2008年 今週の意見 12月

今週の意見(606):

やり直しのライフゲーム

忘年会の季節である。水曜日パソコンクラブの仲間と忘年会をやった。市内のカラ
オケボックスでの会であったが、カラオケに飽いて、さて最後のまとめに何をする
かとなった。幹事のHNさんが、出席者一人づつに質問を書いたカードをランダム
に配り、それに答えるという趣向をやられた。これが大変おもしろかった。それぞ
れの人が、それぞれの質問におもしろい答えをしたからだ。                    

例えば、「あなたは生まれ変わっても今のパートナーと再び結婚するか」と言った類
だったのだが、私が引き当てたカードには、「あなたは生まれ変わるとしたら、何に
なりたいか」とあった。うーんと一瞬うなった。そんなこと考えてもみたことないが
グッドクエスチョンではないか。                                            

私は答えた。「私が生まれ変われるとしたら、もう一度私自身に生まれ変わりたい。
私はこれまでの私の人生について、こうしたらよかった、ああしたらもっとよかっ
たと多少思うことはもちろんあるが、これまでの人生について悔やんだり、残念に
思ったことなど基本的には何もない。いや、そう言い聞かせているのかもしれない。
 
ただ幼年時代、小学校時代、中学校時代、高校時代、大学時代、外国での大学院時
代、そして結婚、就職、特にさまざまな産業、職種についたビジネスマン時代のこ
とを思い浮かべると、再び自分自身に生まれ変わったら、その節目節目で一体どう
するだろうか、その都度どういう道を新しく選ぶだろうか、いや同じ道を歩くかど
うか、それを考えてみると実におもしろい。                                  

前の人生の記憶など一切ないことが前提だが、仮にそれぞれの家庭環境、社会環境
が同じようなものであったとする。それでも新しく生まれ変わったら、全く別の人
生を歩むかもしれないのだ。それがどんなものか、それぞれの人生の節目節目に返
って、考えてみたらおもしろいだろうなと思ったのだった。                    

大きなおもちゃに行くと、今でも自分たちの子供たちが夢中になってやっていた「人
生ゲーム」というのを見つけることがある。さて、自身については、これまでのライ
フゲームは結構おもしろいものであったと言い聞かせているのだが、さて全く新し
いゲームに挑戦できるとすればそれは一体どのようなものになるのだろうか。    

2008/12/6
早勢 直
今週の意見(607):

雇用調整は安易か

このところマスコミのニュースは、景気の後退下での企業の雇用調整や、内定取り
消しが話題の中心の一つだ。そしてそれをやる企業に対して非難の大合唱である。
それをまた総選挙を近くにした与野党が意識的に救済策をあれこれ言っている。年
金問題、後期高齢者医療制度などで悪名高い厚生労働省もここぞとばかり内定取り
消しの企業名を公表すると脅してみたり、経済産業大臣が大企業の社長を呼んで、
非正規社員の雇用維持を要請してみたり、ここぞとばかり正義の味方のジェスチャ
ーをやっている。                                                          

大学生の就職内定取り消しについては、これもケースバイ、ケースだろうが、明白
に法律違法だというケースがあり、そのようなものについては、取り消しの取り消
しを求めたりするケースがあってもいいことはその通りだろう。                

しかし非正規社員の雇用打ち切りなど、もともとそういう制度を合法的かつ効率的
制度として認める方向に動いてきたのは、むしろ政治的主導もあってのことではな
かったか。それを今更、安易だとかなんだとか言って非難すること自体おかしいと
いわざるを得ない。
                                                                          
企業はその規模の大、小に関わらず、経営の健全性を保つために、景気の動向に応
じて雇用調整を行うことは必然のことなのだ。それをしないで、企業経営が破産し
てしまったら、元も子もない。それをマスコミをはじめ、産経新聞のような新聞ま
でがその社説でそうした雇用調整のアクションを安易だと決め付ける風潮は困った
ものだ。                                                                  

日本の企業があのバブル崩壊以後の大不況の中で生き残り、今日の収益力を取り戻
したのは、それまでの日本的終身雇用制度に別れを告げ大リストラを実践したおか
げであった。終身雇用制度が絶対的であった時代、またその頃は組合も強い時代で
あったからリストラ、人員制度など極めてやりにくいことであった。首切りなどよ
ほどのことでないとできなかった。それが大きく転換したのはあの大不況の下、そ
れ以外に企業生き残りの道がなかったからだ。そして経験から、不況予防策として
の非正規雇用社員の増員という仕組みの積極的導入があらゆる企業で行われてきた
し、またすでに述べたように世の中もそれを容認してきたのでななかったか。  

100年に一度という大不況に直面した現在、企業そうしたさまざまなリストラ策
を打ち出すのは当然のことなのだ。それを非難された経営者は本来言いたいことを
我慢し、せめてリストラの必要性を控え目に訴えるだけなのだ。        

