1998年 今週の意見 12月

今週の意見(95):

新しい日中関係構築のために

  日中共同宣言がなされた。小渕首相は会談の中で過去の侵略行為について反省と
おわびを表明した。江沢民国家主席は「よい発言だ」と一定の評価をしながらも今
後とも歴史と台湾問題は日中の根幹問題であり、今後とも問題にしていくとの姿勢
である。またか、まだか、一体何回謝ればこの話は決着がつくのかである。

 日本としては過去何度も首脳が反省とおわびは表明したが、国内にこれを否定する
ような発言があることを問題にしているという。

  が、日本は民主義国家。歴史認識を含めてさまざまな意見や見解があることは当
然の話である。が、少なくとも村山内閣の時を含めて、日本の前の戦争における侵
略行為について反省をおわびは何度も表明したはずだ。それは歴代の国家の代表が
言ったことだからそれ以上のものはないのである。それを国内に異論があるからけ
しからぬなどと言うこと自体がまことにおかしな話なのである。中国みたいに絶対
権力が存在するならいざしらず、どんな問題であれ、国内にさまざまな見解がある
のは当然の話である。国家としてそうしたものに明確な対応をせよとは一体どうい
うことか。そういう発言いちいちとらまえてそのつど謝罪せよとでもおっしゃるの
か。

  もういいかげんにして欲しい。それを政治的、外向的駈け引きでやっていること
ならもうやめて欲しい。日本は前の戦争について、特に中国と韓国の関係において
その侵略的行為を認め反省し、それぞれの国におよぼした迷惑について謝罪したの
である。そして二度とそうした戦争行為はしませんと、憲法にすらうたっているの
である。

 謝れと言えば別に減るものではないし、何度でも謝ればいいではないか、という人
はさすがに少ない。日本のマスコミもこのことにはあまり触れない。が、人間にも
国家にもそのプライドというものがある。謝罪というものは、二度三度しないのが
普通である。それを日本は少なくとも明確な形で行ったはずである。そんな人間と
して国家としてのプライドを傷つけるような注文を外交手段として使っているのだ
としたらそれはやめていただきたいものだ。

  私ならはっきりそう言う。共同宣言にあるように21世紀に向けた日中関係を作
っていくことが何より大切な今、中国側にそのことを言いたい。

1998/12/5
Tadashi HAYASE
今週の意見(96)

隗よりはじめよ(2)

 自自連立が成立したのやら、していないのやらわからない状況が続いている。政
策をめぐって最大の焦点は消費税をめぐって、これを下げるかどうか目的税化する
かどうかについての見解の相違である。そして、もう一つは国会議員の削減と内閣
閣僚数の削減についての小沢氏の提案を自民党がどう受け入れるのか受け入れない
のかである。

 閣僚数を17人に削減することについては、自民党執行部は、それはどうせ2001
年には省庁再編をする。その時、それにともなって閣僚数は削減されるのだからそ
の時にやればいいという考えらしい。

 もう一方国会議員削減については、これは国会が決めることだから、政府がうん
ぬんすべきではない。そういうスタンスである。マスコミの報道も小沢氏が自民党
とは徹底的に対決するといいながら、ここにきて連立などというのはおかしいとか
政党間の単なる数合わせだとかと言った批判ばかりで、議員削減や閣僚数削減政策
についてはあまり評価をしていない。野党もこのことには賛成とも反対とも言わな
い。特に国会議員を衆参両方でそれぞれ50名も減らすとなると自分たちの身が危
なくなることであるし、これは誰もが反対が本意。コメントすらしないという現状
なのであろう。

 今なぜ議員削減や、閣僚数の削減を急いでやらなければならないのか。行政改革
や立法改革、つまり財政再建策とかかわる国の歳費削減より、景気対策が優先のは
ずではないか。財政改革法だって凍結する。そう言いたいのだろう。しかし景気対
策はもちろん最優先だが、しかし、国の歳費削減は同時に進行させる、進行させる
べきことはいうまでもない。

 このことで民放のテレビを見ていたら、某有名アナウンサー司会者が自由党の幹
事長に質していた。「なぜ閣僚数の削減など、どうせ一年先に行われることを今や
れとこだわるのか。」

 わかっていない。今民間企業ではリストラが真っ最中である。企業業績を立ち直
すために、まず経費削減、そのための人員削減をはじめとするリストラ策を真っ先
にやっているのである。リストラが必要なのは民間企業だけではない。国家の財政
を立て直すために行政、立法の分野でも全く同じリストラが必要なのである。それ
は横においておいてまず景気対策、それは将来やりますではだめである。

 小沢氏の提案は「隗よりはじめよ」ということだろう。景気対策とともに、小さ
い国会、小さい政府を作ることだ。それでなくては赤字まみれの国家財政をたて直
すことはできない。将来国民が安心して暮らせるような国にすることはできないの
ある。

1998/12/12
Tadashi HAYASE
今週の意見(97):

税金の無駄使い

 会計検査院は11日、1997年度の決算報告をまとめ小渕総理に提出した。検
査した省庁や政府関係や都道府県などで341件、計243億の不正な支出があっ
たと言う。大きな税金の無駄使いがあったわけだ。特に例の防衛庁の水増し請求事
件。防衛費の不正が目立ったそうだ。

