構をどう立て直すか。政権交代に政治によって、政治と官僚
の新しい枠組み、体制をつくり直すしかないと思うのだ。。

2008/2/23
早勢 直

ホームページへ