今週の意見 −8月


今週の意見(26):

手を洗おう

 0−157が猛威をふるっている。大阪の堺市でO−157の感染者が6,000人
も出ていた。そしてついに小学生の女の子が一人死亡した。全国で感染者は8、000
人、死亡者は7人を数えている。                     

 堺市で6,000人もの患者が出たとの話、私はさまざまな意味で関心を持ってみて
いる。堺市は私の出身地。テレビでニュースの出てくる市民病院には私も入院した
ことがあるからだ。市の重要な公共施設なのに、立派な近代的ビルの市役所に比べ
設備の老朽化が印象にある。最近ようやく新しく建て直したようだ。どうして堺に
大量発生したのかその原因はまだよくわからないが学校給食がその感染源の中心だ
とか、またはプールが感染源だとか、食材だとかいろいろ言われている。さまざま
な複合的ルートを通じてひろがった事には違いない。             

 こうした伝染病が今や伝染病が殆どなくなった日本のような国に突如蔓延しだし
たことは象徴的である。日本と言う国はどこへ行っても社会環境としてはそんなに
不衛生でないように思える。学校の給食設備にしたってそうだし、学校のプールだ
って水質検査等定期的に行っている。が、しかし、法定伝染病など、殆どなくなっ
て、国民の衛生観念がいま一つルーズになってきたことは間違いない。     

 この事件が起こって関係当局者が指導しているのは極めて当たり前のことばかり
である。例えば食事の前には手をよく洗うこと。できれば薬用石鹸などで。食器類
やまな板はもよく洗浄したり殺菌したりすること。生もの特に肉類を食べないこと
などなど。                                

 子供のころ手を洗うことなど親からやかましく言われたものである。ところが最
近はその辺あまりやかましく言わなくなったような気がする。日本人は特に生もの
をたくさん食事に取り入れる。昔からの文化で魚類はいいとして、最近はグルメブ
ームで牛肉や、鶏肉まで生または半生で食べる人が増えた。あまり感心したことで
はない。今回のO−157の感染も生の牛肉ではないかと言われている。グルメ志
向の行き過ぎに注意したい。                        

 病気が発生してしまったらどうするか。どんな抗生物質を用いるのか、どんな治
療法をほどこすのかさまざま論じられている。が、なにしろ一番大切なことは事前
の予防である。今更当たり前のことだが、手を丁寧に洗うとか、食器類は清潔にす
るとか、食べ物に注意するとか、やはりそうした基本的な衛生習慣が結局一番大切
なことである。そうした自衛策をまず各人が講じることがなによりも大切なわけだ。
医療行政の不備がいろいろ論じられている。それも問題だが、まず今一度基本的な
衛生管理教育と常日頃の衛生管理の実施が何よりも大切なのであろう。     

 7月31日政府はO-157による大腸菌感染症を法定伝染病に指定した。  

1996/8/3                                 
Tadashi HAYASE
                             
今週の意見(27)

原発住民投票の意味

 原子力発電所建設の是非をめぐっての新潟県巻町で住民投票が行われた。そし
て住民の意志としては建設に反対という結果が出た。問題はそれについての町長
の態度。町長は記者会見で、「これで住民の意志が決まった。私としてはもう用
地を電力会社に売ることはない・・・。これで結論が出て、せいせいした。」

 いかにも民主的な態度に見えるが、しかし私に言わせればそれは無責任。逆に
建設賛成派が投票で勝ったとすれば町長はどう言うのだろう。同じような調子で
言うのだろうか。「これで住民の意志ははっきりした。私は原発建設には反対だ
が、住民の意志がそうならしかたがない。電力会社と土地売買の話を進める。」
と。原発建設反対をかかげて町長になったのなら、それは信任投票だ。信任され
なかったのならただちに辞任だ。                     
         
