2008年 今週の意見 8月
今週の意見(589):
最後の自民党内閣
優柔不断の福田首相が自民党役員、内閣改造に踏み切った。その一番の目玉は幹事
長に国民的人気の高い麻生太郎氏をもってきたことだろう。これで、この改造が強
く、来るべき衆議院選挙対策であることは、3日の朝日新聞のトップ見出し、「選
挙シフト鮮明」のそれを見るまでもなく明白だ。
これで福田内閣の手による解散総選挙という道筋がより鮮明になったと、野党民主
党などは歓迎しているいるようだ。自民党が、福田首相を降ろし、人気の高い麻生
氏を新総裁に選んで選挙に入る方が選挙が戦いにくいことははっきりしている。
今回の人事の特色は徹底的に党内に不満が爆発しないようにバランスをとったこと
だろう。目玉の麻生氏はもちろんだが、前幹事長の伊吹氏を財務大臣、その他前全
自民党役員谷垣、二階氏などを閣僚にとりこんだ。改革路線などはもうどこかに吹
き飛んだのだが、その印象をもたせぬため、経済財政大臣に、財政再建派の与謝野
氏をとりこんでいる。そういう意味では、実に見事なものだ。
町村官房長官はこの改造が選挙対策でなく、国民のための政策課題実現のためのも
のだと強調していたが、それはむなしく聞こえる。公明党からも一人入閣している
が、公明党はすでにどうやって自公体制から抜け出るか考えているようなふしがあ
る。一番の政権基盤である自公体制が崩壊しつつあるのだ。
それになにより福田首相が過小評価しているのは、参院と衆院のねじれ現象である。
6月には、参院で「問責決議」をされているのだ。参院では、すでに福田首相の存
在そのものを認めませんよといわれているのに、そんな中どうやって重要政策課題
を実現していくのかだ。これまでは重要法案は衆議院で強行採決を可決してきたが
、もう公明党はそれに乗らぬ可能性が高い。
そうした状況を見ても、もはやこの内閣自体完全な死体なのだ。新内閣はとりあえ
ず、ご祝儀である程度の支持率を回復するであろうが、その先の国会運営はもうど
うしようもない状況であるといえる。
いつも書くことだが、こうしたごまかし運営を続ける福田政権に世論、マスコミが
どうしてもっと厳しい目を向けないのかである。総選挙が行われてからもう二期の
安倍内閣、二期の福田内閣が政権を担当している。その間一度も選挙による民意を
問うていないのだ。総選挙を一日も早く実現することが、厳しさをます国民生活に
どう対処するか、そのための政治課題をどう実現していくか、そのための政治の最
優先事項であることは明白である。
2008/8/2
早勢 直
今週の意見(590)
6つ目の安心?
これが国会開催中ならまた大騒ぎになったろう。が、政府与党にとって幸いなこと
に国会は閉会中、しかも昨日8日からオリンピック開催というタイミングだ。オリ
ンピック自体のニュースに隠れて、マスコミもこの問題をほとんど取り上げていな
い。
今のところ中国の主要紙は、国内で発生したという冷凍ギョーザの中毒事件につい
ては一切報じていない。中国外務省は6日、日本メディアの取材に事件を認め、
「全力で捜査している」と答えたが、北京市当局が「五輪期間中の食品安全は万全
だ」と断言する中、中国側には事件を表に出せない事情がある。もしこれが世界の
マスコミに大きく報道されるようなことになると開催中のオリンピックに大きな影
響を受けることは必至である。
一体なんということであろうか。中国はこの事件が報道されたらオリンピックに悪
影響があると考え、沈黙を続けた。それ自体おかしいのだが、そのことを日本に対
し、黙っていてくれと、要請したのだ。問題はそれを聞いた福田総理や外務大臣が
中国から、そう言われてその事実をオリンピック開催直前まで黙っていたことだ。
外務大臣高村などは、中国がそれを教えてくれたことを評価するとまで述べている。
中国は、そういう秘密主義の国なのだ。日本はどうしてそんな民主主義の大原則に
反する秘密主義に付き合わなければならないのか。昨年末にこの事件が起こって以
来、国民の中国産品へ安全について消費者の信頼が揺らいだ。中国側は毒物は中国
以外のところで混入した、日本で起こった可能性まで示唆したのだ。が、そうでな
