2002年 今週の意見 4月

今週の意見(266):

基本的経営能力の欠如

>日本の金融界は今、大混乱に陥っているんだ。全く関係のないところでも銀行っ
>て金融機構は関係しているもんだからね。明日はクレジットカードの決済日が多
>いから、また、超大量のデータが放り込まれて混乱するだろうし、みずほ以外の
>銀行だって、みずほから、入金が有ったり、それが取り消されたりを繰り返され
>ているから、資金運用が混乱させられるもんだし、この波及が外為にも大きく影
>響したら、日本発世界大恐慌って引き金にもなるもんだろな。
>もはや、野合みずほの上層部の派閥とか権力闘争とか思惑なんて吹っ飛ぶ。大戦
>勃発もんだな。
>takuboさん

3月危機とかなんとか言われていたが、いやはやこんなところで、金融界が大混乱
するとは考えもしなかった。自己資本比率だ、不良債権だ、とそのことだと思って
いたら、銀行の全く根本的な事務処理問題なんですものね。

 今年の正月明けにテレビを見ていたら、外国人に日本の正月についてアンケート
していた。日本の正月をどう過ごしたか。どう思うか、って。いや、静かでいいと
か、お節料理を楽しんだがとか、いろいろあったが、銀行のATM3日間使えない
のが困った、という声があった。当然だ。それは外国人だけでなく日本人とて同じ。

 今の時代、ATMなんて24時間ずっと稼働しているべきだ。人間がいなくても
引き出しだの、振り込みだのができる。それがまさにATMなのである。それが土
日は休み、特に日曜など動いているATMなんて殆どない。銀行自体がそうしたサ
ービスの必要性を感じていないし、顧客のニーズがわかっていない。サービス精神
が全く足りないのである。ATMなどでそれが十分できることすらわかっていない。
そんな根性だから、あんな基本的なシステムにすら対処できていないのである。そ
れが銀行3行の合併の勢力争いで、システム統合がばらばらで出来なかった言う。
それを聞いてあきれ果てた。

 問題が起こった。さあ、大量のデータを人かい作戦で処理すると聞いて失笑して
しまった。だからいいじゃないかではすまない。そんなもんだから、経営の合理化
が進まない。人件費の削減、間接費の削減などできないのである。そうした銀行に
この間裁判沙汰になった外形標準課税(経常利益でなく粗利益に課税する)するな
どという考えは当然だ。そういう面でシステム化し、経費削減するべき銀行がそれ
をやっていない。以前から人件費がやたら高く、経営努力のなさが指摘されていた
が、こういう根本的問題があったわけだ。今時店舗など持たず、ネットだけで銀行
業務サービスをやる銀行がどんどん出てきている意味がわかっていない。

 なぜこんな銀行に公的資金など投入して助ける必要があるのだ。幸か不幸かこれ
でまた、郵便局の必要性が見直される。郵便局のATMネットワークは全国的だ。
外銀とも提携し、証券会社ともネットを持つようになってきている。全国どこにで
もある。共通して使える。この間、旅に出た時必要があって田舎の局へ振り込みに
行ったら、窓口で、「ATMでやった方が振り込み料安いですよ」とわざわざ窓口
の局員がATMの操作につき合ってくれたのだ。

 小泉首相は今回の件で銀行頭取を叱責したりしていたが、こういうことがよくわ
かっていて、郵便局不要論など言っているのか。(と、郵便局派が反論を始めるこ
とは、目に見えている)

 私もそうだ。いささか感情論も含めて、真の経営努力の足りない銀行などつぶれ
てしまえと言いたいのである。

2002/4/13
Tadashi HAYASE
今週の意見(267):

清く、正しく、美しく

 先週の日曜日の朝、フジテレビの報道2002でノーベル化学賞の野依氏と伊藤
忠商事社長の丹羽氏の対談をやっていた。野依氏については説明の要もないが、丹
羽氏は瀕死状態の伊藤忠商事を就任以来あっというまにその立て直しを実現した名
社長で名をはせた人である。

