2003年 今週の意見 12月
今週の意見(347):
ノーという勇気
奥、井ノ上お二人の死はほんとうに痛ましいものであった。お家族の気持ちは察
するにあまりある。その気持ちについては日本国民同じだろう。
ただそこからはそうした非道に対する怒りをどうぶつけるか、人々の感情は二つ
に分かれてくる。「こんな非道が許されていいのか。テロとは断固戦うべきだ」とい
うのと「だから、イラクへの自衛隊派遣ももう少し慎重に考えよう」ということだ。
MLでもこれをめぐって意見が真っ二つに割れた。それぞれの言い分があり、そ
れをそれぞれの立場から議論することには大いに意味がある。
川口外務大臣や小泉首相が沈痛な面持ちで言う。「悪辣非道なテロには屈しては
ならない。お二人の死を無駄にしてはならない」 しかし私にはそれはそれこそお
二人の死を利用した誤ったプロパガンダに聞こえる。国民世論は圧倒的にイラク派
兵に慎重であるべきだということであるが、しかし、そうした極めて心情的、感傷
的な論に同調する人が多いことも事実だ。その気持ちはわからぬではない。
しかしである。世の議論もそうだし、MLでの議論もそうだ。テロ、テロとなん
でもかんでも、一緒くたにして論じていること自体がおかしい。なぜこんなことが
起こったか、その因果関係を明らかにしてなんになるか、というような意見もあっ
たが、そうではないだろう。
因果関係といえば、そもそもアメリカが、大儀のない、イラク国家主権を無視し
た戦争を始めたこと自体が、テロといい、ゲリラ戦を誘発したきっかけだったのだ。
それを非道といわず、なんというのか。日本がその行為を全面的に支持し、バック
アップするという行為自体が間違いであったことを認めるかどうかなのだ。フラン
スやドイツがなぜ安全なのか。彼らは卑怯だったのか。そうではないだろう。
日米同盟関係はいうまでも大切だ。そのためにも日本はアメリカの友人として間
違ったことは間違っているよと勇気を持つこともこの際大切だと思う。あらゆる意
味において、日本の将来のために、日本はせの選択の大切さが問われている。
いつかもそういう議論がありました。今こそ日本は現ブッシュ政権のやり方に「ノ
ー」という勇気を持つべきなのだ。
2003/12/6
Tadashi HAYASE
今週の意見(348):
なんという無責任説明か
小泉首相がイラク自衛隊派遣を決定し、それを記者会見で説明した。なんと憲法
前文を長々と引用し、だから、イラク派遣が必要なのだときた。憲法9条の不戦の
大原則のことは一言も触れないで、前文だけ都合よく引用したその説明がナンセン
スであることはすでに多くのマスコミ批判があったのでもうこれ以上触れない。
もう一つ記者の質問に答えて、「派遣された自衛隊は武器弾薬を運搬することは
ない」と明言した。その明くる日福田官房長官は「武装した兵士を運ぶことはある
でしょう」と解説してみせたのである。
いや、はやこんなめちゃめちゃな政府説明に誰が納得するだろうか。案の定その
後の多くの世論調査では、自衛隊派遣自体に反対するが、80%以上を占めた、総
理の説明には納得していないが、60%以上占めた。当然だろう。
さあ、問題はこれからだ。こんないい加減な国民の理解のまま派遣された自衛隊
員の志気は上がらないし、もちろんテロからの攻撃の目標になる可能性はきわめて
高い。何かあった時の政治責任を問われてそれには何も答えなかった首相だが、内
閣一つつぶれた位ですむことではないのだ。
これが今後日本の進路を大きく狂わせる結果にならぬことをただただ祈るばかり
である。
2003/12/13
Tadashi HAYASE
今週の意見(349):
アメリカの戦争中毒
国民世論反対の中、とうとう日本の自衛隊のイラク派兵が現実のものとなった。
そしてそれをまた後押しするような事件が起こった。フセインの捕捉である。そ
のことでアメリカでもブッシュの支持率が52%から58%に上がったそうだ。
日本でも財界の懇談会に出席した小泉首相に「自衛隊派遣に当たって、グッドニュ
ースですね」と声が掛かったそうだ。おかしな話である。
フセイン拘束があらゆる意味でビッグニュースであることは誰も否定しない。そ
の独裁的圧政に苦しんだイラク一般国民がそれを聞いて安堵の喜びを表すこともよ
くわかる。これからどういう裁判にかけるのか、 国際的な話題になることもわ
かる。
しかしわからないのは、それでブッシュのアメリカが始めた戦争の大儀が正当化
されたり、ましてや日本の自衛隊派遣の意味がより正当化されたり、そしてなによ
りも現地で行動する自衛隊がより安全になったのか、という問題だ。
いや、どうやら話は別である。フセイン拘束後以後、イラクでのアメリカ軍に対
する攻撃はむしろ高まっている。ゲリラと言おうが、テロと言おうが、それがどの
ような正当性を持つのかどうかなどの理屈を超えてアメリカ及びそれに同調する国
々に対する反発、反感が高まることはわかりきったことであるからだ。
フセイン拘束は問題の解決の一歩どころかまさにこの戦争のさらなる泥沼化の始
まりではないのだろうか。
MLで、藤木さんがブッシュアメリカの戦争中毒という背景の指摘があった。な
にがなんでも、このイラク戦争を力で押さえ込もうというアメリカ。その象徴がフ
セイン拘束の対するアメリカ世論ではないか。
話は突然変わるのだが、スミソニヤン博物館に広島原爆投下を行なったエノラゲ
イ号の展示が新に行なわれたそうだ。原爆投下の事実が記されているが、その惨劇
被害の事実はなんら説明がないことに、日本の平和団体が抗議したそうだが、当然
のことではないのか。これもアメリカという国のまさに戦争中毒の症状そのもので
はないのかと大いなる懸念を表するものである。
2003/12/20
Tadashi HAYASE
今週の意見(350):
平穏だったクリスマス
イラク戦争の後始末がまだまだ大変な中で、クリスマスにあわせてイラクだけで
なくアメリカ本土などで大テロが起こるという予測があった。が、一応イラク国内
でのあいも変わらぬテロ攻撃を除いて、世界各国とも一応平穏だったようだ。
さすがのテロ組織もこの時期少しはだけは遠慮したわけでもないだろう。厳重な
警戒の中、今の時期よりまたふと気を許した時期を狙っているのかもしれないのだ。
クリスマスはキリスト教徒にとって一番大切なイベントであろうし、そんな時期
を選んで攻撃を仕掛けるなどそれがどんなことであれやめて欲しい。やめるべきだ。
逆にラマダンいうイスラム教徒にとってもっとも大切な行事の期間中についても同
じことが言えるだろう。
イスラエル・パレスチナの紛争といい、イラク戦争といい、その根本的な根をた
ぐっていくと、宗教戦争的な背景に行き当たるのである。
今週のMLでもそうした意見が数多く出ていたが、イラク戦争をめぐっての紛争
解決のために今必要なのは、それぞれの国家の政治家リーダ間の話し合いだけでな
く宗教家のリーダ同士の話し合いが是非必要ではないだろうか。
過去にもそういう例はないことはないのだが、各宗教の指導者たちが一堂に会し
て相互理解、融和を図ることが今何より大切だと考えるのである。
Tadashi HAYASE
2003/12/27
ホームページへ