 行政の責任者たるもの、まず町のため、日本国家のためどうするか、どうすべ
きか、自分の意見をもっと明確に持つべきだ。基本的に反対ということだが、そ
れならそれで年始めの町長選挙で、明確にそれを打ち出すべきだ。「私が当選し
たら原発建設はしない」と明言すればいいのである。その上で町長選挙に臨み、
信任を受けるだけでいい。それをなんら法的強制力のない住民投票などという方
法をとり、これが民主的やり方だなんて思ったら大違いではないか。     

 巻町の住民投票の結果は当然今後の国のエネルギー政策に重大な影響を与える。
仮に巻町のような住民投票があっちこっちで行われ、その結果原発建設計画につ
いて同じ様に住民の反対意志が表明され、計画が挫折していくとすれば問題は深
刻である。いや、それで長期的なエネルギー不足問題に解決がついていくのなら
ばいいが、そうでないからこそ、建設計画があるはずなのだ。原発、原発建設に
関して十分なる情報公開やPRを怠ってきた政府当局や電力会社の責任は大きい。
が、この際改めて原発の必要性について、住民、国民の間で十分なる理解と、コ
ンセンサスの形成が極めて重要であると思われる。             

 巻町の町民がそうだとはいわないが、真夏発電所の発電能力がパンクする位ク
ーラを使い、その一方で原発反対を言うその感覚はまことにおかしいのである。


1996/8/24                                 
Tadashi HAYASE  

今週の意見(28):

喫煙天国日本

 クリントン政権は、たばこは有害な薬物であるという認定をすることになっ
た。大統領選挙を控えて、禁煙運動に対するアッピールであることは間違いな
いが、それにしても日本などよりはるかに喫煙に対する規制の強いアメリカで
喫煙者に対するさらなる決定的な追い打ち的措置であることには違いない。こ
れでアメリカでは喫煙者はますます肩身の狭い思いをしなければならないわけ
だ。                                 

 日本でも最近少しづつ、いわゆる分煙は進みつつある。鉄道や公共の場所で
の禁煙の措置は徐々に増えつつある。しかし、アメリカやアジアの国でもシン
ガポールのような国に比べると、いろいろな意味でまだまだ喫煙天国だといえ
る状況ではないだろうか。会社の事務所でも、喫煙に関してなんらかの制限を
設けている所はむしろまだ少ない状況である。時間的な制限を設けたり、喫煙
場所を指定したり、会議での喫煙を禁止したりすることはあっても、とにかく
全面禁止と言ったところは殆どない。レストランでもわざわざ禁煙席を設けて
いるところがあるが、そこが喫煙席にすぐに近いところでは殆ど意味がないこ
とが多い。鉄道の切符を買う場合でもはっきり指定しないと、まず通常の喫煙
席の切符を買わされることになる。                   

 日本ではその規制がまだまだ弱い分、喫煙者のマナーが悪い。多分世界中で
も最も悪いうちに入るかもしれない。喫煙が禁止されている場所で平気で吸っ
たり、道路で歩きながら吸い、吸い殻をポイと捨てたりする。一番びっくりす
るのは走っている自動車から吸い殻をポイポイ捨てることだ。「地球を灰皿と
間違えているのか」と言いたくなるようなマナーの悪さである。      

 自分の健康がどうなろうと、好きなものだし、自分の責任でやることをとや
かく言うなと言うのが喫煙者の論理である。それはそれでよい。問題は彼らが
それがいかに非喫煙者にいやがられているかを一向に理解していないことだ。

 立派なビジネスマン、紳士がこと喫煙になると、まるでそれがいかに他人の
迷惑になっているか、考えもしないで、すぱすぱと喫煙をするのはどうも理解
しがたい光景である。そう、それは自分の責任でやることだからほっといてく
れという言い分はいいとしよう。問題はそれが事実として実質上たばこを吸わ
ない人の健康にまで悪い影響を及ぼしているということ、、それになにより同
席している非喫煙者にいかに不愉快な思いをさせているかという認識をどうし
て持てないのだろうか。                        

1996/8/31                               
Tadashi HAYASE

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