2004年 今週の意見 8月


今週の意見



2004年 今週の意見 8月

今週の意見(381):

フォザフラグ

 アテネオリンピックまで後一週間となった。野球チームもプロ野球を継続のまま
各チームより精鋭を派遣し、金メタルをめざしている。長嶋監督の下、フォーザフ
ラグという長嶋監督らしいキャッチフレーズでできたチームである。それはそれで
いいと思っていた。

 長嶋監督が脳梗塞で倒れ、結局アテネに行けないことになったのは、ご本人はも
ちろん、選手たち、野球フアン全体が残念であったことはいうまでもない。私自身
もそうだった。が、これについてちょっとおかしいなと思ったことがある。

 長嶋監督の病状から、監督として参加できないことはづっと以前からわかってい
たはずだ。どうしてその決定をもっと早くしないのか、ということが一つ。2週間
ほど前のキューバとの壮行試合の時ではすでにチームとしてそうした体制をとって
おくべきだった。なにしろ全軍の指揮をとる監督の存在意味は大きい、選手たちの
士気、ならびに全体の重要な作戦にかかわることなのである。監督が変わるのなら
変わるでそうした組織体制をもっと早く明確にすべきであった。

 おかしいことの二つ目は、長嶋監督が行けないにもかかわらず、それはそのまま
にして、中畑コーチが監督代行を務めるという事実である。他の人でもいいが、ど
うして中畑監督ではいけないのか。監督代行という立場で指揮を執るのと監督とい
う立場で指揮を取るのでは、ご本人自身の意識の問題も選手たちのそれも違うはず
だ。どうせなら、中畑監督の下、一致団結した方がいいに決まっている。

 そうしたことの心理的影響は選手たちの言葉に現れている。 選手たちは一様に
「監督のために金メタルを持って帰る」などとコメントしている。うるわしい言葉
のようだが、ちょっとおかしい。ドリームチームは現地でプレーするチーム自身の
ために戦うのであり、長嶋監督が言ったように、日本の国旗のために戦うはずだ。
結果として金メタルを取れれば長嶋監督もうれしいには違いないことはそうだろう。

 長嶋監督やその家族そしてその周辺の人たちはこうしたことを果たしてきちんと
考えたのか、ということである。たいしたことがないような問題だが、それは個人
の問題ではない一つの組織のあり方、公的な組織のあり方の問題なのだ。

 本件はそれについて重要な問題提起がなされたものだと私は考えている。日本の
プロ野球存亡自体が問題になっている今日、それは一つの象徴的出来事かもしれな
い。

2004/8/7
Tadashi HAYASE
今週の意見(382):

憲法9条

 アテネオリンピックの喧騒の中で、人々の関心がそれに奪われてしまい、重大事
件や、大切な問題が看過されるということがある。北朝鮮との国交交渉の問題もそ
うだし、関西電力美浜原発の事件がそうだった。それぞれもっと大きな論議が起こ
っていい問題だが、その事件の重大さのわりには人々の関心がひま一つという感じ
なのである。そしてもっと大ニュースとして報じられ、国民的関心がもっと高まる
と思ったのに、ああそう、程度で終わったものに、アメリカの国務長官の日本の憲
法9条の改訂に関する発言があった。

 国務長官の発言は要するに日本が国連安全保障理事会の常任理事国になるために
は、憲法9条の改訂が必要だという趣旨だった。それは先にアーミーテージ副長官
が、同じ趣旨の発言をしたとか、しないとかでおお騒ぎになったのだが、あれはあ
くまで個人的な見解だとか、なんとかで日米双方がごまかしてしまった。いや、そ
うしたのは日本側だったのだろう。が、今度は国務長官自らの発言、今度はその趣
旨ははっきりしている。これについて日本政府の反応は今一つはっきりしていない。
国会も休会中とて今のとここ与野党間の大きな論議になっていないようだ。それは
おかしい。

 やはりそうなのだ。これがアメリカの本音なのである。アメリカとしては日本が
イラクへ自衛隊を派遣してくれたことや、小泉首相が先のサミットで、日本も多国
籍軍への参加を表明してくれたことなど評価するものの、その参加形態はいずれも
中途半端だといいたいのだろう。真の国際貢献のためには要するに軍隊としての性
格をもっと明確に打ち出してくれ、ということなのだ。自衛隊は派遣するが、戦い
には参加しない、人道的支援に限る、などといちいち注釈をつけられた日には、実
際にはなんの役にもたたないではないか、と言いたいのである。

 私はもっともだと思う。元々あれはアメリカが押し付けた平和憲法、それを今更
改訂せよなどというのは身勝手だ、などと言う方がおかしい。9条の解釈をめぐっ
てはさまざまあるが、いずれにせよ、今のままでは、今後とも起こる国際紛争の中
で、日本が果たすべき役割、軍事行動上の大きな制約事項になることははっきりし
ている。こんな何かことがある度に、憲法論争ばかりやっている国は他に例がない。

 日本の国内世論もどうやら9条を中心とした憲法改正の法に傾きつつあるようだ
が、それにいたるにはまだまだ時間が掛かりそうである。徹底論議は当然である。
が、この問題はもうある程度論じつくされたのではないだろうか。