かった。さすがその事実は隠すわけにいかない。が、国内では未だ一切その事実を
明らかにしていない。一体なんということなのか。
福田首相は第二次福田内閣発足に当たって、この内閣は国民生活に安心を与えると
言い、5つの安心について述べた。いや、今後その5つの中にもう一つ6つ目の「
安心」加えてもらったらいい。
6つ目とは「お隣の国の秘密は律儀に守ること」だ。それによって、それによって
要らぬ不安を国民に与えることを避けることができるというものだ。こんな悪い冗
談はやめてもらいたい。
こんな重大な報告を公表しない理由などなにもない。それが捜査のために影響する
ということを言ってるのならとんでもない話だ。中国は要するにオリンピックに悪
影響があるから発表を先延ばししただけのことである。
。オリンピックと国民の食の安全のどちらか大切か。いや、福田首相や高村外務大
臣は国民の安全、安心よりも中国のメンツを立てることのほうが大切と考えたに違
いないのだ。
私はその一部を見たに過ぎないが、昨夜のオリンピック開会式は実に壮大なものだ
った。中国という国の存在の大きさを世界に見せつけた。世界中から多数の首脳が
出席した。その中に福田首相の姿もあった。福田首相は胡錦濤国家主席とこの問題
を話をする筈だとNHKのニュースで軽く報じていた。
こんな話題はマスコミをあげての報道合戦の中では、取るに足らない問題なのなの
か。どうしてもっと問題が重大な事件として報道されないのか。私は中国に対する
不信感、福田内閣に対する不信感、そしてマスコミへの不信感をぬぐうことができ
ない。
2008/8/9
早勢 直
今週の意見(591):
女子ソフト金メダルの感動
20日夜女子ソフトの決勝戦、最初TV中継を見ていた。が、アメリカ女子のパワ
ーは圧倒的先の戦いではコールドゲーム負けしている相手だ。しかもエース上野は
前日二つのゲームで300球も投げ、疲労困憊だ。どう見ても勝てそうもない。
いや、銀メタルで十分、立派なものではないか・・・。そんな気持ちでしばらく見
ているうちに、その昨日の疲れもあってそのまま眠ってしまった。私の睡眠パター
ンはそんなものだし、ほんとあれだけよくやったチームが負けるのを見るにしのび
ないという気持ちもあったにちがい。
そして21日早朝に起き出して、いつものようにネットニュースをチェックしてい
て一番に飛びこんできたのがこのうれしいニュース。思わず手を叩いてしまった。
すごい!すばらしい! あくる日、日本中はその興奮に浸っていた。
北島選手の二つの金メタルはもちろんすばらしいが、しかしこの団体チームで勝ち
取った勝利の意味は極めて大きい。もうオリンピックも明日で終わりだ。これで日
本チーム全体が胸をはって帰れるというものだろう。
この勝利に関して、私が気に入ったのは、負けたアメリカの監督の言だ。丸々引用
に値する。「日本には脱帽する。祝福したい。ベストなプレーをしたが、今夜は日
本の方が上だった。細かいプレーは重要で、それを積み重ねることができなかった。
負けることもある。それがスポーツだ。」
そうなのだ。いや、それがスポーツというより、人間がやるあらゆることについて
の真理なのではないか。何事にも絶対ということはありえない。問題はよりいいも
のをめざしていつでもベストをつくすことが大切なのだ。それで勝利、成功をおさ
め、美酒を味わうこともあるし、敗戦、失敗、苦汁を飲むこともある。このオリン
ピックでもそうした勝ち負けの場面を数多くみてきたが、それはなにもオリンピッ
クに限ったことでない。
勝者にはすなおに祝福を送りたいが、もっと大切なことは敗者にいたわりの言葉を
かけ、慰めてあげる心をいつでも持ちたいものである。
正直オリンピック、オリンピックと騒ぐこと自体に私は少なからぬ抵抗を覚えてい
たのだ。そしてこの日本女子が銀で最後を飾ったことに祝意を書き、オリンピック
のことはそれでおしまいだと私の中では思っていた。
それが金であって悪いわけがない。彼らの日頃の死にもの狂いの努力が報われたの
だ。それ以上のことがあろうか。ただもう一歩のところで目標に届かなかった選手
チームにも慰めと、ご苦労様の言葉を皆でかけてあげることにしようではないか。
