2009年 今週の意見 12月


今週の意見(658)

市議会議員のボランティア化

全国自治体は、地方議員年金制度が破綻に瀕していて、総務省から、その給付水準
を下げて存続させるか、制度を廃止するかを迫られていた。この問題について今週
はじめ、全国市議会議長会と市議会議員共済会はその給付水準を維持するが、自治
体の公費負担率を2倍にアップするという提案を総務省に行いその存続をはかると
発表した。それは結局は市町村住民の負担をあげるということ、そもそもそのこと
を地域市民が了承しているのか、という問題になってこよう。         

このニュースではそもそもその議員年金の給付額がどれくらいのものか、説明はな
いが、それは国会議員の年金制度と並んで、一般国民の年金、厚生年金などと比べ
て、額も高く、しかも他の公的年金より短い加入年数で受給資格が得られるうえ、
国民年金や厚生年金と併せて受け取れるという「特権的」な年金制度なのだ。かね
てより批判があり、その存続自体が問題になっていたのであった。       

それをこの全国市議会議長会がその特権維持のため、自治体の負担率を2倍にする
という提案をしているわけだ。あらゆる公務員、議員たちの特権的待遇が見直され
ている時代であるのにだ。                         

この問題もっとさかのぼるなら、地方議会議員の報酬そのものが高すぎるのではな
いか、という議論があった。さらにもっと言うなら、そもそも市議会なるものにつ
いて、そうした専門職業としての市議会議員なるものが本当に必要なのかという議
論にまで発展してくるのだ。                        

これにはついては、名古屋の河村市長が国会議員の時から、市議会議員のボランテ
ィア化を唱え、名古屋市長に当選してからも、議会にそれを実現するための条例案
を提出している。そんな条例がに市議会議員が賛成するわけがない。当然のことな
がら、市議会はそんなものを通すはずがない。                

しかしながらこのことは地方自治の改革、今国家レベルで進みはじめた地方分権化
地方自治の財政基盤強化の問題ともからむ重要な検討テーマなのだ。国家の行政・
議会改革と並んで地方自治体の行政改革、議会改革が進められなければならないの
である。                                 

新政権下、地方自治体の行政、議会のあり方が大きく問われようとしている中で、
全国市議会議長会なるものが、市議会議員の特権的年金制度の維持のために奔走し
ている姿とは一体なんだという感じである。                 

河村名古屋市長の唱える、市議会議員のボランティア化など欧米先進民主主義国で
は珍しいことでない。新政権が地方分権化を唱えることはあっても、その口で、地
方自治体の行政改革、議会改革はこう進めよ、ああ進めよと中央政権から口出しで
きない、すべきでない。しかしこの市議会議員の特権的年金制度のように、やるな
らそれぞれ勝手にやれ、国はもうその負担援助はしないよとまずは徹底的に突き放
すことだろう。後はそれぞれの自治体の住民がそんな制度の存続を認めるかどうか
だ。                                   

そんなものは認めない、いうケースをまずは名古屋河村市長が実現することを期待
したいものである。                            

2009/12/5
早勢 直
今週の意見(659)

オバマ氏ノーベル賞の疑問

ノーベル平和賞に決まったオバマ米大統領への授賞式が10日オスロで行われた。
が、米最新の米紙世論調査では「オバマ大統領は平和賞受賞に値しない」と回答し
た人は66%に上ったそうだ。「値する」は26%である。CNNテレビが9日発
表した調査でも「受賞にふさわしい仕事をした」と見る人は19%にしかすぎない。

ホワイトハウス関係者と大統領自身もそうした厳しい世論を意識して、あまりノー
ベル賞受賞に触れたがらなかったそうだ。10日はまさに秘密の外遊に出かけたよ
うにオセロの授賞式に出かけたと、マスコミは報じている。                    

授賞式の演説もまたそうした雰囲気に満ちていた。核廃絶のことは宣言しただけで
その実現はこれからのこと。まだなんの実績もない。加えて、平和賞というが、ア
メリカは今アフガンで戦争をやっている最中である。オバマ大統領はその最高責任
者、最近3万人の増派を発表したばかりだ。受賞演説でもその実情、実態の説明に時
間を割いた。受賞演説では、アフガンとイラクで二つの戦争を抱える「戦時の大統
領」がノーベル平和賞を受けることへの批判を強く意識した形でその説明を行った
のだ。「アフガンでの武力行使は不可欠なだけでなく、道徳上も正当化されること
もある」と主張したのである。                                              