 もう明確に結論を出す必要があるようだ。国務長官の発言はいつまでの煮えたか
沸いたかわからないような日本の態度に、いずれであれ、もっとそれをはっきりせ
よということなのだろう。国連の常任理事国になりたいのであればだ。

 再度言うが私もそう思う。憲法改正賛成、反対いずれにせよ、日本が安保理の常
任理事国になるべきかどうかも含めてもうその結論を明確に出す時期が来ているの
だと思う。もう2、3年論議をやってなどという悠長さはもう許されないというこ
とだろう。

2004/8/14
Tadashi HAYASE

今週の意見(383):

金メダルの教訓

 4日ほど車で旅行していたのだが、昨日午後帰ってきた。夏休みも終わり近く渋
滞もさしたることはないだろうと甘く見たのが間違いのもと。それも日曜だったか
ら案の上ものすごい渋滞に巻き込まれ、帰着が予定より3時間以上遅れてしまった。
で昨夜はそのまま寝てしまって、アテネのオリンピックもどうなったか全然知らな
かった。

 朝起きて朝刊を見たが、殆ど新しい情報はなかった。が、いつものようにパソコ
ンを立ち上げインターネットを開いたとたん、野口みぐち選手のマラソン金メダル
報があった。写真も見れた。すごい! 何度も快哉を叫んだ。全く関係ないことの
ようだが、旅行のためまだ更新しておらず、気の重い、ホームページの更新も楽し
くできる気分になったのだった。

 それにしても今回のオリンピックで日本のメダル、特に金メダル獲得数のすごさ
はなんということだろう。オリンピックが始まる前、例によってマスコミがあれも
これもとメダル予想を立てる中私自身を含めて国民の多くは「捕らぬ狸の皮算用」
とばかり皮肉に見ていたのだ。が、実際にはそのマスコミの予想を上回っていると
いうことだ。全ての競技が終わるまでにこれまでの記録をはるかにしのぐことはは
っきりしている。

 国民全体がこのことを喜んでいることはいいことに違いない。イラク戦争や北朝
鮮の拉致問題など暗いニュースの続く中、こんな明るいニュースはない。だからそ
のことで国中が明るくなり、明るい気持ちで仕事に迎えるようになり、またなんと
なく不安に満ちた満ちた国家の将来についても希望が持てるようになったとすれば
それは大変いいことには違いない。たかがオリンピックというなかれ。されどオリ
ンピックである。

 問題は、何が、されどオリンピックなのかだ。要するにオリンピックというのは
世界のヒノキ舞台の象徴なのだ。オリンピックはスポーツ競技のヒノキ舞台なのだ
がスポーツの他に科学、学術、芸術などの分野で同じような世界のヒノキ舞台があ
る。科学分野ではノーベル賞、芸術分野では各種国際映画祭や、音楽コンテストな
どがその例だ。

 そうしたあらゆる分野での世界のヒノキ舞台のコンテストで日本人がメダルをめ
ざしてかんばる、また国家や民間企業や、その他団体がそれにさまざまな形で支援
するという形こそ平和国家の一つの具体的なあり方だろうと思うわけだ。国家の果
たすべき役割はそうした各分野での逸材を発見し、その道のプロがこれを育て、そ
れぞれの個人が自らの努力でその可能性を世界レベルに高めていけるようにするた
めの支援体制を各分野で確立していくことなのだろう。

2004/8/21
Tadashi HAYASE
今週の意見(384):

ドーピング

 まだこの記事は新聞にも出ていない。が、Yahooニュースを始めネットの各
種ニュースによればハンガリーのハンマー投げ金メダリストのアヌス選手が、ドー
ピング再検査のための尿検体を期限までに提出せず、IOCによってメダル剥奪の
可能性が高まったとのことだ。これで銀に終わった日本の室伏選手の金メダル獲得
がなりそうで、室伏選手にとっても日本にとっても万々歳かということか、だ。相
手の不正によるものだから当然としても、後味の悪いことおびただしい。

 わからないのは、これまでのオリンピックでも、また今回のオリンピックでもこ
うしたドーピングの事実が多発しているにも関わらす、相変わらずドーピングが後
を絶たないという事実である。検査というルールがあっても、その運用が必ずしも
規則とおり行われていないようなのだ。尿の検査量が不足していたり、ひどい話、
他人の検体とすりかえて提出してもそれがわからなかったりするらしい。それでは
検査の意味をなさないことは当然でそこにつけいって不正が行われるのも当然だ。。

 さらに通常の尿検査では反応が出てこない薬物も開発されているというニュース
もあった。そんなことではそうした薬物不正使用がその根を絶つはずがない。

 このアヌス選手の疑惑についても当初IOCの医学関係総責任者は、「検査は適
性に行われており問題なし」としていた。それがアヌス選手と同じハンガリーの槍
投げ選手が金メダルを取った選手のドーピングが発覚して、疑惑が一気に高まった
のだった。アヌス選手はその選手と同じコーチの指導を受けている。

 そうした事実から見ても、一番の問題はドーピングの科学的検査の限界というこ
とでなく、やはりIOC自体のの検査に対する組織や、規則運用の体制ではないか
と思う。それに関わる委員自体の資質やモラルががなによりも問題なのだ。

 いずれにせよなによりもまず選手達が安心してフェアに競技ができる環境を整え
ることこそIOCの一番の責務のはずである。

2004/8/29
Tadashi HAYASE
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