リストラという手を打たない、雇用調整もしないで経営が成り立たなくなった場合
の責任など誰も取ってくれない。それを非難するマスコミ、政治家、官僚どもの言
動に、切歯扼腕しているにちがいない。誰が好き好んでリストラなどやるものか。
                                     
いや、だからと言って私もなにも政治による緊急避難的な雇用対策が不要だとか、
この年末時、職を失い、住んでいるところを追い出されるような事態を政治が、行
政がなんとかしなければならないということはわかる。違法な内定取り消しなどと
いうこともまさに安易に許してはならないこともそうだ。           

ただ、政治、行政が今考えなければならないのはそうした目先の対策もさることな
がら、もっと長期的な雇用創出のための経済政策、現状の非正規社員制度の根本的
見直し、大学生の就職活動、内定の仕組みそのものの見直しなど行うことだろう。
                                     
ずっと昔から感じてきたことは日本の大学生の就職活動、内定制度そのものが相当
おかしなものであることだ。大学3年になると就職活動を始め、4年になったらも
う就職が決まっていて、最後の一年間はろくろく勉強もしないで遊んですごすとい
うような日本の大学生のあり方、大学側の指導のあり方そのものがおかしいのでは
ないか。                                 

内定制度そのものにはもちろん企業側にも責任が大きい。そもそも、定期採用とい
う考え方そのものが根本的に間違っているのではないのか。          

企業は環境の変化で何時どうなるか分からないのだ。激変する経済状況の中で一年
も前に大量の雇用を行ってしまうということ自体がおかしい。4月に定期採用とい
うだけでなく、9月にも補足的に行ってもいいし、そもそも本来は刻々変化する必
要に応じて年間を通して適宜必要人員を採用すればいいはずである。それを4月に
まとめて定期採用、定期訓練などという考えそのものが既成概念、固定観念からか
ら一歩も出ていない。                           
                                     
非正規、正規社員という区分わけの問題はもっと根本的な問題だ。日本の企業経営
はかって終身雇用制度をベースとしていた。今でも欧米に比べるとその傾向は守ら
れているのだろうが、どうもその制度そのものが間違っていて、アメリカ型の効率
オンリー、株主重視の経営がいいものだという風潮がずっと続いてきている。企業
は株主のためにあるだけでなく、雇用者のためにもある、という考えが、ここに来
てまた強調されてきたことはいいことではないのか。

そして日本の終身雇用制度の良さ、見直し論が出てきたのは一つの進歩ではないか。
雇用の維持ということの大切さが、経営効率ということとどうバランスさせるのか
、させないのかという観点が論じられなければならない。           

企業は永続的に存続しなければならない。その経営判断が2,3年の短期タームで
なく、10年、20年の長期的な観点から雇用制度、人事政策を含めたあらゆる経
営戦略が考えられなければならない。また心ある経営者はそう考えているはずだ。

今日の経済情勢にあたって、それぞれの企業がどのような経営判断をするかは経営
者に任せるしかないし、任せておけばいいことだ。それぞれの評価は100%その
経営成果で決まるのである。その中に雇用維持という観点が当然含まれなければな
らない。                                 

経営者の評価という点についてはその点では自明のことである。経営者に限っては
どこかの国の政治家のように、どんなにひどい結果を出そうが、消費者国民の不興
を買おうが延々とただ政権にしがみついているやからとは違うのだ。政治家、官僚
に企業経営に口出しする資格など全くないことは指摘しておきたい。      

2008/12/13
早勢 直
今週の意見(608):

解散決議案提出、正攻法だ

年末に向け、国内に雇用不安が高まりつつある。国会の衆院厚生労働委員会は19
日の理事懇談会で、民主、社民、国民新の野党3党が提出し参院で可決された雇用
対策関連法案の審議を22日に行うことで合意したが、与党は採決については22
日中にも否決する方針である。                                              

政府は第二次補正予算の提出、雇用対策法案など含めすべて年明け1月5日からの
国会会期で提出し、3月末の年度末までに成立をはかるとしている。が、それが成
立するかどうか、成立させることができるかどうか不透明な情勢である。        

麻生総理の指導力はさらに低下し、与党内は自民党と公明党とのさまざまな確執が
ここにきて明らかになってきている。自民党党内でも公然と麻生総理に対しさまざ
まな批判が出ている現状だ。一週間ほど前の前主要マスコミ紙の世論調査では、麻
生内閣の支持率が20%台に激減、さらに昨日の時事通信社の調査では20%を割
り込み16.7%となってしまった。                                        

こんな状況でも麻生総理、与党はなんとか、政権の維持をはかっているのだが、こ
れに対し野党が早期解散を求めるの当然のことだ。各マスコミ紙に世論調査でも、
早期解散が民意の大勢となっている。                                        

