2005年 今週の意見 2月

今週の意見(407):

おかしく抽象的な政治家の言葉

 通常国会のしらけぶりについて先週書いたが、国民の側からみていて、もっとし
らけるのが、質疑応答で使われる妙な言葉である。いや、それは国会だけでなく、
日本の社会でよく使われるのだが、民間企業などではもう使われなくなったそうし
た旧態然たるおかしな日本語が多く使われているということだ。

 例えば原 清さんがMLで書いていたが、議員同士、お互い呼び合うのに「先生」
「先生」と言う。言うまでも「先生」は一種の尊称なのだが、議員達はみな国民に選ば
れた選良、そういう意味でお互い尊敬しあいながら議論をすすめるのであれば、い
いが、どうもそんな雰囲気でなく、それを使いながら、こき下ろしたり、皮肉を言
ったりしているように聞こえることが多い。どうして普通にお互いの名前やXXX
議員と呼び、相手が大臣とかの要職に就く人であればXXX大臣と呼ばないのか。
その方が自然だし国民は親しみを感じる。

国会自体でも「先生」などいう呼称は以前からやめようという声もあるが一向に改ま
ることがないのはどういうことだろうか。

 質疑応答に中身があるかどうかはそれがどのように具体的に行われているかであ
る。が、どうもこれも昔からの話だが、日本の国会での質疑応答はその具体性に欠
けるのである。それができるのか、できないのか、と聞かれて、答えは「はい、鋭意
努力します」とか、「前向きに検討します」とかの類のものが多い。「粛々とことを進め
ます」なんてのも多いが一体なんのことか分からない。

 質問自体は「それはいついつまでに、どんな手順で、どのようにやるのか」でなけ
ればならないし、その答えもその期限、内容、手順を明確に示したものでなければ
ならないのは当然のことである。おうおうにしてその答えは「ベストをつくします」
的なもので済んでしまうとところがなっていないのである。またそれで済んでしま
うのだ。

 民間企業で担当者がそんな答えをしたら、社長に叱られるであろう。が、日本の
国会、大臣、官僚の答えはその手のものが多くそれで済んでしまうところが一番の
問題なのだ。

 そのような意味でも小泉首相は説明責任を果たしていない。それで国民の信を失い
最近は内閣支持率33%までに落ちこんだ。が、代わりになる後継者がいないので
とりあえず来年秋の任期までは続投するというこれまたまことにしらけた状況なの
だ。

 明確にその政治的信条や長期ビジョンをわかりやすく、具体的に国民に語ってく
れる政治家が日本にはどうしていないのだろうか。

2005/2/5
早勢 直
今週の意見(408):

予防介護

 木曜日夜NHKクローズドアップ現代で「予防介護」実践の一つとしてお年寄りが
筋肉トレーニングに取り組む様子を紹介していた。それぞれお年寄りの体に合わせ
ながら80才以上にもなるお年寄りにも筋肉トレーニングを施すことで、体力が回
復しそれまで受けていた介護サービスも自力でできるようになった例などを紹介し
ていた。

 いや、それが本来必要な予防介護なのだろう。高齢化する日本では要介護のお年
寄りが増える一方である。このままでは間違いなく介護保険制度自体パンクするこ
とになりかねない。介護予防は介護を必要とするお年寄りの基礎体力を筋肉トレー
ニングなどの手段で強化することで自立してもらい、要介護のお年寄りを減らそう
ということだ。

それはただ介護保険制度維持、カネのためだけでない。それ自体がお年寄りの本来
の幸福につながることでもあるからだ。

 そうした取り組みを国や地方公共団体が組織としてさまざまな取り組みをやるこ
とは当然必要だ。しかし、考えてみると、そんな指導などなくても、それぞれお年
寄りが自らもっと若い年齢の時から体力維持の努力取り組みをすることがなにより
大切ではないかと思うのだ。そうした意志とやる気を持ってもらうことがなにより
大切だと思われる。

 体力だけではない。その精神力を鍛える、知力を維持しそれをさらに増進し、自
分の人生を積極的に楽しく生きる意欲が何より大切ではないかと思うのだ。問題は
そうした意欲をそれぞれの人が持てるか、どう持ちうるか、ということである。

2005/2/12
早勢 直
今週の意見(409):

マネーゲームか規制ゲームか

 ライブドアの日本放送株の大量取得問題でライブドアとフジテレビの争いが各方
面で大きな話題になっている。その展開で当初有利に見えたライブドアだが、その
後フジの巻き返しもあってさてこれからどうなるか、わからないという状況のよう
だ。

 フジテレビの大株主である日本放送株を取得することで、フジテレビへの経営へ
の影響力を持ち、業務提携をめざそうとしたライブドア堀江社長の戦略のどこが悪
いのかよくわからない。がそれについても、マスコミをはじめ、政界、それについ
て財界からも批判の声が上がっていて、どうもその点でも堀江社長にとって不利な
展開のようだ。