 会計検査院長が小渕総理に報告書を提出していう場面をテレビで見ていたが、
30センチもありそうな報告書であった。総理はそれを黙って受け取っただけ、こ
れに関しては特にコメントがなかった。官房長官が記者会見で何か発表した形跡も
ない。政府として国民に対し、一言謝罪なり、遺憾の意の表明があってしかるべき
である。検査院の調査は公正にして適切なものであったろうが、まだまだ発見でき
ない不正なものも沢山あったにちがいない。

 そのニュースの後、地方、四国香川県のニュースで、香川県の教育委員会関連で
1000万円近い空出張など不正支出が報道されていた。その件で県の教育長が出てき
て「すみません」と記者会見で謝罪していた。まことにあっさりとした謝罪で教育
長がぺこりと一度頭を下げただけ。報道もそれだけで、それ以上なんの解説も追求
もなし。

 不正支出のことは当然明くる12日の新聞にも報道されているが、たいして大き
な扱いではなかった。私のとっている朝日新聞などでも3ページに小さな扱いでと
りあげていただけである。

 私はそれらのことを見ていて腹がたってきた。たった234件だの、1000万円程度な
ど言う事なかれ。国民から県民から徴収した税金を国防、教育に携わる公務員がその
ような不正な金の使いかたをしているという事実。果たして、責任者が「すみませ
ん」の一言ですむとだろうかと思う。これが国家の総理ともなればなおさらそうだ。
一言の釈明の言葉もないのはどういうことか。

 その総理冬季のボーナスは600万円近くもらったそうだ。総理は日本株式会社
の社長だからそれくらいもらって不思議はない。が、問題は民間のボーナスが昨年
比マイナス4%になっているのに、公務員全体では逆に1.8%と増えていると言
うことだ。これも全く民間に働くものとして納得のいかない話。その支払いについ
ては別に不正であるとは言わない。が、中にはろくろく働きもしないで、民間企業
では到底得られないようなボーナスをもらっているものがいるにちがいないと疑い
たくなるのである。

 公務員ボーナスの話は上の不正経理の問題とはなにも直接関係はない。が、リス
トラだ、給与カットだという民間企業に比べて公務員の世界とはいかに甘いもので
あるか、うらみつらみの一つも言いたくなったわけだ。

1998/12/19
Tadashi HAYASE
今週の意見(98):

限りなき成長

 今年も残すところあと数日になった。今年もずいぶんいろいろなことがあった。
国際社会、日本の政治、経済、社会・・・世紀末とにふさわしい、激動の一年であ
った。

 特に経済にあっては未曾有の不況風が吹いた。いや、まだまだそれから脱却でき
ず、もがき苦しんでいるという実状である。マイナス成長、失業率が4.3%と過
去最高。あらゆる産業で企業が人員整理を含めたリストラをやっている。景気が回
復しなければ失業率はさらに上がるだろう。

 政府は次から、次へと景気対策を打ち出した。経済の基盤である金融システムの
安定のために多額の公的資金も導入した。9.3兆にわたる減税策も打ち出した。
来年度の予算一般歳出も大型のものになった。これで経済は回復すると政府は言う。
が、国の内外とも今一つそれを信じる向きが少ないのはどういうわけだろうか。本
格的な回復はまだ2年先だと予測する経済シンクタンクも多い。

 問題はその成長の中身なのでる。成長とはいわゆるGDP(国民総生産)が前年
よりも伸びたか減ったかで計る。そしてそのGDP、総生産の中身が問題なのであ
る。ここにきて軽自動車の販売が伸びたとか、パソコンの売り上げが増えたとかで
景気回復の気配が見えてきたという解説が多い。それはそうだろう。が、果たして
成長とはそんなモノだけの生産や消費が増えた、減ったということだけだろうか。

 GDPとはそうしたモノだけの価値ではないはずだ。いうまでもこれからの時代
モノに付随するサービスや、ソフト、そのた知的産物がこれからの経済を支える大
きな柱になるはずである。ある意味でモノはもう満ち足りている。これから大きく
増やさなければならないのは、目に見えるモノにたいして、目に見えない新しいサ
ービス、ソフト、知的産物といったモノなのである。そんなことはわかっていると
いうかもしれないが、どうもそれが本当に理解された上での不況対策になっていな
いことが問題ではないだろうか。

 モノの分野でもまだまだ足りないものが沢山あるだろう。個人の住宅などもそう
だ。そういう分野はどんどん伸ばせばいい。が、もっと力をいれて開発していかな
ければならないのはそうしたモノでない、ソフト、知的資産の分野であろう。そし
てこの分野こそはその成長に限りがなく、しかもモノの生産、消費拡大と違い環境
破壊を伴うこともないのである。いや、今や人類が地球上での生き残りをかけて環
境問題にとりくむことも大きなソフト、知的生産の分野なのである。

  おりしも数々の新記録を生んだアジア大会が終わった。アジア不況を吹き飛ばす
一つの契機になるだろう。アジア大会のモットーは「限りなき前進」である。これを
限りなき成長を言い換えてもいい。終わりなき、限りなき前進、成長こそは人類社
会共通のテーマなのである。

 これからの日本をどうしていくか、経済成長をどう達成するか。そのテーマを説
く前に、そのその対策を打ち出す前に、一体成長とはなんであるか、何をのばすこ
となのか、そのことの中身、あくなき成長への挑戦の中身を、今一度よく考えてみ
ることだ。

1998/12/26
Tadashi HAYASE

ホームページへ