2002年 今週の意見 2月

今週の意見(257):

 今週は外相と野上事務官の対立について書こうとしていたら、外相、事務次官、
鈴木議院運営委員長更迭の問題に発展してしまった。それについてはもういい
尽くされてしまったようだが、どうしても書いておきたいことだけまとめておく。

 『「1省内の問題で収まると思ったが、国会全体の問題になった。それが政治の
怖いところだ。一寸先はやみだ」と、自らの判断ミスがあったことを認めた。そ
して「これで支持率は下がるだろうが改革はやる」と述べた。』1月31日
新聞報道より
 
 小泉氏が首相に就任以来、その構造改革についての主張の正当性は認めながら
も、どうもそのスタンスにうさんくささを感じ、そのつどそのことをコメントし
てきたが、ことここに至り、ご本人の上記コメントを読むとまさにその本質が露呈
してしまった感がある。 

 ・それは一省庁の中の問題などではない。組織のあり方、国家本体のあるべき根本
  問題である。田中氏がそれについて問題提起をしたことを矮小化したのは小泉
  首相である。

 ・それは国会の問題などではない。ましてや国会審議の問題なんてたいしたこと
  でない。ことの真実を明らかにしないで、関係者三人を処分して済む問題では
  ない。

 ・判断の問題ではない。そもそも小泉氏自身の根本的なものの考え方がおかしい。
  そう言えば、改革を唱えながら、なにかと言えば問題先送り、妥協を繰り返して
  きたところがそうなのだ。結局は改革の本当の意味とプロセスがわかっていなか
  ったということだろう。

 だからいずれこうなることはわかっていたというのが結論である。「支持率が下が
っても改革をやる」と言うが、それはもう聞き飽きた。小泉政権の早期崩壊と本当に
改革を断行できる政権の樹立を待望するものである。

2002/2/2
Tadashi HAYASE
今週の意見(258):

政権交代

 多くの人がそうであったと思うが、4日の首相の施政方針演説を聞いてがっかり
した。例の田中更迭問題の直後で首相がそれについてどういう説明をするかに興味
があった。が、その理由について全く触れなかった。首相が強力に改革を進めるた
めの最大の武器、内閣への支持率がそれによって急落したことについてどう思って
いるのか。当然それについて国民に説明すべであった。

 国民は少なくとも首相の判断が間違っていたとメッセージを送ったのだ。にも関
わそれについてあえて触れないのはどういうことだろう。それは首相が言うように
一省庁の中の問題ではない。同じく改革を唱え、同志としてやってきた盟友を切っ
たその理由をやはり説明すべきことは政治家として当然である。単に言った言わな
いの次元の話ではない。

 多くの国民の反応について私はそれは国民の常識のだと思うが、それでもまだ内
閣支持率が50%近くあるということについては不思議だと思う。というか、その
事実に不満である。小泉首相もなっていないが、他にそれに代って首相候補がいな
い、与党も信用できないが、野党などさらに頼りないと言うのが、まだ支持率が高
い一番の理由のようだ。

 小泉首相もおかしいが、もうしばらく我慢してやってもらうほかない。そういう
考えなのである。

 私はそれは間違いだと思う。確かに最大野党の民主党を筆頭に政権担当能力につ
いては大いに疑問がある。しかも野党協力についてもバラバラであった。が、今回
のことをきっかけに大いに一致して、与党に当たる体制、雰囲気ができたことは確
かだ。一致団結してまず政権交代の実現に向かってもらいたいのである。

 日本では政権交代が殆どない。与党自民党のたらい回し政権があっても他の国の
ように二大三大政党間で政権が交代することは一部の例を除いて殆どないのである。
それが日本の政治ひいては社会そのものの停滞の最大の理由だと思う。

 日本の政治がよくなるためには、政権交代が大切だと思う。それによって互いに
政策論争が本物になり、またその成果についての本来の競争、切磋琢磨が行われる
のだと思う。

 この際国民は思い切って一度野党に政権を託してみる勇気が必要なのではないか。

2002/2/9
Tadashi HAYASE
今週の意見(259):

骨太改革案

 川口新大臣が発表した外務省改革案が与野党双方から評判が悪い。詳細は述べな
いが、野党が一斉に批判しているのは、例の機密費の内閣官房への上納の問題があ
る。国民が田中真紀子前大臣をあれだけ支持したのは、単にそのキャラクターだけ
でなく、機密費がらみの省内不祥事をまともに採り上げようとしたからである。国
民はそうしたことに外務官僚が組織をあげて、抵抗したことを知っている。

 新大臣が就任に当たって、前大臣から事務引継を求められて、前大臣は首相であ
って、それは終わっているなどと妙な理屈を述べたこともどうもその問題とからん
でいるからではないかと、疑いたくなる。

 どうして機密費の問題を明確にすると明言言しないのか。それが一番外務省改革
の重要な骨格部分ではないのか。それを横においておき、骨太の改革案もあったも
のではない。

 それにこの骨太という言い方、いつからそんな言い方をするようになったのか実
に不愉快な言葉である。経済諮問会議か、なにかで使った言葉だと思うが、その骨
格がしっかりしていない改革案なんて価値があろうはずがない。いかなる改革案、
計画案においても、その根底となるべき部分をしっかり、具体的に盛り込むべきこ
とは言うまでもないことである。

2002/2/16
Tadashi HAYASE
今週の意見(260):

不良債権の簿価買い取り

 銀行の不良債権処理を速く進めることが、構造改革にとって必須であり、経済を
成長路線に戻す条件であることは理解できる。そのため公的資金の再注入も視野に
入れてのさまざまな議論が行われている。

 一つおどろいたのは、与党内から出てきた、銀行の不良債権を時価でなく、簿価
で買い取るという案だ。保守党の野田党首が提案し、自民党の山崎幹事長がそれに
乗ってそれは妙案とばかり提案してきた。が、政府関係はもちろん与党政策担当者
からも異論が出たのは当然だった。多額の不良債権が発生したのは銀行の不始末そ
のものなのだ。バブルに踊り、すでに高い不動産を買いまくった結果なのである。
それをその当時の購入価格、簿価で買い取ってやろうという。国民の税金を使う公
的資金投入以上の悪い手段であることはいうまでもない。

 党内外の反対でその案は引っ込められたが、それに懲りず今度は実質簿価買い取
り案が浮上してきた。その実質簿価というのがよく分からないが、要するに実勢価
格でなく、元の購入価格に近い、銀行に有利な価格で買い取ろうということだ。

 金融危機を名目で、何かと言えば銀行救済案が浮上してくる。たしかに今3月危
機などといって、金融不安がつきまとっている。それを避けるために不良債権処理
を急ぐべきことは言うまでもない。が、公的資金再投入の意見といい、こうした不
良債権処理法といい、どこまで銀行を甘やかせたら気が済むのかと言いたい。

 どういう名目であろうと、銀行経営を援助するためのプランはただカネを与える
ことだけでない。銀行自身が経営建て直しのあらゆる可能性を追求し、一企業体と
してとことんリストラをやって欲しいものである。経営陣に対する経営責任の追及
ももっと厳しいものでなければならない。

 債権の簿価買い取り案なんて言語道断だと思う。どうしてもダメな場合は公的資
金再注入はやむをえない場合もあるだろう。ただしそんな銀行は経営陣人が総退場
すべきことはいうまでもないことだ。

Tadashi HAYASE
2002/2/23

注:「与党三党は不良債権実質簿価買い取り案を断念した」2月22日日経新聞
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