2001年 今週の意見 12月

今週の意見(248):

 「風が吹けば桶屋が儲かる」ってのがあるが、「テロが起こればブランド品が売れ
る」とは気がつきませんでした。

 9月11日のテロ事件以降海外旅行が減った。それはわかるが、その反動で日本
ではブランド品の売れ行きが伸びたという新聞報道があった。世界的にはブランド
品の売上なども大幅に減っているのにである。

 そのことで改めて気がついたこと。なんのかんの言ってもそれだけ日本人はカネ
を持っているということなんです。 

 先週中堅の証券会社に勤めている友人と電話で話をした。彼は株価低迷、株式市
場低迷を嘆いていた。「デフレ・スパイラルでどうしようもない」と言っていた。
「この状況をどう思う」って言うから「要するに発想が貧しいんだね」って言って
やった。彼はその意味がよくわかっていなかったらしい。

 日本での消費不況は深刻だが、消費者はカネは持っているのである。(まあ、あ
るところにはだけど)問題はそれを何に使うかだ。これまでは海外旅行がその一つ
だった。それがダメになったからブランド品を買う? グッチーだか、エルメスだ
か、なんだか知らんが、そんなもの買って何がうれしいの?(いや、女性はうれし
いらしいよ。)

 いや、ブランド品を買うことが悪いとは言わない。が、「どうしてもっと他にい
ろいろ欲しいもの、やって見たいものないの? 」と言いたいわけ。ニューヨーク
で感謝祭のパレードを見に来ていた観衆がインタービューに答えている。「こんな
時だからこそ、見に来たのですよ。」

 それに比べて、我々日本人は要するに発想が貧しいんじゃないの。夢がないんだ。
画一的なライフスタイル、価値観から一歩も出ていないんだ。そう言いたかったの
だが、証券会社の友人にはその意味が伝わらなかったようだ。

2001/12/1
Tadashi HAYASE
 今週の意見(249):

流行語大賞

 「現代用語の基礎知識」出している自由国民社が主催する本年度流行語大賞トッ
プテンが発表された。世界の動き、日本の動きを知る上で、毎年どんなことばが
流行ったか見ているとおもしろい。

 今年ほど流行語が豊富であった年はないのではないか。それだけ世の中大変化の
過渡期である、という意味と、それぞれの分野で個性派が増えてきたという証拠だ
とすれば、これは今後の日本社会の進歩のためにはいいことだ、と考えるべきなの
だろう。

 小泉首相が首相に選ばれて以来発してきたさまざまなことば、「聖域なき改革、
米百表、骨太の改革」などなどが選ばれた。これまでの首相と違って、自分のこと
ばでその信念を語り、方針を述べたものであり、そのこと自体は画期的なことだっ
たし、すばらしいことだった。

 ご本人自身がわざわざ授賞式に出かけたことことなどご愛嬌ということだろうが、
問題はそれを、単なる「流行語」ファション、で終らせててはいけないということだ。
今後本当にどれだけそれを実践するか、実現できるかが問題なのである。

 例えば、「聖域なき構造改革」がある。その代表的存在として特殊法人の改革が
あげられ、大成果があったような雰囲気であるが、果たしてそうなのか。それに
本当の聖域とは、日本株式会社の総本山である、各省庁本体こそ、その聖域の最たる
ものでないのか。外相自ら、「伏魔殿」と呼ん、外務省をはじめ不正、不祥事が続発
する各省庁本体の構造改革こそがその本番であることを忘れてもらっては困る。

 政治家として発したことばを流行語で終らせてはいけない。その理念が本当に政治
の中で実現されることを国民は監視していくべきである。

2001/12/8
Tadashi HAYASE
今週の意見(250):

老齢化したその発想

 現在私は東京の郊外の人口6万ばかりの小さい市に住んでいる。30年ばかり前
東京都住宅供給公社の開発の住宅地に70坪弱のの小さい土地を買い、家を建てて、
住んできたのだが、10年前から勤務先の関係でそこを離れていたた。そして今年
の4月こちらに帰ってきて、再び住み始めた。

 そこはかってより、住民全体の老齢化が進んだということもあるのだろう。以前
よりより静かな町になったようだ。夜になると人や車の横行もすくなくなり、ほん
とうに静かである。妻と私はその静けさに大変満足している。

 その住宅地には500戸ばかりの住宅があり、共同の自治会がある。住民が共同
で利用できる自治会館がある。結構広い庭があり、20畳近い和室や、10畳ほど
の洋間があり、台所施設などもあって、さまざまなクラブや、趣味の会などに利用
することができる。なかなか恵まれた環境である。

 先月であったか、その自治会の会長名で、アンケート調査がきた。内容は、今自
治会には数千万円の貯金があり、その使い方をめぐっての住民の意見の調査であつ
た。どうしてそんな多額の貯金ができたかというと、その主な理由は、数年前住宅
地で不要になった汚水処理施設の土地売却によるものだという。別に住民からの会
費を貯めた結果でもなんでもない。

 アンケート結果はおそらく真っ二つに分かれている。以前からそうらしい。それ
を積極的に活用して住民の福利厚生、趣味やクラブ活動に役立てるための建物の改
修、施設の拡充などにあてるべきだという意見と、その本意はわからないのだが、
とにかくその貯蓄はそのままおいておけという意見である。