3万人の米軍増派を決めたばかりのアフガン戦争については「米国が求めた戦争で
はない」と強調。米国は武力行使で単独行動主義を取らない方針を示し、戦争に際
しては国際的な規範を順守する立場を示したのだった。 こん論理はアメリカ国内で
は受け入れられるだろうし、欧州でも基本的に受け入れられている。しかしそれが
戦争の相手側はもちろんイスラムの世界から受け入れられているかどうかは分から
ない。                                                                    

核廃絶の「成果を伴わない受賞」との批判に対しては、「私の世界の舞台での仕事
は始まったばかりで、歴史上の巨人に比べて成果はわずかだ」と認め、「私よりも
はるかにこの賞に値する男女らがいるということには反論しない」と話した。    

この演説を聞くまでもなく、当のアメリカ国内ではもとより、世界中の国、人々が
今回のオバマ受賞に疑問をいだいている。疑問だけでなく、イスラム世界などを中
心に平和賞受賞に反発する国々すらある。そうしたオバマ氏をどうしてノーベル賞
委員会が氏を平和賞に選んだのか、またその選考の基準とは一体なんであったのか
改めて問われている。                                                      

それはともかくとして、アメリカの地球温暖化問題に真剣に取り組んでいるグルー
プが今コペンハーゲンで行われているCOP15の国際会議の終盤の重要場面でオ
バマ氏が出席することに関連し、是非オバマ氏がアメリカの大統領として、この会
議のとりまとめに大いなるリーダーシップを発揮することへの期待を表明していた。
そしてそれこそが今回のノーベル平和賞に値することだと論じていたのにわが意を
得た思いであった。                                                        

そういえば、国内政治で三重苦に悩む鳩山首相も同じことが言える。COP15で
CO2削減をめぐって先進国と発展途上国が深刻な対立を展開しているのを受けて
 潘基文国連事務長が、9月の国連演説でCO225%削減を打ち出した日本の鳩山
首相のリーダーシップを期待する記者会見を行っていた。                      

核廃絶は人類の悲願だが、CO2削減もまたいまや全人類共通の最優先の課題なの
だ。鳩山首相が先進国の先頭に立ってこの会議成功に導くことに貢献すれば来年度
のノーベル賞は鳩山首相かもしれない。                                      

2009/12/12
早勢 直

今週の意見(660)

地球は滅ぶしかないようです

国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が始まってから11日
経ち、いよいよ18日の首脳会議で最後のつめを迎えている。しかし現実的になん
らかの実効性のあるまとめをすることは厳しい情勢のようだ。会議の始まる前は、
9月の鳩山首相の演説、オバマ演説などもあって、この度のCOP15こそ、地球
温暖化に歯止めをかける大きなきっかけの会議になるだろうと、全世界の国民はあ
る種の期待をもっていたはずだ。が、その期待は大きく裏切られそうな情勢である。
議長国デンマークはCO2削減に関しては京都議定書以上の先進国、新たに発展途
上国の削減義務を課すような合意案作成は断念するだろうことが報じられている。
なんということか。この会議一体なんのための会議であったのか。       

EUと日本はそれぞれ先進国として、一定のCO2削減義務を自らに課し、発展途
上国に削減のためのさまざまな経済的・技術的援助を約束し、その上で削減義務を
追っていくべきだとしている。その一方で先進国が、発展途上国特に排出量の20
%近くを占める中国に一定の削減義務を果たしてくれと迫るのは至極当たり前のこ
とのように思える。が、中国は今も事実上削減数字を明確に示さないどころか、相
変わらず地球温暖化はすべて先進国のせいであり、さらに先進国こそが大きい削減
義務と、発展途上国への資金援助を増やすべきだと主張しているのだ。少々あきれ
返った態度だといわざるをえない。                     

中国と並んで、排出量21%を占めるアメリカはオバマ政権になってやっと、削減
努力をすること自体を表明し、削減目標を掲げたが、それは極めて物足りない数値
であることに変わりはない。この問題に関しては、オバマ新大統領はそれでも先の
ブッシュ大統領よりはるかにましではあるが、国内での政治力の低下ということも
あるのだろう、この問題に対する対応はいまひとつ迫力を欠いている。     

もはやCO2削減問題は国際間、国同士のかけ引きで決めるような問題でなく、そ
れぞれが排出量、経済力に応じて等しく削減義務を追うべきことでないのか。今の
状況がこのまま続くようでは、地球は滅ぶしかないのであろう。アメリカ・中国は
そのことがわかっていのか。いずれにせよもうどうしようないという感じである。

