2007年 今週の意見 8月
今週の意見(537):
省電タイプの電化製品に交換
日本電球工業会では今家庭で沢山使われている白熱電球を、電球型蛍光灯や蛍光灯
そのものに交換するよう「省エネ電球買い替えキャンペーン」を始めた。これは大
変いい取り組みだと思う。白熱電球を蛍光灯タイプに換えるだけで電気代5分の1
になるという。それを日本の全家庭で行うだけで大変な電気代の節約となるととも
に全使用電気量の節約、ひいてはそれが今問題のCO2削減につながる。
このことはなにも電球に限らない。電化製品というと最近冷蔵庫、エアコン、テレ
ビほか多くの電化製品が省エネタイプとなっている。家庭内で使われる電化製品を
そうしたもののに換えることで電気代が大きく節約できるのである。
冷蔵庫にしても、エアコンにしても日本の電化製品は品質がよくて、10年も20
年も持つ。だからなかなか買い換える必要性を感じない。長年使い慣れ、しかもま
だ十分使えるものをなかなか買い換えることはない。新しいものを買うにはそれな
りのお金もいることだからなおさらのことである。
しかし、これは別に電機メーカの肩を持つわけでないが、仮に家庭内の電化製品を
省電タイプの電化製品に換えるだけで、国全体として大きな省電、省エネ、ひいて
はCO2の削減に役立つはずだ。これは一つ国策としてすすめるべきことではない
かとも考えるのである。
折りしも新潟中越地震で、東電の柏崎原子力発電の問題が起こってきた。柏崎の原
発がストップしてこの夏深刻な電力不足となる。東電は節電を呼びかけているが、
ただ呼びかけだけでなくさまざまな具体的な節電策を消費者に教えてあげるべきだ。
そしてその具体策の一つが家庭内の電化製品をこの際思い切って節電タイプのもの
に交換するという提案でないか。
そういう観点にたって我が家でも二つの部屋の照明器具がこれまで白熱電球タイプ
であったものを蛍光灯に換える。エアコンはまだまだ使えるし、なかなか換えがた
いが、冷蔵庫は毎日使うものであるし、買い換えてもいいと思っているところだ。
テレビは例のデジタル化のことがあって、今のCRTテレビをいずれ近いうちに薄
型液晶タイプに換えざるをえない。
白熱電球を電球型蛍光灯に換えることなど即できるが、高額の電化製品への交換な
どそう簡単にできるものでない。そうした買い替えを促進するためには、国として
節電タイプの電化製品の消費税を一部免除するような策など講じてもいいのではな
いかと考える。
CO2の削減が急務となっている今、電化製品に限らず、あらゆる消費財、耐久財
について内容に応じてそうした環境税的なものの導入を検討すべき時期が来ている
と考える。
2007/8/4
今週の意見(538):
日米同盟関係のありかた
10日アメリカのシーフアー大使が野党の民主党の小沢氏を訪ね、対テロ活動で協
力を要請した。その会談はメデイアに公開され、小沢氏はテロ対策特措置法には反
対を表明し、その根拠として、アフガン戦争はアメリカが勝手に始めた戦争で国連
の決議に基づいていない。そのような戦争に日本が加担することはできない、と述
べたのだった。
テロ特措法については、民主党内にも、与党からの譲歩を引きだすことで賛成に回
ってもいいし、それは日米の同盟関係の大切さを勘案しても、テロ特措法の延長に
賛成すべきだという意見が、前の代表前原氏などを中心にある。賛成派の議員は、
小沢氏はこれをさらに与党を追い詰めるのための政争の具として利用するという政
治的な判断に基づて行っているのだって、外交問題をそうした政争の道具に使うこ
とは国民から批判を受けることになるだろうという意見が多い。
それは一見正論のように見えるが、私は小沢氏がこの段階で反対を表明したのは当
然のことだと思う。小沢氏はその根拠として民主党はこの法律に反対してきた、そ
の根拠理由に政府与党は未だなんら応えていないではないかと言いたいのだろう。
まず第一におかしな話であるが、まだ政府与党、責任者の安倍首相からなんの打診
も要請もないのにどうしていきなり外国の大使からそんな話が出てくるのかという
ことだ。それは一種の内政干渉的な行為だといえなくもない。まだ国内の与野党間