 私自身は当然それは積極的に活用すべきだという意見をアンケート調査で答えた。
その中身、手段方法はいろいろあろうが、例えば、IT設備関係を一式備えて、イ
ンターネットの常時接続、閲覧ができ、パソコンが利用できるような設備一式を備
えて、高齢者の住民がそれを利用できる、そういうものふれることができるように
したらどうかという意見を書いたわけだ。別にIT関係に限らず、熟年者が楽しん
だり、学んだりするためには他にも備えたらいい設備はいくらでもある。

 が、とにかくなにもするな、カネを使うことなく、そのまま持っておけという意
見がまだ主力であると聞いて、驚くとともに、がっかりしたわけだ。カネをそのま
ま持っていて一体何がどうなるのだということである。

 おおげさにいうと、どうもそうした風潮、発想の乏しさ、考え方がまさに今の日
本経済の停滞を象徴しているようである。1400兆円といわれる国民の貯蓄を持
っているのが実は高年齢層なのである。その人たちがそれを有効に活用しないでた
だ貯蓄しておくというマインドと同じなのである。

 もっとも個人としてのそのマインドはわからないではない。国医療や年金制度な
ど将来なにが起こるかわからない中で、それに備えるということは必要かもしれな
いからだ。それは政治の責任である。が、それがどうしてそうした公的な余裕資金
にまでその考えが及ぶのか意味が全くわからないのである。

 何も飲み食いに使おうというのではない。住民の共通の福祉や、趣味や教育のた
めにできることを何かやろうということなのである。高齢化社会の一つのモデルケ
ースともなろう。そうした発想で地域社会の活性化をやってみようという位の考え
がどうしてないのか。

 その夢のなさ、発想の乏しさ、消極性。これをどう打破するのか。これはこの自
治会のことだけでなく日本社会全体の問題なのだろう。政治が主導すべき問題でも
あるが、住民、市民、国民がもっと考えなければならぬ問題でもある。

2001/12/15
Tadashi HAYASE
今週の意見(251):

特殊法人改革

 特殊法人改革の最後の焦点であった政府系金融機関の統廃合は結論を先送りとい
うことで決着した。新聞は「小泉改革腰砕け」などと報じているが、当初の小泉首
相の大上段に振りかぶった特殊法人廃止か、民営化かという大号令も吹き飛んでし
まったわけだ。

 小泉首相は「絶対反対と言っていたのが、とにかく見直すということになったの
だから大前進」などととぼけたことを言っているが、当初の国民への約束からする
と大後退なのである。小泉改革の一番の目玉がこれで消えてしまった。国民はこれ
でもまだ、小泉首相にあんな高い支持率を与えるのだろうか。

 ことの是非は横におくとして、与党自民党の大勢が、特殊法人改革に基本的に反
対なのは当然なのである。それを無視して、中央突破をするなどと威勢のいいこと
を言っていたがのだが、結局は党の大勢意見に従わざるをえなくなった。当たり前
だろう。

 さあ、これも当初の公約的発言だが、自民党をぶこわしても改革を実行するのか
どうかだ。しかしそれもできそうにない。やはり自民党の中にいては改革などでき
るわけがないと最初から言っていた小沢自由党党首のいう通りになった。

 後は国民がこの公約違反にどう反応するかなのだが、どうもそれにも直ぐに期待
できそうにない。かくして、また日本の改革は遅々として進まないことになってし
まった。

2001/12/22
Tadashi HAYASE
今週の意見(252):

不審船

 今回の事件の対応について、海上保安庁のホームページに、それを支持する意見
が9割と圧倒的に多かった。当然の話だろう。この対応についてさすが平和ぼけの
日本でも、保安庁のとった行動に批判のの声は殆どない。

 それどころか、その時、一体自衛隊は何をしていたか、どのように対応したのか
さまざまな批判があり、また今後そうした緊急時での出動態勢などが問題になった
ことも当然の話である。
 不審船とはまさにうまい表現で、相手が何者かは明白であるが、一体何の目的で あんなことをするのかという動機が全く不審なのである。しかも銃撃戦の後自爆し てしまったというところがわけがわからない。  目的はこの国に対する一種の嫌がらせとも見えるが、そんなことをして一体何の 得があるのか、ということだ。国際社会からだって非難を受けることがあっても、 そんなことが正当化されるはずがないのである。  当該国の赤十字が日本人の行方不明者の捜査打ち切りとか、朝銀不正事件摘発な ど今回の事件に関連すると思われる事象があった。それが今回の事件とどう関連す るのかしないのかはわからない。が、いずれにせよ、まともな国家の行うべき行動 でないことは明らかである。まさに「ならず者」の行動である。  こんなことで、我が国を不安に陥れようとか、かく乱ししょうとか、出方をうか がおうなどという動機があったのかどうかこれもよくはわからないのだが、が、そ れでなくてもそうしたことについて安全意識がややもすれば乏しいこの国の国民の 意識を改めて改革するきっかけを作ったのだとすれば、それはむしろ望まし結果と なったのは皮肉なことではあった。 2001/12/29 Tadashi HAYASE
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