もっと原点に帰ろう。そもそも私はこの問題に関して発展途上国が、地球温暖化を
もたらしたのは先進国であって自分達に責任がないなどと主張すること自体論理的
におかしいと思うのだ。たしかに過去のものはそうだが、自分達も今や、現実に大
量のCO2を排出しているのである。先進国のビジネスモデルを学び、そのおかげ
で経済発展を遂げてきたのはまぎれもない事実だ。それを実現しながら、それにつ
いては責任が全くないようないい方は論理的におかしい。           

鳩山首相は中国の温家宝首相に会って、中国も削減目標を明確に掲げるように促す
ようだが、アメリカのオバマ大統領には一体どのような働きかけをするのだろうか。
普天間の問題もあってひょっとすると説得どころか立ち話もできない状況なのかも
しれない。これまた困った問題だ。                     

あれやこれや見たり聞いたりしたことから見るとこのCOP15はもはやあまり期
待を持てない状況である。                         

三重苦といわれる国内問題を抱える鳩山首相だが、ここでどんな役割を果たせるか
に、首相の今後の命運もかかっているようだ。三重苦だなどという日本の国内問題
など、この地球温暖化の問題に比べたら、たいした問題でない。地球温暖化の問題
はこれから何十年先、百年先には地球社会が崩壊するという問題なのである。まあ
それは百年、二百年先のこと、自分はもちろん孫たちにも関係ないからいいか、な
どと思いながらこの複雑な心境でこの拙文を書いている。           

2009/12/19
早勢 直

今週の意見(661):

鳩山さん辞任が当然です

あの記者会見はほんの一部しか見なかった。見ていて一体なんの意味があるのだろ
うか。質問も答えも前向きの話など一切ない。互いに無意味なことを繰り返して言
ってるだけだ。聞いていていて悲しく、いたたまれなく、そしてむなしくなるだけ
だ。                                                                      

当初国会で毎日のようにこの問題を野党から追及されていた頃は、献金偽装だけの
問題だった。故人の名前を騙って献金の形を取ることなどもちろん言後同断だし、
法律違反だ。が、要するに誰からもらったものでない、自分の金を使っての偽装で
あったから、たいした「悪質性」はないと思っていた。世論も説明をきちんとしてい
ないことには批判があったが、その偽装行為自体、謝罪すればすむ程度の問題だと
思っていたにちがいない。                                                  

だからこそ鳩山政権発足時は、その問題すでにあったにもかかわらず、あのような
高い支持率であったのだ。しかし、あの贈与の問題が新たに出てきてからはその雰
囲気はがらりと変わったと思う。鳩山首相のやっておられたことは要するに脱税な
のだ。                                                                    

大金持ち一族が贈与のこと、相続のこと、またそれに掛かる税金のことなど知らぬ
わけがない。世間の金持ち、小金持ち、いや、私など一般庶民はほんのわずかな金
を親などからもらう場合でも、わざわざそれを何年間にも分けて、税制の許す範囲
で贈与の形をとったものだ。場合によっては、それは全く別のケースだが、わざわ
ざ税金を支払って贈与を受けたこともある。                                  

今度の民主党の経済対策の中に家を立てる場合、親族から資金援助をしてもらう場
合の税制上の優遇措置がある。あの政策について鳩山首相は一体なにを思ってゴー
サインを出されたのだろうか。その政策の関わる額とはせいぜい500万円とか、
1000万円とかの数字なのである。それに規則を変えてまでも税制上の特典を与
えるのである。                                                            

鳩山さん、十何億のお金をもらい、6億円もの贈与税を払うのだという。それで規
則上ののことは済むそうだ。あきれてものが言えない。贈与税については法人税な
どにある罰則、重加算税的なものがないということも初めて知った。要するに贈与
の事実が一切表にでなければ、一円も税金を支払わないで済むらしいのだ。そんな
馬鹿な。国のトップたるものが、そんな普通の常識人なら誰でも知っているような
税制のことを知りませんでしたですむわけがない。いや、仮に本当にそのことも、
そして実際にそれを受けていたことをご存知なかったとしても、そんなことが許さ
れるわけがないのである。                                                  

記者会見で、鳩山さん例によって軽いというか、ご本人としては極めてうかつなコ
メントをされている。もし民意がこうした行為を許さないということであれば、辞
任の可能性もあると示唆されたのだ。いや、世論がこのような行為を許すはずがな
い。今後出てくる世論調査の結果は火を見るよりも明らかではないか。          

この事態を受けて、鳩山総理は、国家国民のため、またご本人が強調される政権交
代の政治的意味の実現のため、さらに今後4年間、政権交代によって、国民のため
に民主党が行おうとしているマニフェストを実現するために、直ちに辞任されるべ
きである。                                                                

2009/12/26
早勢 直

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