次のロンドンオリンピックではソフトボールは行われない。日米豪など結束してそ
の後の五輪でのソフトボール復活を働きかけるべきだ。
2008/8/23
早勢 直
今週の意見(592):
二つの民主党
アメリカのデンバーでの民主党大会は、オバマ候補を党大統領候補として指名し、
オバマ氏の指名受諾演説をして終了した。8万人もの党員を一同に集めての党大会
自体が、すごいものだと思う。ここまでくるまでの長い道のり、オバマ氏とクリン
トン氏両陣営の死物狂いの戦いがやっと、しかも見事に終わったのだ。
あれだけ激しい選挙戦の中で、両陣営に亀裂が生じるのは当たり前のことだ。事実
クリントン陣営の相当のグループの人が、本番の大統領選ではオバマ氏でなく、共
和党にマケイン氏に投票するとしていた。そういう状況の中で、見事だったのはク
リントン氏の言動、氏は党大会では一貫してオバマ氏を党の代表の大統領候補とし
てこれを支持し、立てたのだ。クリントン氏とて、選挙中はオバマ氏の個人の攻撃
も相当なものだった。が、敗者となってからは、一切それを口にしなくなった。い
や、それは見事なものであり、そうすることが、民主主義国の政治家としてのあり
方なのだ。それが分裂状況の修復に役立っていることも言うまでもない。
今回に限らず、私はアメリカの大統領選挙、それぞれ二大政党の代表の選出、そし
て本選挙の過程を何度も見てきた。激しい論戦、場合によっては中傷誹謗を含めた
個人攻撃もあるが、一旦勝ち負けが決まると、負けた方は負けを認め、勝者に祝福
を送る。いや、人間は感情の動物、その心の底は別にして、戦いは必ずそういう形
で収束する。いや、それが民主主義のあり方だろうといつも感心して見て来たのだ
った。
名は同じ民主党だが、こちらは日本の代表選び。日本の民主党の代表は9月21日
に決まるが、こちらは小沢氏が無投票で選出されることが確実になっている。こち
らの方は激しい選挙戦を経てでなく、そもそも選挙をすべきか、するべきでないか
という話であった。選挙を通じてマニフェスト論争を国民の前に展開することが必
要だと訴えた野田氏であったが、必要な20人の推薦人も集められなかった。これ
を非民主的なやり方だと自民党の麻生氏や多くのマスコミが批判していた。いや、
たしかにその面はある。私も基本的には選挙はあった方がよかったと思う。が、結
果的には日本では、それが日本的やり方で、党の結束のため、近い将来予測される
総選挙で党が勝利するためにはそれでいい、その方がよかったとも考える。
それは党の役員がそのように仕向けたとか、党のやり方だというより、政治家自身
を含めた日本人の有権者の民主主義というものについての考え方、ルールについて
まだまだ未成熟という現実を踏まえたことである。この日本ではあのアメリカの民
主党のような予備選挙をやったら、党は完全に分裂するに違いない。選挙民はもち
ろん、マスコミ自体が党内で徹底的な議論をしたり、異論がさまざまな形で噴出す
るとをそれを、民主党はバラバラだという言い方で批判するのだ。これまでもそう
であったし、これからもそうだろう。その選挙民はともかく、日本のマスコミなど
まだそんなレベルなのだ。
それがまさに日米の民主主義の進度、進化の差であると言っていい。今回日本の民
主党の代表選出方法だって別に非民主的でもなんでもない。オープンな党の規約が
あって、オープンな形で選出過程が進行してきたことは間違いないのであって、選
挙があったかなかったかなどむしろ形式的なことに過ぎない。
個人的には私は日本の民主党でも代表選びのために選挙が行われるべきだと思って
いたが、今は日本の民主主義をより進化発展させるためにも、総選挙で民主党が勝
利し、政権交代が実現することこそがなにより必要だと考えている。日本は戦後6
0年、選挙による本格的な政権交代がないという稀有な国である。
政権交代が行われ、日本にも二大政党政治が根付くことこそが、日本の民主主義発
展のためになにより必要な条件であると考えるのである。民主党の選出方法など小
さい問題にすぎない。
2008/8/30
早勢 直
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