で正式に交渉する前からどうして外国の大使がいきなり、野党の党首にそのような
要求をするのか、ということだ。
安倍内閣の態度もおかしい。内閣官房長官がまだ何の交渉もしていない段階で、小
沢代表は反対しているが、民主党内では賛成論もあると言ってみたり、小池防衛大
臣がアメリカを訪問して国務長官や副大統領にあって、テロ特措法を政府としては
通したいが。民主党が反対しているからどうなるかみたいなことを言ってみたりし
ている。それを受けてアメリカ本国からもテロ特措法の延長を期待するといったメ
ッセージを送ったりしていることは、明らかに小沢氏に対してプレッシャーをかけ
ているとしか思えない。これは実に失礼なことでありおかしな話ではないか。
この法律をどうしても延長したいのであれば、安倍首相が小沢氏と交渉するという
ことが筋でそれをしないで、それがなく、官房長官がその談話で民主党の内部分裂
を言ってみたり、まさかそんなことはないだろうが。アメリカの大使に交渉させて
みたりするなどというのは実におかしな話であり、民主党に対して失礼な話ではな
いのか。
アメリカとの同盟関係の大切は今更言うまでもない。ただ、そもそもこんな形で政
府が自分達の意向の代弁者としてアメリカの政府高官を使ってそのPRを行うこと
自体が、その同盟関係が対等なものでなく、アメリカへの従属的なものであること
を物語っている。小沢氏は日米同盟は対等なものでなければならないといっている
のはこのことではないだろうか。
アフガン戦争といい、イラク戦争といい、アメリカがテロ対策の大義名分で始めた
戦争が今泥沼化していることはご承知のとおりである。今アメリカでも軍の早期撤
退が次期大統領戦の最大の論争点になっているのだ。アメリカ自体が過去のそうし
たテロ対策そのもののを大きく見直している状況なのである。
テロ特措法の延長かどうか、それをどうするかなどの問題はたいしたことでない。
大切なのはアメリカ外交自体のそうした変化を見据えながら、日本はどういう同盟
関係を作り上げていくのかが大きな外交戦略なのである。
小沢氏はそうした背景を見据えながら、民主党が政権を取った時、どのような外交
を展開するかを考えながら、まずはテロ特措法の延長には断固反対の態度を示して
入るのだと思う。それでいいのではないか。
2007/8/11
早勢 直
今週の意見(539):
命令系統絶対の原則
これは人事をめぐる争いの問題ではない。組織のありかた、しかも自衛隊、軍隊と
いう指揮命令系統が絶対に一本化されていなければならないという、防衛省の組織
のあり方の問題なのだ。
昔若い頃、アメリカの大学のビジネススクールで経営組織論を学んだ。組織の形に
はさまざまなものがあるが、組織の一番の基本的な形はなんと言っても軍隊組織で
ある。
トップが命令を下す。と、それが一瞬にして何段階もの指揮官を通して、それが組
織の下部、末端の兵士まで、正確に伝達される。軍隊という組織では瞬時にそれが
行われなければ、敵からの急襲に対処することができない。命令絶対服従が基本原
理である。組織の意思はそれによって貫かれるのだ。
一旦決まった意思決定は絶対服従が原則であることは別に軍隊組織に限らない。あ
らゆる組織においてそれが守られるからこそ組織の秩序が維持され、組織としての
意思が全うされる。軍隊では特に絶対の原理なのだ。でないと、敵からの攻撃に対
応することができない。
そんなこと、学校で学ぶまでもない、いわば常識である。議論の余地もない。極端
に言えば、命令を受けたものはその内容が正しいか、間違っているかなど検討して
いる暇はないのだ。上官から下された命令は絶対なのである。ましてや組織の司令
官から下された命令に疑問を持ったり、クレームをつけたりすることが許されるわ
けがない。
日本の防衛省ではそれがそうでないことが今回露呈した。そのこと自体が大問題な
のである。なにしろ小池防衛大臣というNo2の意向が無視されたのだ。それ自体
異常なことであるが、問題はそうであったならその上の最高司令官の内閣総理大臣
が直ちに、同じ命令か、ないしはそれに代わる新しい命令を直ちに下さなければな