 その丹羽氏が、そのドラマテイックな立て直しのこつはなんだと聞かれて、難し
いことは何もやっていない、社員にあらゆることをただ「清く、正しく、美しく
やれ」ということを徹底したまでだ、とおしゃったのが非常に印象的だった。新入
社員の入社式でそれを言っておられた場面もあったが、新入社員に果たしてその
深遠なる意味が本当にわかったかどうかだ。

 今日本の企業、そして国家自体がどうして低迷状況にあるかということである。
それは丹羽氏によれば、要するにあらゆることが、どこの世界、いかなる事にも
通用するその判断基準、それは清いことか、正しいことか、美しいことか、という
基準にのっとっていない、いなかったということだろう。

 番組のキャスターが政界、経済界でさまざまなスキャンダルが連続して起こって
いるが、そのことをどう思うか、と聞かれて氏は、「それは大変いいことだ。つま
りそれは日本の社会や企業の閉鎖性がどんどんこわれて、正しいことが正しいこと
として通るオープンな社会になっていく過程そのものだ」と言われたのである。

 たしかにそれは悲観すべきことでも、嘆き悲しむことでもない。それが小泉首相
の意図かどうかは別にしてそれはまさに日本社会の構造改革が正しい方向で進行し
ている一つの大きな証には違いないのである。

2002/4/20
Tadashi HAYASE
今週の意見(268):

改革の総点検

 小泉内閣が命運をかけたという郵政事業関連法案だが、自民党をはじめ与党側の
同意がないまま、国会審議にかけるという異例の自体になっている。福田官房長官
は前例がないが、法案には賛成してくれと公明党や、保守党に依頼したりしている
が、法案については自民党内の郵政族はもちろん反対、野党からも反対が多い。

 肝心の郵便事業へ参入する民間業者からは、参入にはさまざまな規制があって参
入できそうにないという見解が示され、その意味でも法案の成立は見通しが立たな
い状況である。小泉首相は例によって「これが成立しないということは自民党が小
泉内閣を倒すか、小泉内閣が自民党を倒すかの選択になる」などと威勢がいいが、
このように法案について与野党からの冷たい目がある現状では、これがすんなり法
案成立ということにならない情勢だ。

 郵政事業関連の法案とともに石油公団廃止の法案についても、与党内からさまざ
まな反対があって、これについても難航、となるといよいよ小泉内閣立ち往生、国
会解散などという情勢も出てきた。

 郵便事業関連でも、石油公団廃止関連でも、断固改革を断行などと言うが中身は
現状維持をはかった妥協の産物ということが多い。小泉首相の認識がまちがってい
るのは、一番改革すべきなのは自民党という族議員の集団組織そのものであり、官
僚体制そのものなのである。その二つをそのままにしておいて、それぞれの担当分
野の抜本的改革などできるわけがないという指摘が小泉内閣発足当初からあったが
まさにそれが現実となってきた。

 国会解散、総選挙は案外近いようだ。この際与野党とも構造改革の現状とその中
身を整理し直し、そもそも構造改革とは一体何なのか、そのうち何ができたのか、
何をこれからやらなければならないのか、それを実行に移すためのステップとはな
にかについて国民に提示し直すべきである。

 折しも読売新聞の小泉改革の評価についてアンケートがあった。評価はまさに二
分、という結果だった。そうだと思う。今本当に必要な改革とは一体何なのか、小
泉政権はそのうち何をやったのかやらなかったのか。

 引き続き小泉政権を支持するにせよ、新しく支持する政党を選ぶにせよ判断基準
がよくわからない状況なのである。小泉内閣が続くにせよ、そうでないにせよ、こ
の際「構造改革」の総点検が必要なのだ。政党、マスコミ、学者あげてもっとその
ことをやってもらいたい。

2002/4/27
Tadashi HAYASE
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