2004年 今週の意見 4月

今週の意見(364):

国旗と国歌

 東京都は卒業式など式典で定められた国歌斉唱に当たって起立して歌わなかった
教員180名について処分を行なった。マスコミにも大きく報道されたが、朝日新
聞は社説でこの処分を批判していた。国歌を歌わないくらいでなんでこんな大きな
処分など行なうのか、といった趣旨だ。

 こうした強圧的な指導は教員だけでなく、子供にも大きな影響を与えるという趣
旨のこともあった。はっきりとは書いてないが、そうしたことは要するに個人の基
本的人権、政治的信条、宗教的信条の自由に反するものだといいたいのだろう。

 今回の事件に関して一番の問題はそれである。国旗に忠誠を使わせたり国歌を歌
うことを強制したりするのは国民の思想信条の自由を侵すものではないかという基
本的論議がからんでいることはそうだ。私もそうかもしれないと思う。だからその
点についての徹底的な議論がもっとあってしかるべきだと思う。要するにその問題
なのだ。

 その一方でいかなる国にあっても、これから国家を支えていく子供たちに、愛国
心を持たせる、国旗や国歌になじませるというか、自然に愛着を持たせるような教
育自体は行なっており、それは必要ではないかと思うのである。家庭を大切にする
という教育と同レベルにあると私は思う。それがすぐにかっての軍国主義に結びつ
くから反対だとか思想信条の弾圧だからいけないなどという議論になることが私は
おかしいと思う。アメリカなど学校でのそうした教育は徹底している。

 だからアメリカに習えというのではない。子供たちが自分の家族を愛し、大切に
するのと同じように、国を愛し、大切に思い、日本人であることを誇りに思うよう
な教育は是非必要だと思うのである。

 卒業式、入学式などで国旗が飾られた中で、国歌を歌うことなど自然なことであ
り、どうしてそんなことに多くの教員がめくじら立てて反対するのか私にはわから
ない。それが国家の教育方針として決まったことを守るのは当然のことであり、そ
のルールに従うことも当たりまえのえのことだ。それがいやなら、公立の教員にな
どならなければいい。私立の学校ならそれをもっと強制するところもある代わりに
そんなことは一切ない学校もあろう。その選択はまさに自由である。

 生徒自身についてはちょっと違う。なんらかの根本的な家族の政治的信条、特に
宗教的信条があってそれがそうした行為自体を禁止しているような場合がある。そ
うした場合、他の者と和して歌わなくても、その行事自体を邪魔しないようにして
いることが許されるというやり方は諸外国でもあるようだ。そうした参加形式は当
然認めるべきではないか。

 愛国心などいうことばを使うと誤解を生じるようだが、私自身は国旗とか国歌の
存在意義は積極的に認める立場である。子供たちにもその意味を教え、愛着を持つ
ように教育することは基本的には必要なことだと考える。国家としてそれを行なう
ことについても特に違和感はない。ただその一方で個人のさまざまな信条を基本的
に尊重しなければならないということについても当然のことだとは考える。

2004/4/3
Tadashi HAYASE
今週の意見(365):

そもそもの間違い

 おそれていた事態がついに起こった。民間邦人3人がテロ組織グループに人質と
して拘束された。相手が何者かもはっきりしないようだが、もうこうなってくると
何が正しいとか、正しくないとかの問題ではない。相手の卑劣をいかに非難しよう
と国際社会にそれを訴えようと、問題は3人の命をどう守るか、犠牲にしてしまう
かの問題になってきた。

 人質の命救済が自衛隊のイラクからの撤退が条件であれば、そうすべきだ。そも
そも自衛派遣が大間違いであったことは、最初からわかっていたことだ。それ見た
ことか、などと決して言ってはいけないことだが、そもそもことの起こりがそこか
ら始まっている。イラク現地での人質の行動を軽率だという非難もあるようだが人
質事件でなくても、テロ組織は日本国内でのテロを含めてなにかやるだろうことは
十分予想されていたことだ。

 政府は自衛隊はイラクの人道支援のために行っているのであるから撤退する必要
もないし、そのつもりもないとしている。が、そもそもそんな非道なことをやるテ
ロが存在する状況において人道復興も何もあったものではない。犯行声明文にある
ように要するにすべてアメリカ憎しから発している。大義のない戦争を始めたアメ
リカ主導の復興支援への自衛隊派遣は、彼らに言いがかりをつけさせただけだから
アメリカ主導のそれはやめとくべきだというのが当初からの多くの反対派の主張で
あり私自身もずっとそう信じてきた。日本の国論も圧倒的に反対が多かったのにい
つのまにか、既成事実化してしまったことが問題であることも指摘してきた。

 イラク戦争はこれも当初の予想通り、あのべトナムでの戦争と同じ、泥沼化して
きている。もうどうにもこうにもならない状況になったきたようだ。そんな戦争に
巻き込まれれば、アメリカ協力国とみなされた国でこうしたテロことがさらに多発
することも自明の理である。

 政府与党は今自衛隊を撤退することは世界に恥をさらすことになるなどと言って
いる。私はそうは思わない。それはそもそもの間違いを正すことであって、そのど
こが恥であるのか。