こうした情勢のもと、野党民主党は衆院に解散要求を出すことを決めた。解散権が
麻生総理の手にあり、こんな政治状況の下、解散をするのは不利だと、与党からは
解散を封じ込められている。与党は今解散などすると政治空白が生じるなどと言っ
ているが、それは単なる一つの口実にしか過ぎない。この閉塞した政治状況を打破
するためには解散して、民意による新しい政権を作ること以外に、政治の空白を避
ける道はない。それが一番の道だと主張する民主党の方針が正しいといわざるをえ
ない。                                                                    

早期国会で、解散要求の決議案を出したという前例はあるのだが、国会で、政党が
解散要求を出したりするのは、「奇策」だなどという民主党以外の野党の主張もおか
しいといわざるをえない。それが衆院で否定されることは間違いないとしても、参
院にも提出し、可決することが政府与党に重圧を与えることは間違いがない。    

いずれにせよ、このままでは国会の衆参両院のねじれがますます激化し、政治状況
がさらに混迷の度を深めることは避けられないである。                        

それを打開する唯一の方法は衆院の解散総選挙であることは絶対間違いないことで
あることを指摘しておきたい。今の政治状況を打開するためには国会自体があらゆ
る手を使って麻生総理、与党に解散せざるをえないような政治状況を作っていく以
外にないのである。                                                        

2008/12/20
早勢 直
今週の意見(609):

渡辺喜実氏造反を評価する

麻生内閣への支持率低下傾向は避けられそうもない。にも関わらず、麻生総理は年
明け第二次補正予算や新年度予算提出でなんとか挽回を図ろうといる。不景気経済
対策が大切で「解散などしない」というスタンスだ。今回の大規模予算、それをまか
なうための国債発行増額路線は小泉内閣の財政再建路線から大きく外れるものだ。
にも関わらず、小泉内閣当時得た衆議院議席で、そうした路線の大幅変更を強行す
るつもりなのだ。それについて、国民の信を問おうともしない。        

民主党が昨日早期の解散総選挙を求めて決議案を出したのは当然のことである。相
変わらず政局優先の批判が与党から出るのはいいとして、野党からもこうした動き
に異論が出ること自体がおかしい。民主党を除く野党三党共同提案に加わらなかっ
たが、動議自体には賛成したのはまあよかった。               

次回選挙で仮に民主党が政権を取れたとしても、野党の中でも共産党などは今度は
それに向かってあらゆる政策について反対してくるのは明白であるから、それはそ
れでいいだろう。しかし共産党をはじめ他の野党も、本当に党勢を伸ばしたいのな
ら今は一刻も早く総選挙をやり、民意を聞くことこそがこの政治状況の中では一番
の優先事項のはずだ。どうして解散を求める共同提案に参加できないのか。国会対
策でのいい子ぶりのスタンスに共感できない。                

次回選挙で仮に民主党が政権を取れたとしても、今度はそれに向かい、あらゆる政
策について反対してくるのは共産党であることは明白であるから、それはそれでい
いだろう。この党こそ、今はいい子ぶっているが、本当に党勢を伸ばしたいのなら
今は一刻も早く総選挙をやり、民意を聞くことこそがこの政治状況の中では一番の
優先事項のはずだ。どうしてそのことに賛成できないのか。与党の今の政権運営こ
そあらゆる手を打って打倒することこそが大切な時なのだ。          

自民党の中からもっと造反者が出るかと思ったが、渡辺喜美氏一人だけだった。渡
辺氏の行動は氏の政治的信念に基づくものであり、高く評価されるものだ。与党か
らは次回選挙のためのパーフォマンスなどという非難を浴びるだろうが、この政治
閉塞感を打破するには早期の解散しかないという主張、信念を貫いたことは政治家
として立派である。たった一人の造反だが、その意味は極めて高い。しかも自民党
は戒告などという処分でこれをごまかしてしまった。除名などとするとその波及効
果がこわいのだ。                             

処分の是非について世の論議が高まること自体を与党幹部は避けたいのだが、渡辺
氏の処分が「手ぬるい」と自民県連幹部の会議で不満が数多く出たそうだ。それは
そうだろう。本来なら除名くらいの処分があっていいのだが、党内の不協和音をな
んとか、沈静化させたいのが本音であるが、早速党内から不満が出てきた。   

この渡辺氏の行動が、年明け早々始まる国会での予算審議の進行に大きな影響を与
えることは必須である。麻生内閣は解散は早くても、新年度予算案が成立する春以
降としているが果たしてそこまで持つかどうか。いや、もたせてはならない。この
国の政治にとって一番望ましいのは、年明け早々、国会冒頭解散であることは言う
までもない。                               

2008/12/27
早勢 直
ホームページへ