 アメリカではこのようなことは日常茶飯で、そんなことに政治が介入したり、マ
スコミや財界自体から批判がでたりすることはない。ところが日本では細田官房長
官や武部自民党幹事長がそうしたマネーゲームは、日本という社会風土にはなじめ
ないいといった発言をしている。それはいまさらながら、日本がいかに相変わらず
規制社会であるかを思い起こさせる現象のようだ。日頃競争相手のフジテレビのこ
とだが、マスコミ界も概して、ライブドアのそうした動きを批判的報道することが
多いのもある意味で不思議な現象である。

 なにより一番傑作なのは、フジテレビの会長自身の発言である。「カネだけでこ
とを決着しようとするのが資本主義か」とか「単なるマネーゲームで業務提携の話
をいきなり持ち出すのがおかしい」と言った発言を繰り返している。何をおっしゃ
っているのかよくわからない。株式保有率で株式会社の経営を支配したり影響力を
持つこと自体、おっしゃるマネーゲームの基本ルールそのものであって、それをや
って一体どこがどう悪いのか、さっぱりわからない。カネの面で支配したからとい
って、それが即イコールなんでもうまくいくかどうかは別問題であることは当たり
前のことだ。

 経営者そのものはもちろん政治家がそうした発言をするのも、日本では放送業界
にもさまざまな規制が残っていて、ある意味でその独占的体質が保護されている
ということを意味している。そのことがそもそもこうした現象の背景にある。

 今のライブドアとフジテレビの日本放送株の取得をめぐってはさまざまな複雑な
要素がありそれ自体どう決着するかのかわからない。ライブドアの一連の戦略が成
功するかどうかもわからない。株式保有率を上げたからといってそのことイコール
その企業の経営に成功したり、その関連企業経営にどのように影響力を及ぼせるか
などすべて別問題である。

 にも関わらずそうした試みをすること自体、マネーゲームの汚名を着せてこれを
葬りさろうという感覚はまことにおかしいと言わざるを得ない。そのことについて
同じ企業経営者でも若手企業経営者の多くからから批判の声が上がっているのもむ
しろ当然のことであろう。

2005/2/19
Tadashi HAYASE
今週の意見(410):

経済制裁

 横田めぐみさんの遺骨はDNA鑑定でにせものだという判定は全く科学的根拠が
なく、でっちあげだと北朝鮮が改めて回答してきた。そして日本がちらつかせてい
る経済制裁などやるならやれ、とあいもかわらずいうにべもない態度である。

 これについて日本側の反応もあいかわらずだ。そんな不誠実なことなら、本当に
経済制裁も検討するぞって外務省などが表明するだけだ。小泉首相にいたっては、
「いやいつもいうように相手の真意がどこにあるか、よく見極めてやらなければな
らないからね」と記者会見で淡々と述べるのである。真意もへたくれもない。相手
はもうこっちは経済制裁などと脅すだけで全然それに踏み切ることはないことを読
んでやっているのだ。狼少年の例えもいいところで、やるぞ、やるぞと言うが全然
その決断力などないことはわかっていての反応なのだ。

 北朝鮮って不思議な国である。六カ国協議などもう離脱する。こっちは核兵器を
持っているぞ、などと重大事を平気で口にする。議長国中国があわててその真意を
確かめに行くと、「いや、そんなことは言ってない、条件が整えば、六カ国協議に
も参加する」などと前言を翻す。

 あれだけの敵意を示されたアメリカも北朝鮮に関しては何か非常に慎重である。
あのイラク戦争を始めたブッシュも、核兵器を持っていると明言した北朝鮮へのア
プローチはやたら慎重なのだ。国連もそうである。日本が拉致問題などに関して経
済制裁を言うと、北朝鮮担当の高官が「それは反対である」などと警告する。一体
なぜなのかよくわからない。まあ世界のならず者なのはわかっているが、わざわざ
それを刺激し、今その退治に乗り出すほどのことはない。しばらくほっておけくら
いのスタンスなのだろうか。

 北朝鮮への経済制裁を強く求めているのは横田夫妻をはじめとする拉致家族であ
る。それをやるとひょっとすると北朝鮮で生きているかもしれない拉致家族の命そ
のものが危なくなることを覚悟で政府に要求しているのだ。それはそうだろう。も
うこれ以上事態を進展させる手段はないからだ。

 外交ってこういうことなのか。こんな拉致問題など異常なまでの不正義が堂々と
まかり通ることをただ口先だけで相手をけん制することが外交の真髄なのか。

 日本単独で経済制裁をやっても効果は薄いということはそうかもしれない。それ
ならそれでどうしてもっと強く、国連をはじめとする国際社会、またアメリカと連
携して断固経済制裁に踏み切るように働きかけないのか。それが今日本に残された
最重要な選択肢ではないのか。

2005/2/26
早勢 直
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