 3人の家族の声を聞いてあげるべきだ。彼らが救出されるされないに関係なく、
自衛隊の派遣が継続する限り、さらなる新しい悲劇が起こる可能性が高いことは目
に見えている。

  自衛隊撤退がアメリカとの約束を破ることになるのなら、小泉内閣は総辞職しか
ない。自衛隊撤退を宣言した上で、すべての責任を取って、総辞職すればいい。そ
して後は国会解散をして国民の総意を問えばいい。そうすることしかこの問題に決
着の方法はない。

  小泉首相の言う通りそれは首相個人の責任を問うて済む問題ではない。日本国
国民全体が真剣に考えるべき問題だ。私はそう思う。

2004/4/10
Tadashi HAYASE
今週の意見(366):

天は自ら助くるものを助ける

 3人の日本人人質が開放された。ほんとうによかった。そしてMLでは加藤さん
が「神は自ら助くるものを助く」と書かれた。その通り、まさに至言である。日本政
府がいろいろやったこともあるが、彼らが助かった一番の理由は、彼らが常日頃、
イラクとイラク人のために働いていたという事実が聖職者を動かし犯人グループを
動かした。彼らの常日ごろの行動がまさに彼らを助けた唯一にして最大の理由だっ
たのだ。

 小泉政権はこれでまたその命脈を保った。万が一悪い結果になっていたら、政情
がどう動いたかわからない。政府与党は彼らが断固テロリストの要求をはねつけた
ことがいい結果に結びついたとコメントをしているが、話は全然違うだろう。人質
救済のためには政府与党幹部はむしろいらぬことを言わず、黙っていた方がもっと
解決が早かったことは間違いない。

 それは何も犯人グループの行動ただただ屈せよとか、その行為を是認するもので
決してない。政府与党はもちろん民主党も自衛隊撤退の要求自体について応じられ
ないとしたこと自体、国の政治に責任を持っている立場として当然のことだと思う。

 だからといって、それで小泉政権や与党が自衛隊派遣の是非がこれで決着したこ
とと考えてもらっては困る。民主党を含めた野党が今の形での自衛隊派遣について
反対をしていることを表明し続けることについては、一国民としてこれを支持した
い。

 それと事件が収束した途端大きく出てきたのが「自己責任」論議だ。彼らが警告に
も関わらず危険な場所に出かけた行為を指摘し、政府国家に大きな迷惑をかけた行
為を政府与党、マスコミでも広がった。政府与党の政治家でも救済には20億近く
のカネが掛かったとか、その賠償責任はどうなるのか、といったことを発言するも
のがいる始末だ。イラクの状況下で、政府が民間人が無防備で出かけることに警告
し場合によっては禁止する措置は当然のことだ。自己責任論を出すことも悪いとは
言わぬ。が、それを山登りでの遭難に例えて、賠償責任だ、なんだというのは一体
何事かと言いたい。

 この自己責任論についてアメリカのパウエル国務長官の発言が印象的だった。日
本でその論議が盛んに出ていることに関連して長官は、「私はそうな思わない。危
険をかえりみず、イラクのために働こうとした彼らの行為については、同じく危険
を承知で働いている自衛隊員の行為と共に、日本人は誇りと思うべきだ。」

 私もそう思う。そういう次元の発言をした日本の政治家が一人でもいたのか。

2004/4/17
Tadashi HAYASE
今週の意見(367):

年金制度改革の絶望

 終盤国会を控えて、与党はなんとしても今の年金法案を通そうとして必死である。
6月参議院選挙を控えて最大の争点もなるべき年金制度改革なのだが、給付は減らし
国民に新たな負担を押し付ける現考案など、改善どころか問題先送り以外なにもの
でもない。

 首相の国民年金制度の一元化をめぐっての発言をめぐる混乱、日本歯科医会長の
賄賂汚職事件、社会保険料を社会保険庁職員用のマンション建設費などにあててい
た問題、それに三人の重要閣僚が社会保険料を何年かにわたって未納していた問題
など、ここに来て、現制度についてさまざまな不信感、根本問題が噴出してきた。

 丁度イラク人質事件などがありマスコミや国民の関心がそちらにいってしまった
こともあって、そうした大きな問題が国民の関心を引くこともなく、与党は根本問
題先送りの今の年金法案の国会承認を強行する姿勢だ。野党がこれに審議拒否を含
めて抵抗を示すのは当然の話だと思う。

 若者の年金保険料未払いが増える中、国民の現年金制度に対する不信は根強い。
若者どころか、制度改革を提案する政府内閣の閣僚が保険料を支払っていないとい
う状況下で一体どんな改革が行なわれるというのか。この問題は来るべき参議院選
挙の争点の一つともなるのだろうが、何事も既成事実を認めてしまう国民性からい
うと、このまま問題先送りになってしまうのだろう。

 このままでは年金制度は本当に破綻してしまう。まあ我々が生きている間はなん
とか少々減らされてもなくなることはないだろうと、みな思っているのか。お互い
目先のことしか考えていない。情けない話だ。

2004/4/24
Tadashi HAYASE
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