らないはずである。ところがそのご本人はそれをしないでなんとそれはまだ「決定
したわけでない」という返事をした。官邸でそれを調整せよといったのだ。
以前から安倍総理の危機管理能力のなさが指摘されてきたが、今回の事件こそそれ
が決定的に裏付けされてしまった。
「この瞬間にミサイルが飛んできたら、防衛省はどんな対応をするか」という日経
の社説はそのすべてを語っている。
もちろんこれはミサイルの問題でなく、人事の問題である。だからまあよかった。
しかし問題はそれが防衛省の人事であるはずが、省とは別の官邸関係者がそれを協
議して決めるという仕組みがあるという。これはまた一体どういうことか。
この問題結局17日、小池防衛大臣の人事案でも、守屋事務次官が推薦する人物で
もなく、増田人事教育局長に決まったそうである。官邸主導だということだ。
防衛省内でこんなドタバタ劇ってあっていいものだろうか。今回はたしかにそんな
ことですんだ。が、もしそれがまさにミサイルが日本に向かって飛んできた時に防
衛大臣が下した命令に防衛省事務次官が反対したら一体どうなるのか、である。
安部総司令官はどこでどうかかわってくるのかわからないのだが、その時もまた
まず「省内でよく検討の上ベターな案を持ってこい」とでもいうのだろうか。
2007/8/18
早勢 直
今週の意見(540):
危機管理
最近やたら「危機管理能力」という言葉が出てくる。この間の選挙で自民党が大敗
したのは安部首相に「危機管理能力」が不足していたからだと、自民党が総括した。
いやもっともらしく聞こえるが、どうももう一つピンとこないところがある。
いや、政治とカネの問題であの松岡、赤城大臣をかばってなかなか罷免更迭の決断
ができなかったことがそうだとか、年金記録問題で国民の怒りを十分察知できず、
十分な対応策を打てなかったのがそれだと言いたいらしい。生活格差について国民
が不満を持っているのに、憲法改正問題など持ち出すこと自体が危機管理能力がな
いと言っているらしい。
うがった見方で言うと、それって自民党の党のための危機ということを言っていて
本来国民が対面している危機をどう乗り越えようとしているのか、どう対処しよう
としているのか、その対応能力について語っているのではないような印象を受ける
のだ。
不祥事を起こした閣僚の処分の問題など本来の危機管理という言葉で、なぞらえて
言うこと自体おかしい。それは危機管理などということでなく、そもそもトップと
しての基本的なマネージメント能力の欠如ということでないのか。
国家国民にとっての危機とは、まさに国民の生命財産を危うくする、自然大災害、
外国からの攻撃、侵略などのことを言うはずだ。また、最近もあったが金融不安に
よる株の暴落などもそうだあろう。
危機管理能力というのは組織のトップだけが持っていればいいということでなく、
国家としてその能力が問われるのは、首相、関係閣僚、官僚だけでなく、国民一人
一人の危機に関する意識がどれだけあるのか、ないのかということによる。その点
では日本人に限って言うと、自然災害、地震や水害に関しては、国民の意識も、ま
たその予防、防止、さらに一度事が起こった場合の対応体制その危機管理体制は世
界でも冠たるものがあるようだ。
が、その一方で、他国よりの軍事的攻撃、また今話題のテロ攻撃というという現実
的な危機にたいする危機意識は極めて脆弱なようだ。さらにもっと身近な根本的問
題としては食料自給の問題がある。日本の食料自給率は40%と世界の先進国の中
でも際立って低い。なにかことがあれば、どうなるか、それに危機感を持っている
国民は極めて少ないのではないか。
また日本は世界に冠たる借金国である。国民一人当たりの負債額は想像を絶するも
のがある。それについてどんな危機感を持っているのであろうか。
要するに今改めて危機管理の前にこの「危機」という言葉の内容をお互いよく理解す
る必要性があるのではないか。日本にとって、日本人にとって「危機」とはいったい
何なのか。それに政府はどのように対応しようとしているのか、していないのか、
そういう根本的問題にもっと関心を持とうといいたいのである。
2007/8/25
早勢 直
ホームページへ